建築業経営からお墓の販売まで!独立・脱サラで「好きなことで生きる」を実践する秘訣

最終更新日:2023年02月10日

「好きなことで生きたい」と思いつつ、取り組み方が分からなかったり、一歩踏み出せなかったりする方も少なくありません。

今回取材した鈴木 暖一郎さんは、建設業やお墓の販売、飲食業、ボードゲーム店運営など、自分の好きな事業を複数行っている人物です。

もともとキャンプ場で働いていて、そこからご縁や努力で数々の事業に挑戦してきた鈴木さんに、今までの人生や仕事への取り組み方を伺いました。

目次

建築会社にお墓の販売、飲食店など複数のビジネスを並行して開業

父の発案でグラス墓を販売。飲食店やボードゲームなど興味のあることをビジネスに

「興味のあること」に挑戦し続け、いつのまにか20代で脱サラ、30歳で経営者に

全ての事業を黒字にする「クイズを解いている」ような感覚

脱サラでもサラリーマンでも、それぞれに苦労はある

脱サラを志すなら、自分の向き不向きや目標を見据えることが大切

建築会社にお墓の販売、飲食店など複数のビジネスを並行して開業

一体どのような仕事をしているのでしょうか。

鈴木さん「ライターと建築会社の代表取締役、グラス墓の販売、飲食店の経営、ボードゲーム店の運営です。一番古いのが、建築の仕事ですね。車と同じように建物にも法定点検があり、私の会社では、実施しなければいけない項目を毎年1回検査する仕事をしています」

今私たちがいるこのお店にはキラキラしたガラスの入れ物が並んでいますが、これは何を販売しているのでしょうか。

鈴木さん「これは、自宅に置いて供養するお墓です。昔からあったものですが、「KOBO」という名前で実用新案権を取って販売しています。猿江ガラスというガラスメーカーの作家さんが作っていて、値段は4万円~6万円とお墓にしてはリーズナブルです」

鈴木さんは、このほかにも事業を行っていますよね。

鈴木さん「そのほかには、2022年1月からUber Eatsや出前館などフードデリバリーで提供する飲食店を始めました。店舗もあるのですがイートインスペースを使わないので、そのスペースにボードゲームを置いて、ボードゲーム店として運営しています。

建築会社とお墓の販売は有限会社にしていますが、飲食店に関しては個人事業主という形です」

父の発案でグラス墓を販売。飲食店やボードゲームなど興味のあることをビジネスに

父の発案でグラス墓を販売。飲食店やボードゲームなど興味のあることをビジネスに

それぞれの仕事を始めたきっかけをお聞きしたいです。

鈴木さん「建築会社は、もともと父が建築の仕事をしていて、その仕事を手伝っていたのが始まりです。

お墓の販売を始めたのは5年前で、これも父の発案ですね。今まで、お骨をダイヤモンドにしてネックレスを作ることなどは珍しくありませんでした。ただ、小さなお墓にして家に置く「グラス墓」という概念はありませんでしたから」

お父様の思いつきだったのですね。

鈴木さん「そうですね。父が車の免許を返納することになり、事業の継続が難しくなったので、私が引き継ぐことになりました」

飲食店はどのような経緯で始めたのでしょうか。

鈴木さん「飲食店を立ち上げたのは2021年の11月で、実際にオープンしたのは今年の1月です。500万円の個人資金のほか、父や会社から資金を借りるなどしました」

その飲食店のスペースを使って、ボードゲームのお店を始めたということですね。

鈴木さん「はい。今年の6月に始めたばかりです。スタッフが持ち寄ったボードゲームを、この場所で楽しんでもらうシステムを採用しています。収益としてはデリバリーのほうが多いです」

開業したいあなたへ!開業する手段と資金調達や準備について解説

「興味のあること」に挑戦し続け、いつのまにか20代で脱サラ、30歳で経営者に

建築やお墓の販売、飲食業、ボードゲーム店など、数々の事業を展開している鈴木さん。複数の事業を始めるまでに、一体どのようないきさつがあったのでしょうか。

現在に至るまでの経歴を教えてください。

鈴木さん「学校を卒業して就職したのが、写真植字の会社です。写真植字とは印刷の1つの方法で、文字の写真とでも言えるでしょうか。

ただ、この会社は斜陽産業ということもあり1年ほどで倒産しました。その後、私はアウトドアが好きだったので、キャンプ場で働くことにしました」

全く異なる業種へ転職したんですね。

鈴木さん「趣味で山登りやキャンプをよくしていたので、そのご縁で働かせてもらうことになったのです。2~3年ほど住み込みで働いていたとき、キャンプ場に訪れた雑誌の会社の方と仲良くなりました。

その雑誌の会社の方に、良いロケ地を案内したり荷物持ちをしたりしながら、「実は私も記事を書いてみたいんです」ということを話していたら、雑誌のライターを任せてもらえることになりました」

