訪問マッサージ事業で独立!「業界未経験者が脱サラ成功」する開業方法や採用のコツ

最終更新日:2023年06月02日

脱サラに憧れてはいるものの、「自分に独立は無理」と諦めている方もいるのではないでしょうか。今回取材した中畑 俊介さんも同じく「自分は起業するタイプではない」と、長年にわたり会社員を続けていました。

そんな中畑さんが最高年収1,100万円の会社員を辞め、マッサージ事業で独立。全く経験したことのない業種で成功した理由の1つには、知識・経験がなくても成功しやすいサポート制度を利用したことも関係しています。

開業資金や独立の流れ、未経験からの開業方法、採用のコツなどを詳しく伺ったので、脱サラできる自信がない方や、未経験の業種に挑戦したい方はぜひ参考にしてみてください。

目次

訪問マッサージ事業で独立!未経験から脱サラした開業方法と仕事内容

「事業は決まってないけど独立したい」それならフランチャイズや協会も視野に

開業資金500万円を用意…業界未経験者が採用を成功させるコツ

赤字を乗り越え黒字に!売り上げが積み上がるストックビジネスの強み

運営資金の半分以上が人件費…マッサージ業界の経費の相場は

夢は全国展開!脱サラに悩むなら「まずは行動すること」も大切

訪問マッサージ事業で独立!未経験から脱サラした開業方法と仕事内容

マッサージ業と聞くとスキルと経験が必要なイメージがありますが、中畑さんは全くの異業種から未経験で独立し、今では黒字化を果たしています。一体どのように開業し、経営を軌道に乗せたのでしょうか。

はじめに、仕事内容を教えてください。

中畑さん「要介護や要支援とされる人たちの自宅や老人ホームに足を運び、マッサージをするサービスを提供しています。鍼灸で痛みを取るなど、身体の痛みを軽減する仕事です。高齢者の家族や、ケアマネージャーから連絡が来てマッサージをしに行くことが多いですね」

それは、フランチャイズに加盟して事業を行っているのでしょうか。

中畑さん「フランチャイズではなく、一般社団法人 日本訪問マッサージ協会に所属し、会費を払って事業を行っています。協会側はオーナーのサポートなどをしてくれますが、フランチャイズと違って本部へ毎月支払う費用などはありません」

中畑さんはマッサージ業界未経験とのことで、施術はほかのスタッフや業務委託の方にお願いしていると聞きました。中畑さん自身は、どのような仕事をされているんですか。

中畑さん「主に外回りですね。特に開業当初は顧客が0人だったので、営業しまくっていました。ケアマネージャーのいる介護事業を1日10~20件ほど自転車で回っており、これは主に顔を覚えてもらうことが目的です」

「事業は決まってないけど独立したい」それならフランチャイズや協会も視野に

alt「事業は決まってないけど独立したい」それならフランチャイズや協会も視野に

簡単な経歴について聞いても良いでしょうか。

中畑さん「2年前にこの会社を設立するまで、保険会社で営業マンをしていました。大手の会社に入れば、潰れることはないだろうと思ったのが入社の理由です。実際に入社してみて、自分で契約を取ったり、数字を上げたりする営業マンの仕事は私に合っていました」

適性のある仕事で充実していたなら、会社を退職する必要はなかったのでは?

中畑さん「そうですね。ただ、異動やコロナ禍、さらに自分がちょうど30歳になったことなど、いろいろと考え直すきっかけがありました。別の会社に転職して新たなことを始めようとも思いましたが、転職すると待遇も変わってしまいますから。それならば、自分で会社を始めようかなと」

なるほど。それから会社を辞めるまでの期間、脱サラに向けてどのような準備をされていたんですか。

中畑さん「多くの人の場合、自分で何か始めたい事業があって、その上で起業をしますよね。私の場合は逆で、自分で会社を始めたいという思いが最初にあって、その上でどうすべきかを考える状況にありました。

それで、始めたい事業が明確に決まっていたわけではないので、まずフランチャイズエキスポに参加してみることにしたんです。事業が決まっていない自分のような人には、フランチャイズが良いのではないかなと」

確かに、事業内容が決まっていない人にはフランチャイズが向いていますよね。

中畑さん「エキスポでフランチャイズのいろいろな事業を見ているときに、訪問マッサージ・鍼灸の仕事を知りました。それで、業界の勉強や情報収集をしているうちに、私が現在加入している協会に辿り着いた形です」

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開業資金500万円を用意…業界未経験者が採用を成功させるコツ

その協会では、どのようなサポートをしてくれるのでしょうか。

中畑さん「開業パックのような形で、開業届の出し方や保険の申請方法、求人の出し方、採用のコツなどを教えてもらいました。協会の開業パックの内容にもよるとは思いますが、私の場合は半年〜1年ほど担当の人がフォローしてくれました。フランチャイズに近い形ですが、最初に100万円を支払ってからは、ロイヤリティの支払いなどはありません」

ロイヤリティがないのは、良心的ですね。

中畑さん「そうですね。実際に、協会で開業して良かったと思っています。私は異業種から始めたので、保険の申請など全く分かりませんでしたから。ただ、営業はもともと会社員時代にやっていましたし、開業後の申請関係は国や区の人たちに聞けば良かったので、手厚いフォローはそこまで必要ありませんでした」

