脱サラで自営業を始めるには?会社員との違いや失敗しないコツを紹介
最終更新日:2024年09月20日

脱サラに憧れを抱いていても、脱サラの意味や生活実態を知らない方は多いのではないでしょうか。何となく会社を退職し自営業を始めても、想定していなかったトラブルに見舞われ、廃業に追い込まれる場合もあります。
今回は脱サラして自営業を始めようとしている人向けに、会社員と自営業の違いを説明し、自営業の特徴、メリット・デメリットや失敗しないためのコツをまとめました。
事前に会社員と自営業の違いを押さえ、脱サラ後に「こんなはずではなかった」と後悔することがないよう、脱サラの情報収集をしておきましょう。
脱サラとは
まず脱サラとは脱サラリーマンの略語で、「会社員を辞めて、自分の事業を始めること」を指します。アルバイトやパート、派遣といった雇用形態への変更や、転職をするだけでは脱サラと呼びません。
自営業とは
自営業とは、「税務署に個人開業届を出して、自分自身の事業を運営する人」のことです。自分の店舗を持っている人や、株式会社など自分の会社を持っている人をまとめて、自営業と呼ぶケースもあります。
本記事では、「個人開業届を出している個人事業主=自営業」として解説します。なお、フリーランス(フリーランサー)とは、一般的に自由契約をベースとした働き方を言いますが、フリ―ランスの人も自営業に含まれます。
自営業と会社員の違い
自営業と会社員の大きな違いは、「会社と雇用契約を結んでいるか」という点にあります。ここではさらに掘り下げて、自営業と会社員の異なる点を詳しく確認していきましょう。
雇用主の有無
1つ目の違いは、雇用主の存在です。自営業は自らが事業主であり会社に雇われていませんが、会社員には雇用主がいます。雇用主と雇用契約を結び、雇われている会社員は労働者と呼ばれます。
労働者は会社の指示(指揮命令)で仕事をし、見返りとして給料をもらうため、自分の意思で仕事内容や勤務地などを自由に選べません。
自営業と会社員では雇用主の有無に違いがあり、仕事の裁量やお金をもらう構造も全く別物です。
社会保険の違い
2つ目の違いは、加入する社会保険です。次の5つをまとめて社会保険と言います。
- 医療保険(国民健康保険や健康保険)
- 年金保険(国民年金保険や厚生年金保険)
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
会社員が加入する社会保険は、原則として健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の4つです。自営業では、健康保険の代わりに国民健康保険に加入し、厚生年金保険ではなく国民年金保険に加入することとなっています。また、自営業では雇用保険と労災保険に加入できません。ただし、労災は例外として自営業でも加入できるケースがあります。
自営業は雇用保険や労災保険に加入できないことを押さえ、いざというときの備えをしておくことも、自営業を長く続けていくためのポイントです。
社会的信用の有無
自営業と会社員の違いに、社会的信用の有無も挙げられます。会社員は毎月の収入が安定しているのに対し、自営業は毎月決まった金額の収入が得られるわけではありません。
自営業は1.固定的な収入がない、2.会社という組織に所属していないという2点から、「社会的信用が低い」と判断されてしまうことがあります。
社会的な信用が低いと、クレジットカードや住宅ローンの審査が通りにくく、家を借りるときも大家さんから断られるといった恐れがあります。また融資も会社員で信用があるときに申請するほうが、通りやすい場合もあります。
必要であれば自営業を開始する前に、クレジットカードを作ったり引っ越す必要がないか確認したり、脱サラした後で困らないよう、計画を立てておきましょう。
責任範囲の違い
最終的な仕事の責任も、自営業と会社員の違いの1つです。会社員がミスをしても、会社という組織が責任を負います。しかし自営業で責任をとるのは事業主である自分自身です。
万が一、情報漏えいや契約違反トラブルといった賠償責任が発生する事件が発生すれば、金銭的な責任も自分で背負うことになるでしょう。事業を営む前に、自営業向けの業界に特化した保険がないかを調べておくのがおすすめです。
一緒に働く人の違い
同僚や上司など仕事を行うメンバーも、自営業と会社員とでは異なっています。会社員では、一緒に働くメンバーや取引先などを自分で選べません。一方、自営業であれば取引先やパートナー、社員の採用など、誰と一緒に働くかを自分の権限で決定できます。
どのような人と働くか自分で決めたいと強いこだわりを持っている人は、自営業が向いているかもしれません。
働く場所や時間の違い
自営業と会社員の違い6つ目は、働く場所と働き方です。たとえば会社員ならオフィスがあり、コワーキングスペースやシェアオフィス、家賃を払って物件を借りるといった必要がありません。また会社員であれば、労働時間が管理されており、時間外手当や深夜手当が支払われます。さらに長時間労働をすれば産業医との面談を希望でき、手厚いケアが受けられます。
