小口現金の管理は大変?基礎知識からメリット・デメリットまで詳しく解説!
最終更新日:2020年12月17日

「小口現金」は、会社の細かな支出に関わる大切なお金です。
会社によっては使用頻度が高い費用のため、フランチャイズの経営者は開業までにしっかりと知識をつけておく必要があります。
こちらでは「小口現金」の管理方法とメリット・デメリットに加えて、廃止する場合の手続きについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
小口現金とは
小口現金とは、会社の小さな出費に備えて用意しておく少額のお金のことを指します。
会社では交通費や文房具代、来客用のお菓子代など細々とした支出が日々発生しますが、これらの支出が生じるたびに経理担当者が仕訳をするのは大変な手間です。
そのため多くの会社では、あらかじめ少額のお金を小口現金として社内に用意しておき、その中から経費を精算する仕組みを採用しています。
小口現金は頻繁に使われるお金のため、経理担当者(または小口現金管理担当者)が残高を毎日確認するのが一般的です。
小口現金の管理方法
小口現金で使われる費用は、交通費代や切手代など少額であることがほとんどです。
ただし、使用頻度が高く毎日使われる可能性もあることから、取り扱いが乱雑にならないよう社内での管理を徹底しておく必要があるでしょう。
こちらでは、小口現金を管理する際に知っておきたい「定額資金前渡制度(インプレストシステム)」「小口現金出納帳」「勘定科目」の3つを解説していきます。
定額資金前渡制度(インプレストシステム)について
定額資金前渡制度(インプレストシステム)とは、小口現金の管理方法の1つです。
あらかじめ1週間や1ヵ月など決められた期間分の小口現金を経理担当者へ渡しておき、少額の出費が必要となったときはその中から随時使用していきます。
使用された分の費用は一定期間ごとに経理担当者が補充するため、小口現金の残高は会社ごとに定められた金額を保っているのが特徴です。
定額資金前渡制度は複雑な作業が必要なく、経費を適切に管理できることから多くの会社で採用されている一般的な方法だと言えるでしょう。
その他の管理方法には、小口現金を使用した後に随時補給していく「随時補給制度」があり、こちらを採用している会社も少なくありません。
小口現金出納帳について
小口現金出納帳は、小口現金の使用や補給を記録として残しておく帳簿のことです。
小口現金のような使用頻度の高い支出は、こまめに記帳しなければ漏れが発生する可能性が高く、経理担当者は実際の金額と帳簿上の金額が合っているのか定期的に確認する必要があります。
小口現金出納帳には、受入金額・日付・摘要・支払金額・支払内訳の5項目を記載し、記載後は「支払(支出)の合計」と「受入(収入)」の合計が一致しているかを確認しなければいけません。
また、会社の現金を管理する帳簿に「現金出納帳」がありますが、小口現金出納帳とは下記の点が異なるため違いを確認しておくようにしましょう。
小口現金出納帳 | 現金出納帳 | |
---|---|---|
記載内容 | 小口現金のみ | 現金で取引があったもの全て |
記載者 | 経理担当者または小口現金担当者 | 経理担当者のみ |
記載するタイミング | 基本的に毎日(部署事に異なる) | 毎日 |
小口現金で使う勘定科目
小口現金として使う勘定科目は、一般的に以下の5つとなります。
勘定科目 | 具体的な内容例 |
---|---|
交通費 | 電車・バス・タクシー代など |
通信費 | 電話・インターネット・切手・ハガキ代など |
消耗品費 | 筆記用具・コピー用紙・事務用品・封筒代など |
水道・光熱費 | 水道・ガス・電気代など |
雑費 | 上記以外の費用 |
ただし、会社によって勘定科目は変わるので、自社の業種やサービス内容に合わせて管理するようにしましょう。
小口現金のメリット・デメリット
少額の出費を小口現金として管理するかどうかは、それぞれの会社に判断が委ねられています。
小口現金として必ず管理しなければいけないわけではないので、こちらで紹介する小口現金のメリットとデメリットを参考に、管理方法をぜひ考えてみてください。
メリット
小口現金として管理するメリットは、主に以下の2点です。
- 社員が建て替えをする必要がない
- 急な出費にも対応できる
小口現金を用意しておくことで、急な来客や出張などにも柔軟に対応できます。
また、小口現金を利用すれば建て替えをしなくて良いため、社員の金銭的負担を減らすことが可能です。
デメリット
一方、小口現金として管理するデメリットは主に以下の3点です。
- 経理担当者の負担が大きい
- 申請手続きに手間がかかる
- 盗難や紛失のリスクがある
小口現金の管理では、出金の手続きや毎日の残高確認など経理担当者に負担を強いることになります。
経理担当者だけでなく、小口現金を利用するために毎回申請書を提出する必要があるなど、社員の手間が増える点もデメリットだと言えるでしょう。
また、現金を社内に置いておくことで盗難や紛失のリスクも存在します。
そのため小口現金の管理を楽にするためには、できるだけキャッシュレスで経費を精算したり、盗難防止のセキュリティを強化したりといった工夫をすることが大切です。
小口現金を廃止するという選択肢も
上記でお伝えした通り、小口現金にはメリットとデメリットの両方があります。
メリットよりもデメリットのほうが大きく感じるのであれば、小口現金を廃止することを検討してみるのも良いでしょう。
小口現金を廃止する前段階として、建て替えた経費の精算を都度から月1回に変更したり、今まで現金で支払っていたものを口座振替に変えたりなど、社内ルールを少しずつ変えていくことが挙げられます。
また、オフィス用品の購入はネットショップを利用するよう呼びかけるなど、事前に社内で話し合いを済ませておくことも重要です。
今まで小口現金を活用して経費を精算していた会社では、急に廃止すると社内手続きが混乱する可能性もあるため、社内で話し合いながら徐々に準備を進めていくようにしましょう。
小口現金の知識をつけて経理業務を効率化しよう
小口現金は、一つ一つの金額こそ少ないですが会社の経費に関わる重要なお金です。
そのため事業を運営する経営者は、小口現金に対する正しい知識をつけておく必要があります。
また、小口現金にはメリットだけでなくデメリットもあるため、廃止を検討するのであれば事前の準備が大切です。
急に小口現金を廃止して手続きが混乱しないよう、社内での話し合いやルールづくりを少しずつ進めていくようにしましょう。
公開日:2020年11月09日