ちなみに開業資金はどのくらいでしたか。

中畑さん「未経験から開業する場合は300〜400万円必要だと聞いていたので、500万円ほど自己資金を用意しました。それで開業後はまず、事業所を登記する物件を探したり、国家資格を持ったスタッフを採用したりしました」

採用するにしても、中畑さんはマッサージ業界は素人ですよね。
どのような基準でスタッフを採用したのか気になります。

中畑さん「施術のことは国家資格を持っている方のほうが詳しいので、施術に関しては基本的にノータッチで、人柄について面接でよく聞くようにしました。うちの顧客は高齢者がほとんどなので、高齢者の話をきちんと聞くことが大切です。私も押し売りするタイプの営業マンではなかったので、採用の際は顧客と良好な関係を構築できるかどうかを意識しました」

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赤字を乗り越え黒字に!売り上げが積み上がるストックビジネスの強み

alt 赤字を乗り越え黒字に!売り上げが積み上がるストックビジネスの強み

人柄重視ということですね。現在、スタッフはどのくらいいるんですか。

中畑さん「パートスタッフが4人で、業務委託の先生が11人です。業務委託の先生は自分で事業をしていたり、ほかの治療院と提携していたりするので、正社員のように働いているわけではありません。スタッフや業務委託の人たちとはクラウド上で連絡を取っており、都合が良い人でスケジュールを組んで対応してもらっています」

中畑さんの会社では常に人材を募集されているそうですが、それは患者数が増えてきたからということですよね。

中畑さん「ありがたいことに、現在の患者数は70名ほどです。顧客が増えている理由として、訪問マッサージ・鍼灸事業がストックビジネスなのも関係していると思います。基本的に、毎週定期的に施術を受けてもらいますから」

ということは、現在事業は黒字でしょうか。

中畑さん「最初は厳しかったですが、今は利益が出ている状態です。人脈、コネ、お金がないところから始めて、初年度はもちろん赤字。1年目が終わる頃には、利益が出てきました」

利益がで出てきたのが大体1年目なんですね。年商がどのくらいなのかもお聞きしたいです。

中畑さん「初年度の年商は500万円くらいで、昨年はその5倍弱です。役員報酬は月30万円もないくらいなので、最高年収が1,100万円だった会社員時代と比べたら下がっています。ただ、経営者の場合は経費などもありますからね」

運営資金の半分以上が人件費…マッサージ業界の経費の相場は

運営資金の内容についても知りたいです。

中畑さん「一番かかるのは人件費ですね。逆に言うと、人件費以外はあまりかかりません。マッサージベッドや待合室が必要な大きな治療院を構えているわけではないので、家賃は事務所の分しかかりませんし。

スタッフの人件費は毎月売り上げの50〜60%で、それ以外に広告費などが発生しているので、利益は少なくとも15〜20%くらいかなと。うちは鍼やお灸をしているから材料費がかかりますが、一般的なマッサージ業は材料費がほぼかかりません」

外注の先生も鍼を使うと思いますが、その分の費用はどうされているんですか。

中畑さん「契約の内容にもよると思いますが、うちの場合は外注の先生が全部用意して、何か新たに発生する費用はうちが負担しています。報酬に関しては、先生が6割、会社側が4割というのが業界の相場なのではないでしょうか」

なるほど、業界の相場がよく分かりました。
ちなみに、中畑さんが脱サラして良かったことや、悪かったことなどはありますか。

中畑さん「良かったことは、自分の会社なのでやりたいことと、やりたくないことを自分で決められることですね。やりたいことができて、それを早く決定できる。やりがいを持って働けるのは、脱サラの良い面です。

悪かったことといえば、人を雇うことの大変さではないでしょうか。プレッシャーもありますし、スタッフの話を聞いて「こういう意見もあるのか」と思うこともありますし」

夢は全国展開!脱サラに悩むなら「まずは行動すること」も大切

中畑さんは現在事業が上手くいっているようですが、これからさらにやってみたいことや夢はありますか。

中畑さん「店舗を、全国に少なくとも1つずつ展開したいです。1店舗ずつ全部で48店舗出せば、私もいろいろな場所に出張に行けるのが楽しみです。まずは、2店舗目を出すことを考えないといけませんね」

全国展開は夢がありますね。ありがとうございます。
それでは最後に、脱サラしたい方へメッセージをお願いします。

中畑さん「私はもともと、脱サラや起業をするタイプではありませんでした。そんな私も、脱サラすると決めてからは半年ほどで会社を辞めて法人設立し、開業するところまでいきました。悩んでいるのであれば、とにかく行動して挑戦したほうが良いです。起業してからは、行動すること、そしてよく考えて動くことが大切です」

中畑さんのように自分のことを「起業するタイプではないから」と思っていても、行動することで新たな道が開き、成功のチャンスを得られることもあるのかもしれません。そのためにはとにかく動いて、チャンスを掴むための努力をすることが大切です。

未経験から新しい事業に挑戦したい方は、協会やフランチャイズへ加盟するのも一つの選択肢。1人で開業するのが不安な方は、まずは気になる協会の資料を取り寄せたり、フランチャイズの説明会に参加したりしてみてはいかがでしょうか。

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公開日:2023年06月02日

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