法人登記ってどうやってやるの!?初めての方に向けて詳しく説明!

最終更新日:2021年08月04日

起業をお考えの場合、会社設立に必要な作業の一つに、法人登記が挙げられます。
この作業は、会社法により義務付けられているため、起業に際して省略することはできません。
設立から一定期間内に登記を済ませなかった場合には、過料が課せられる場合がありますので、会社設立の際には迅速に登記申請を行うことが必要です。

こちらの記事では、その法人登記がどのようなものであるか、申請に必要な準備や費用、申請方法、登記内容の変更方法を、それぞれ順に説明していきます。

目次

法人登記とは?

法人登記に必要な準備は?

法人登記に必要な費用は?

法人登記の申請方法

法人登記の内容が変更になったら?

まとめ

法人登記とは?

会社を設立した場合、法人格が新たに誕生することになります。
法人は法人税など、法人特有の制度の対象になるため、政府にとっては、個人を戸籍によって管理するのと同様、法人を登記によって管理することが必要です。

登記制度は、第一義的にはそのための制度です。
しかしながら、戸籍を得ている個人が無戸籍児にはない権利や信用を得られるのと同様、社会的信用にもつながります。

実際、登記が完了した法人には、法務局から登記事項証明書が発行されますが、銀行が融資したり、商談相手が取引を行ったりする際にも、登記事項証明書が発行されているというだけで、証明書がない場合に比べてさまざまな恩恵が得られます。
これは、登記事項証明書が誰でも自由に閲覧可能な書類であり、その内容があるということは、少なくとも取締役や本店など、責任を問うべき人物や所在地が明らかになっていることを意味するからです。

このように、登記には第一義的には政府に会社として認めてもらう意味がありますが、それによって、社会的にも会社として認められることになります。

逆に、設立からいつまで経っても登記をしないでいると、過料の支払いが生じることとなるほか、融資なども受けにくくなるため、社会的に見ても、法的に見ても、登記をしないことにはデメリットしかありません。
登記申請が遅れたからといって却下されることはありませんが、これらの理由から、期間内に申請は済ませるべきです。

なお、登記申請では事業目的も記載する必要がありますので、起業家にとっては、ビジネスの目的を一般公開して、自らの目的を明確にする意味もあります。
頭の中だけで考えるのではなく、実際に目的を書き出し、さらに公開することで、ビジネスを行っているという意識を高めることも可能になってくるでしょう。

また、事業目的が明らかになることで、関連産業や業界の中での流通上の位置付けがどこにあるのか明確に意識することにもつながり、適切な商談相手を選びやすくなります。

法人登記に必要な準備は?

法人が登記申請を行う際には、申請内容の記載にあたり、いくつかの事前準備が必要になります。
最も一般的な方法は、発起人がすべての初期資金を出資する、発起設立と呼ばれる方法です。

この方法では、まず発起人は、事業内容などの会社の概要を固め、定款を作成する必要があります。

最も優先して決定するべきなのは、会社名にあたる商号です。
会社設立に際しては、法人用の実印を作成し、提出する必要がありますが、商号はこの際に用いられる名称になるからです。

定款ではこのほか、事業目的、出資金または財産の最低価格、本店所在地、発起人の氏名と住所のような、絶対的記載事項と呼ばれる事項と会社の種別ごとに必要になる記載事項を最低限盛り込まなければいけません。
こうして定款を作成したら、株式会社の場合は、公証役場にて定款の認証を受ける必要があります。

認証費用は5万円で、謄本交付手数料は1枚あたり250円ですので、必要分だけの金額を用意しておきましょう。

定款の認証が終わったら、出資金の払い込みを行います。
法人口座は登記前には開設できませんので、払込先としては暫定的に発起人の口座を利用することが一般的です。

発起設立の場合は、払込証明書で、発起人が払い込んだことを証明する必要があります。
払込証明書に必要になるのは、通帳の表紙の裏表と当該払込が記帳されたページのコピーですが、ここで押印するのは発起人や取締役の印鑑ではなく、法人実印であることに注意してください。

法人登記には最低25万円は初期費用として必要

登記申請そのものに費用がかかるわけではありませんが、登記までの各段階でさまざまな費用が発生します。

まず、法人実印の作成費用です。
これは作成依頼先によって変わってきますが、相場としては、安いもので約2,000円、高いものだと10万円以上になることがあるので、どれを選ぶか適切に考える必要があります。

続いて、定款の認証費用です。
これは先に述べたとおり、認証に5万円かかり、謄本交付手数料は1枚あたり250円となります。
登記に際しては、最低でも1枚は登記申請のために提出する必要があるため、少なくとも50,250円の費用は確実に発生することにご注意ください。

さらに、初期の出資金が必要になります。
会社法の改正により、最低金額は1円からとなりましたので、資金に余裕がない場合は1円で済ませることも可能です。
しかし、なんらかの理由で潤沢な資金がある場合は、上限は存在しないため、任意の金額で構いません。

