個人事業主と法人の違いって?メリット、デメリットを紹介

公開日:2019年12月26日

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独立開業を考えた場合、まず気になるものの一つとして個人事業主と法人の違いがあります。

この2つにはそれぞれ特徴があり、一概に「こっちがおすすめ」とはなかなか言えないものです。
そうなると、ご自身の状況や見据える規模の大きさなどから判断しなくてはいけません。
加えて、それぞれのメリットとデメリットは知っておく必要もあります。

そこで今回は、個人事業主と法人の違いからそれぞれのメリットデメリットまでお伝えしていきます。
独立は将来を左右するもの。それぞれの違いをしっかり認識し判断材料の一つにしてみてください。

目次

個人事業主と法人の違いは?

個人事業主のメリット

 開業手続きが簡単

 設立費用が不要

 社会保険の加入手続きが不要

 決算処理の負担が軽い

 赤字の時の課税がない

 青色申告特別控除がある

個人事業主のデメリット

 法人と比べて社会的信用は劣りやすい

 人材が集まりにくい

 事業の継続性は低い

法人のメリット

 社会的信用が高い

 節税面でメリットがある

 決算日が自由に設定できる

 事業継承しやすい

法人のデメリット

 設立運営コストが高い

 社会保険加入が義務

 会計事務の負担がある

 財産を切り分ける必要がある

まとめ

個人事業主と法人の違いは?

まず、個人事業主と法人の大まかな違いを確認しておきましょう。

個人事業主とは、その名の通り、自分で事業を営む個人のことです。

個人事業主の場合は一般的に屋号を使って営業しています。屋号とは、株式会社や合同会社といった「〇〇会社」の名称がついていないもの。「〇〇店」や「〇〇事務所」といったようなものです。
その他にも様々な違いがあります。

たとえば、開業方法や社会保険加入・信用度などに違いや特徴があります。
そこで次からは、個人事業主と法人のそれぞれのメリットを踏まえて、違いや特徴をより深く解説していきます。

個人事業主のメリット

ここからは、個人事業主のメリットについてお伝えしていきます。
個人事業主には、開業手続きの手間の少なさや青色申告控除が利用できるなどのメリットが。
ひとつずつ解説していきます。

開業手続きが簡単

個人事業主は、税務署に「個人事業の開業廃業等届出書」を提出すれば完了します。
記入をして持参をすれば、手続き自体は5分から10分程度で済んでしまうので大きく手間がかかることもありません。
また、ほとんどの場合、確定申告で青色申告を行うので「青色申告承認申請書」も開業届と一緒に提出するケースが多くなっています。

設立費用が不要

このように、設立は開業届を提出するだけなので、それに費用は必要ありません。
後ほど解説をしますが、法人の場合は設立費用が多くかかってしまいます。
そこと比較しても個人事業主の場合は税務署までの交通費、郵送で送る場合であれば切手代くらいで設立ができるのは大きなメリットでしょう。

社会保険の加入手続きが不要

個人事業主の場合だと、開業にあたって社会保険の加入手続きは不要です。
開業を行う前の健康保険や、国民年金を引き続き利用して行くような形です。

開業をきっかけに社会保険の加入手続きが発生するとなれば、その事務手続きや社会保険料の負担は生じてしまいます。
そういった負担がないのも大きなメリットです。

決算処理の負担が軽い

負担がないのは社会保険の加入手続きに限ったことではありません。
個人事業主の場合は、決算処理も比較的負担が少なくなっています。

というのも、個人事業主が納める税金は所得税のみとなっているからです。
細々とした部分はあるかもしれませんが、広義だと売上と控除経費を的確に処理できれば所得税の計算はできてしまいます。
法人の場合だと様々な税金の処理や認められない経費があるといったルールがあります。

赤字の時の課税がない

開業してまもなくは、事業を行なった結果赤字が出てしまうこともあります。

しかし、赤字が出てしまった場合でも、個人事業主には課税がありません。

また、その赤字は最大で3年間繰越も可能。経費が思ったよりも多くなってしまった場合にも活用できます。

青色申告特別控除がある

青色申告特別控除は法人にはなく、個人事業主ならではの特典となっています。

この青色申告特別控除は、利用することで所得から65万円もしくは10万円の控除を受けられるというものです。
65万円の控除を受けるためには以下の条件があります。

・不動産所得が事業所得がある
・取引を複式簿記で記帳している
・確定申告の期限内に提出をする
・確定申告の時に貸借対照表と損益計算書を添付している

この条件を満たしていない場合は10万円の青色申告特別控除となります。
これは節税面で非常に大きな効果があり、住民税や国民健康保険料も安くなるといった相乗効果もあります。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットは以下のようなものがあります。