それに対して自営業では、自宅以外で働くとすれば自分でオフィスを借り、働く時間の管理も自分で行い、時間外や深夜の手当はつきません。自分のタイミングで自由に働けるものの、スケジュール管理や仕事のモチベーションを維持する必要もあります。
自営業の自由な働き方に目がいきがちですが、自由な分だけ自己管理の責任も重くなる点を押さえておきましょう。
脱サラして自営業を始める方法
それでは実際に脱サラして自営業を始めるにはどうしたら良いのでしょうか。
脱サラして自営業を始める方法は下記になります。
- 他社から業務委託を受けフリーランスになる
- フランチャイズで起業する
- 1から自分で起業する
フリーランスは他社から「業務委託」という契約で仕事を受注しこなす働き方です。
フランチャイズは「フランチャイズ契約」で他社と契約し、他社の新規店舗を担う働き方となっています。
脱サラで自営業をするメリット・デメリット
自営業と会社員の違いを理解したら、次は自営業のメリット・デメリットを解説します。自営業の具体的なイメージをつかむのに役立ててください。
脱サラで自営業をするメリット
自営業の大きなメリットは、次の4つです。
- 働き方を自分で決められる
- 自分のアイデアを活かせる・実践できる
- 定年退職がない
- 売り上げの分だけ収入につながる
前章で解説した通り、働く場所・人・時間などを全て自分で決めることができるのが自営業の大きなメリットです。また事業に関するアイデアも、予算など要件を満たしていれば自分の意志で実践できるため、上司や会社に反対されてアイデアが見送られることはありません。
ほかにも、収入に上限がないので大口契約の獲得や売り上げの増大がそのまま収入になる点も、自営業の大きな魅力と言えるでしょう。
脱サラで自営業をするデメリット
自営業のデメリットは、主に以下の2点が挙げられます。
- 働く時間、お金の管理など自分で行う業務が多い
- 働けなくなったときに受けられる保障が少ない
自営業は全ての管理を自ら行い、お金やマーケティングについても自身で計画を立てて実行するなど、業務の範囲が広いです。さらにミスやトラブルが起きれば、責任も自分自身が負うことになります。
また、会社員のようにケガや病気などで働けなくなったとしても、傷病手当金や労災保険は支給されず、収入が途絶えるリスクが高いです。
自営業のデメリットを解消するには貯金をしたり保険に入ったり、リスク対策を講じることが重要なポイントとなります。
脱サラして自営業の開業を失敗しないコツ
開業前に入念な下調べや準備をしておけば、万が一のときでも慌てず冷静に対処できます。ここでは脱サラ後すぐに廃業しないよう、失敗を防ぐためのコツを3つ取り上げました。
開業する業種のリサーチをしておく
1つ目のコツは、業種の情報収集です。自営業といっても、開業する業種や職種によって必要な資金額や準備は異なります。会社員のように会社が資金や情報を用意してくれるわけではないので、自らリサーチしましょう。
開業資金の分類(生活資金や運転資金など)、開業のお金についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
脱サラ資金はいくら必要?知っておきたいお金の知識や貯金方法を紹介
家族に相談しておく
脱サラして自営業を成功に近づけるためには、家族の協力も重要です。家族がいる場合は、事前に会社員と自営業の違いやリスクを説明し、できる限り納得してもらいましょう。
もし家族が自分の扶養に入っていたり、子育てしていたりすると、金銭面で大きな影響が出てきます。本人より家族がお金や今後の生活に対し、大きな不安を抱えるかもしれません。
家族の不安を和らげるために、事前にしっかりと脱サラの相談をしておき、家族からのサポートも受けられるよう環境を整えておきましょう。
副業・兼業や週末開業を検討する
自営業は全て自己責任となるので、脱サラをする前に会社へ在籍しながら、先に副業・兼業をスタートする人も増えています。たとえば週末農業、週末だけ飲食店を運営など、空いた日だけ自営業をすることも可能です。
いきなり会社を辞めるリスクをとらず、副業兼業をしてスキルを磨いて経営の流れをつかみ、タイミングを見計らってから脱サラを検討するのも有効な手段の1つです。
自営業にはフランチャイズ経営もおすすめ
自己資金が少ない人や、経営経験がなく不安な人はフランチャイズ経営を検討してみてはいかがでしょうか。
フランチャイズ(FC)とは、フランチャイザーと呼ばれる本部と契約をし、本部のロゴや商標の使用権、商品を販売する権利を得る代わりに、対価を支払うビジネスの仕組みです。本部から開業前のサポートを受け、経営の相談もすることができるため、自営業であっても比較的土台が整っている状態でスタートできます。
自ら事業を立ち上げることに不安を感じている人は、フランチャイズ経営も検討してみてください。
業種や地域、予算などでフランチャイズを調べてみたい人は、こちらで簡単に検索できます。
自営業と会社員の違いを理解して脱サラ計画をしよう
自営業は会社員と違い、社会保険の適用や仕事に関する責任の範囲が異なるため、憧れだけで脱サラを決意すると、失敗のリスクが高まり危険です。
脱サラをする前に会社員と自営業の違いを理解して必要な情報収集を行い、しっかり脱サラ計画を立てて、開業準備を進めましょう。
公開日:2022年10月11日