最後に、登記の際には、税務署に登録免許税をあらかじめ納付しておく必要があります。
こちらは、出資金額が2,142万8,571円以内であれば15万円、これを超える場合は出資額の0.7%になります。
ほとんどの起業では出資金が2,000万円を超えることはないので、15万円となるケースが大半です。
これらすべてを合わせると、最低でも25万円は初期費用として用意しておくべきです。
余裕を持たせたいのであれば、できれば30万円程度はあったほうがよいでしょう。

法人登記の申請方法

事前準備を済ませたら、いよいよ登記申請に入ることとなります。
まずは、定款によって確定させた本店所在地が、どこの法務局の管轄であるかを確認します。

現在では法務局の公式ホームページで確認できるので、このときに同時に設立登記申請書と印鑑届書のフォーマットをダウンロードしておくと効率的でしょう。
ここで調べた本店所在地の管轄法務局が、必要書類すべての提出先となります。
続いて、各種必要書類を用意することとなります。

設立登記申請書には、事業目的や本店所在地、照合など、各種の必要情報を指示に従って記入してください。
また、印鑑届書には、法人実印として登録したい印鑑を押印してください。
定款の認証のときに謄本を発行していれば、すでに定款の謄本はお手元にあるはずですが、これも提出対象です。

万一発行し忘れた場合は、公証役場にて発行してもらいましょう。
事前準備では、出資金の払い込みも行いましたが、払込証明書も払込時点であらかじめ作成しておくと、後の申請書類作成が楽になるでしょう。

続いて、登録免許税納付用台紙を用意します。
納付は、収入印紙または現金によって可能ですが、収入印紙の場合はそのまま、現金納付の場合はその領収証を、A4の用紙に貼付してください。
定款では決定されていない事項を決定した場合には、それを補う形で発起人決定書により、発起人がそのような決定を行った旨を明示する必要があります。
ただし、これはすべての登記申請内容が定款で決定されている場合は不要です。

取締役については、取締役会を設置する場合としない場合で、提出書類が一部異なります。
共通して必要になるのが、就任承諾書です。
取締役全員分について、本人の実印を押印したうえで、取締役への就任を承諾した旨を記載する必要があります。
ただし、取締役会がある場合は、代表取締役以外は認印でも可能です。

また、この場合は、代表取締役については、特に代表取締役への就任承諾であることを明確にしてください。

実印を用いる場合は印鑑証明書が、認印の場合は本人確認書類を、それぞれセットであわせて提出する必要があります。
監査役を設ける場合は、監査役についても就任承諾書と本人確認書類が必要です。
こちらは認印で問題ありません。

なお、申請書に必要事項を記載しきれない場合は、別添書類やCD-Rとして、必要な情報を記載することができます。
その場合は、これらの書類や記憶媒体も、同時に提出してください。

法人登記の内容が変更になったら?

登記内容は多岐にわたるため、変更があれば、そのたびに登記申請をし直す必要があります。
変更の場合は、一般には登録免許税は創業に伴う設立登記申請に比べると安くなる傾向がありますが、具体的な金額は変更内容によって細かく異なるので注意が必要です。

たとえば、取締役が辞任する場合は、資本金1億円以下の場合は10,000円、1億円以上の場合は30,000円となりますが、株式会社そのものが解散する場合は39,000円かかります。
具体的な費用の違いは、代表的な例であれば法務局の公式ホームページに掲載されていますので、まずは確認しましょう。

ホームページでは判断がつかず、お悩みの場合は、事前予約は必要ですが、管轄法務局にて無料で相談することが可能です。
ただし、変更を行った際にも、設立登記申請同様、申請期限があります。
変更の場合の期限は、本店の登記内容なら2週間、支店の場合は3週間となっていますが、いずれの場合にも遅れれば過料の対象となり得ますので、相談が必要な場合は、余裕を持って予約しましょう。

また、変更申請の際に必要になる添付書類も、申請内容によってさまざまです。
これらの点についても、毎回公式ホームページで確認し、必要な場合は管轄法務局に相談して、適切な内容を揃えるようにしましょう。
変更申請の中でも特に手続きが煩雑なのは、大阪から東京など、異なる管轄エリアへ本店を移転する場合の登記申請です。
この場合は、本店の旧所在地に移転申請を出す一方で、新たな管轄エリアにも同時に、設立登記申請書の内容に移転申請情報を加えた書類を書き、かつ2つの書類を同時に提出する必要があります。

最後に、登記変更申請は、原則として変更内容1つに対して1枚の申請書にて行うものとされています。
たとえば、代表取締役と商号を同時に変更する場合は、それぞれについて申請書を書くのが原則です。

しかしながら、変更申請者と申請先になる管轄登記所がともに同一となる場合に限っては、複数件の登記変更申請をまとめて1枚の申請書にて行うことも可能です

まとめ

以上、本コラムでは、法人を設立した場合に必ず必要になる法人登記について、設立時の事前準備や必要費用、申請方法を中心に扱いつつ、設立後の変更申請についても概略をまとめました。

これらの手続きは、会社の存在を公的に認めてもらうと同時に、常に自分の会社がどのようなものか、商談相手や銀行などの関連企業に明確に示すことにも役立つものです。
会社設立の際も、登記内容の変更があった際も、登記申請は迅速に行うようにしましょう。

公開日:2019年11月29日

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