昔から、いろいろなことに興味があったんですね。

鈴木さん「そうですね。会社を立ち上げるきっかけとなった、ドーナツ屋の仕事もそうかもしれません。

ライターとしてとあるドーナツ屋を取材していたところ、「ドーナツの作り方無料で教えてやる」とお店の人に言われてパンの作り方を学ぶことになりました。

それがきっかけで、自分で『ブリーズガーデン』というパン屋さんを立ち上げたのですキャンプ場の仕事で脱サラし、パン屋で経営者になったのが30歳頃ですね」

全ての事業を黒字にする「クイズを解いている」ような感覚

全ての事業を黒字にする「クイズを解いている」ような感覚

パン屋の開業にも、多額の資金が必要だったかと思います。開業資金は、どのように集めたのでしょうか。

鈴木さん「開業資金は2,000万円で、政策金融公庫に企画書を持っていって満額借りました。個人資金は使っていません。

ただ、最終的にこのお店は閉まってしまいました。スーパーのベーカリー部門に出店していたのですが、ショッピングモールの時代がやってきてスーパー自体が閉業。借金は残っていましたが、私にはまだライターの仕事などありましたから」

当時、すでに建築の事業も引き継いでいたのですよね。

鈴木さん「はい。建築の会社に関しては、父から本格的に引き継ぐ少し前から、黒字や赤字などの経営面をよく見るようになりました」

鈴木さんは今複数のビジネスを並行していますが、それぞれのビジネスの年商や年収をお聞きしたいです。

鈴木さん「お墓の販売に関しては、まだ事業としてきちんと回っていません。スタッフの給料を払っているだけで、私自身にはまだ入っていません。年商は500万円くらいでしょうか。建築は役員報酬で500万円くらい、デリバリーはまだ1年経っていませんが月150万円くらいです」

年商の柱は建築の500万円ということでしょうか。

鈴木さん「そうですね。建築の仕事が年商3,000万円ほどです。結局、売り上げから経費を引いて残ったものが利益になるので、全部のビジネスで少しでもプラスになっていれば良いかなと思っています。お墓の販売やフードデリバリーも、どうすれば黒字になるのか“クイズに答えている”感覚です」

脱サラでもサラリーマンでも、それぞれに苦労はある

安定している事業もあれば、まだ始めたばかりで成長中の事業もある鈴木さん。一つの事業を軌道に乗せるだけでも大変ですが、一体どのようなモチベーションでビジネスに取り組んでいるのでしょうか。

いろいろなビジネスに挑戦されていますが、鈴木さんが今一番挑戦したいことをお聞きしたいです。

鈴木さん「先ほど“クイズに答えている”と言いましたが、そのゲームを解きたいという気持ちが強いです。ただ私自身、クイズが解けたら飽きてやる気がなくなってしまうので、もしかすると黒字になれば飽きるかもしれません。もちろん、そもそもクイズを解けずに沈没する可能性もあります」

あくまでゲームを楽しんでいる感覚なんですね。鈴木さんは20代ですでに脱サラしましたが、脱サラについてはどう思いますか。

鈴木さん「脱サラというと苦労が多いイメージがあるかもしれませんが、苦労はサラリーマンでもします。それならば、自分の好きなことや楽しいことで苦労した方がいいと考えています。

ただ、人には向き不向きがあるので、全員に脱サラしろとは思っていません。経営者やスタッフなど、人それぞれに相応しい役割があって、人はその役割を演じているだけなのではないでしょうか」

脱サラを志すなら、自分の向き不向きや目標を見据えることが大切

自分の好きなことや、自分に合った役割を選ぶことが大切ということでしょうか。

鈴木さん「そうですね。経済活動ではなく、芸術活動や趣味を楽しむ人もいます。余暇に全力を出せる環境が整っていることこそ、サラリーマンの良さでしょう。しかし、本当にやりたいことをしたり、自分で決断したりなど、裁量権が大きいのが好きな方は脱サラを選ぶのが良いと思います」

最後に、今後の夢について教えてください。

鈴木さん「働かずに生きることが夢です。投資などの不労所得でも良いですし、会社のバイアウトでも良い。私の場合は、会社をバイアウトした後にもまた、自分が解くべきクイズが見つかるのではないかと思っています」

ただ脱サラを賛美するのではなく、人それぞれ向き不向きや目標を見据えて選択することが大切だと語る鈴木さん。それでも取材の最後には「やりたいことがあるなら、挑戦したほうが良い。悩んでいても変わらないので、まずは挑戦してみては」と、脱サラを志す人を後押しする言葉をもらえました。

脱サラや独立に興味がある方は、まずは鈴木さんのように自分の興味があることに全力で挑戦してみるところから始めるのも良いかもしれません。

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公開日:2022年11月11日