・法人と比べて社会的信用は劣りやすい
・人材が集まりにくい
・事業の継続性は低い

これらは状況によっては事業を行う上で大きなデメリットになることも考えられます。
この辺りをどうカバーしていくかは個人事業主の大きな課題です。

ひとつずつ解説していきます。

法人と比べて社会的信用は劣りやすい

必ずしもそうではないのですが、一般的には法人と比べて個人事業主は社会的信用が低いとされています。

社会的信用が高い方が融資であったり、取引先の獲得であったりといった場面で有利です。
また次に解説する人材の雇用にも影響が少なからずあります。

人材が集まりにくい

個人事業主の中には人材が集まりにくい傾向があります。
というのも、求職者は基本的に安定的な雇用を求めているからです。
やはり仕事を探すとなると、個人事業主よりもそれなりの企業の方が安定性があると判断してしまうのは仕方がないことです。

事業の継続性は低い

個人事業主の事業継続性は法人と比べると低くなってしまいます。
後ほど解説しますが、法人の場合は現在の取締役が退任した場合でも別の取締役や従業員を代表取締役に就任させれば存続自体は可能です。

個人事業主の場合は事業の譲渡や相続を行う必要があるので、その継続性は高いとはいえなくなってしまいます。

法人のメリット

ここまでは個人事業主のメリットやデメリットについてお伝えしてきました。
ここからは法人のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。

個人事業主のデメリットの裏返しのような部分はありますが、法人には法人の大きなメリットが存在しています。

ひとつずつ解説していきます。

社会的信用が高い

法人として開業する時には商号や住所・目的代表者・資本金などを登記する必要があります。
こういった背景もあり法人の社会的信用は比較的高いとされているのです。

また、社会的信用の高さに延長して取引先からの印象も変わってきます。
たとえば「〇〇株式会社」と名刺に記載していれば相手に安心感を与えることも。
他にも、銀行への融資相談であっても有利になる傾向があります。

節税面でメリットがある

法人は個人事業主よりも節税面でメリットがあります。
というのも、個人事業主の所得税は所得の多さに左右されてしまいます。

売上が増えれば増えるほど、その税率が高くなってしまうのです。
一方、法人は売上に左右されず原則として税率は一定です。
他にも個人事業主と比べ経費の幅が増えたり、消費税での免税効果があったりといった節税上のメリットもあります。

さらに個人事業主の場合、赤字の繰越は3年間でしたが法人の場合は10年間の繰越ができます。
節税面においては、個人事業主よりも法人の方が多くのメリットがあるといえるでしょう。

決算日が自由に設定できる

法人は決済日を自由に設定できます。

決算の時期は事務作業も多くなってしまい、なかなか大変なもの。
決算日を3月にしている法人も多いのですが、決算日を自由に設定できることで繁忙期を避けた決算処理が可能になります。

これにより、一年の中でも最も忙しくない時期を決算日にすることも可能なのです。

事業継承しやすい

先ほどお伝えしたように、法人の場合は事業継承がしやすく事業の継続性を保つことができます。

個人事業主の場合は、代表者が死亡すると預金口座の凍結や資産が相続の対象になるといったことがあります。
その面から考えても、事業の継承が行える法人はそのまま事業の続行が可能。
これは大きなメリットのひとつといえるでしょう。

法人のデメリット

上記のように、法人の設立にはさまざまなメリットがあります。
しかし、そのメリットの裏返しとしてデメリットも。
ひとつずつ解説していきます。

設立運営コストが高い

会社設立は時間的・金銭的コストが高くなってしまいます。
たとえば、株式会社の設立には20万円程度の費用が必要ですし、ある程度の資本金も用意しなくてはなりません。

また、10年間の赤字繰越ができるとはいえ、法人住民税の均等割の支払い義務はあります。

この法人住民税の均等割は、東京都の場合で最低7万円程度は必要です。
赤字の中、この法人住民税を抽出するというのはなかなか大変なものです。

社会保険加入が義務

法人になると社会保険への加入義務があり、一人社長の場合であっても例外ではありません。
社会保険に加入すれば当然支払いが発生し、その保険料は会社と本人が折半するものです。

折半をすれば本人の負担は少ないのですが、元々の金額は個人事業主の社会保険よりも割高になっています。
従業員を雇えば、給料の他にもこのような社会保険料にかかる会社の負担も大きくなっていくのです。

会計事務の負担がある

法人の場合は会計事務の負担が大きくなります。

この会計は厳密なルールに従った処理を求められます。
特に法人税の申告においてはかなり複雑化しているため、税理士や会計士といった専門家に依頼することもあるでしょう。

さらに株主総会の開催や役員変更登記といった法律上求められている手続きもあります。
それに加え、社会保険や労働保険の手続きも発生していくのです。
そう考えると、個人事業主よりも法人の方が圧倒的に会計事務の負担は大きくなると言えます。

財産を切り分ける必要がある

法人の場合、はっきりと自分の財産と会社の財産を切り分けなくてはいけません。

財産に関しては個人事業主の場合だと自由度がある程度高いのですが、法人の場合はそうはいかないのです。
財産の切り分けができていなければ、横領や着服といったリスクにもつながってしまうでしょう。

まとめ

このように、個人事業主と法人の設立はどちらが良いというものではありません。
やはり、最終的には長期的事業計画や予測・理想とする働き方などに基づいて判断していくべきなのです。
まずはじっくり事業に向き合うことから始めてみるといいかもしれません。