20歳で起業した元学生起業家が目指す理想の社会とは? 株式会社テーブルクロス城宝薫さんインタビュー

公開日:2016年08月10日

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「飽食の時代」と言われて久しい。しかし世界を見渡してみると、貧しさから満足な食事ができないという人たちも多数存在する。特に途上国では、貧困のために子どもたちが満足な食事ができないということが起こっている。

このような状況を少しでも改善したい。そんな思いから、途上国の子どもたちへ給食を届けようという活動をしている団体が増えている。

株式会社テーブルクロスの城宝薫さんもその一人だ。しかし、彼女の場合は少し違う。飲食店の予約ビジネスと途上国への給食支援を組み合わせ、ビジネスとしての利益を創造しながら社会貢献をしているのだ。

社長になる夢をかなえるために経済学部へ

株式会社テーブルクロスは3年目の会社。代表取締役の城宝さんは、20歳のときに起業。この4月に大学を卒業したばかりという、若い社長だ。

城宝さんは、子どものころから「社長になりたい」という夢があったという。起業家である祖父が大好きで、その祖父のような人になりたいと思ったそうだ。

大学では、経済学部に入り統計学を専門に学んでいた。会社経営を視野に入れていたら、経営学部を選ぶことが多いと思うが、城宝さんはあえて経済学部を選んだという。

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「将来社長になったときのために、一番根本的なお金の流れや金融について知っておきたいと思って、経済学部を選びました」

子どものころから社長になりたいという漠然とした思いはあったものの、どんな仕事がしたいのかというビジョンはなかったという。しかし、自分の目指すべき道が見えたときがあった。それは高校1年生のときだ。

社会貢献活動が継続できる仕組みづくりをしたい

城宝さんは、中学高校と陸上部に所属しながら、図書や清掃のボランティアなどに関わっていた。そして2009年、高校1年生のときに、生まれ育った都市と姉妹都市の関係にある米フロリダ州オーランドに親善大使として派遣。

そのときに、現地のNPOで衝撃を受けた。障害者支援をしているNPOの会議で、これからの支援について議論する傍ら、自分たちの給料についての議論も行われていたという。

城宝さんは、社会貢献活動で利益を得るという考え方が理解できず、現地スタッフに質問をした。なんで、社会貢献活動なのに給料をもらうんだ、と。

彼らの答えは明確だった。

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「目の前の社会課題を自分たちは解決しようと思っている。こういうときに一番大事なことが、“継続すること”なんだ。そう言うんです。1回2回イベントをやる人たちはいるかもしれない。でもそれで課題が解決されるのならみんな苦労をしていない。だから、利益を上げて継続できる仕組みを作るんだ、と」

それを聞いた城宝さんは、なるほどなと思ったという。日本では、NPOが稼いでいたら叩かれたり、社会課題の解決は寄付やボランティア、公的な補助金でやるものという考え方が多いからだ。

しかし、社会課題解決の仕組みを継続していくために利益を上げていくという考え方が日本で広まることのほうが、100年後の日本にとっていいことだと思ったという。そして、自分が将来起業をするのであれば、その文化を前進させるビジネスモデルを作りたいと考えた。

その想いから4年後、城宝さんはテーブルクロスを設立する。

大学時代のアルバイトとストリートチルドレンが繋がった

テーブルクロスは、スマートフォンのアプリから飲食店に予約をすることで、予約人数1人につき、途上国へ給食を1食寄付できるという仕組みとなっている。

加盟している飲食店は全国約1万店。予約が成立すると、一人につき180円の広告料が発生し、飲食店からテーブルクロスに支払われる仕組みだ。

そして、その180円から給食費として30円を各支援団体に寄付する。飲食店、お客さん、テーブルクロスのどれが欠けても成立しないという特徴がある。

この仕組みのポイントは、飲食店は予約が入らないかぎり広告料が発生しないということ。つまり、課金システムなのだ。

このような仕組みを思いついたのは、城宝さんの経験に基いている。

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「大学1年生のときに、飲食店の広告販売会社でアルバイトをしていました。飲食店の広告というのは、月額固定で“掲載課金型”というところがほとんど。しかし、これだと効果に関わらずに費用が固定化して飲食店の経営を圧迫します。そこで、集客した分だけ費用の発生する“完全成果報酬型”が必要なのではないかと思ったんです。また、私は小さころに途上国でストリートチルドレンを見たことがあるんです。そのことがどうしても忘れられなくて。飲食店の広告のあり方と、ストリートチルドレンのような社会課題を同時に解決するのが重要だと思い始めました。そこでこの2つを組み合わせたら、継続した社会課題の解決モデルになるかもしれないと思ったんです」

そこから、ビジネスパートナーとの出会いや出資者、応援者との出会いが重なり、起業に至る。

「出会いが1週間くらいで重なったんです。こんなに重なることは、人生のなかでもそんなにあることじゃないと思った勘違いから起業したという感じですかね(笑)」

テーブルクロスはまだまだこれから

テーブルクロスは、スマートフォンアプリがメインとなるサービス。そこで、起業と同時にアプリ開発を開始する。しかし、アプリを含めたシステム作りに1年ほどかかってしまう。

「サービス開始前から営業はしていたんですけれど、飲食店さんもサービスが始まってからというところが多くて。結局1年目はシステム開発。2年目から加盟してくれる飲食店の開拓という感じになりました」

城宝さんは、飲食店とユーザーの数を同時に増やしていけると思っていたという。しかし、登録されている飲食店が少なければユーザーは増えていかない。飲食店のほうは、起業2年目の終わりの1万店舗を突破した。

「3年目でやっとプロモーションに注力できるようになりました。まだまだアプリのダウンロード数が少ないので、これから作り上げていくサービスだと思います」

起業時は2人だった社員も、現在はインターンを含めて15人となった。会社としても、サービスとしてもいよいよこれから、といった段階だ。

利益の創造と社会貢献を同時に実現する「CSV」

企業による社会貢献というと、「CSR」(Corporate Social Responsibility)という言葉が思い浮かぶ。直訳すると「企業の社会的責任」。企業が事業活動を通じて社会に貢献する取り組みを指す。一時期、企業がホームページ上でクリック毎に1円を募金したり、特定のキーワードを検索すると企業が募金するといった取り組みが行われていた。

一見すると、テーブルクロスの行っていることもCSRに見える。しかし、根本的な部分で異なっている。

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「私たちの取り組みは『CSV』(Creating Shared Value:共通価値の創造)と呼ばれるものです。簡単に言うと、利益と社会貢献を同時に実現している企業です。これまでは社会問題の解決をするときに、企業の出た利益の一部をCSR活動に充てていました。しかしCSVは、事業の運営活動と社会問題解決が一体になっています。私はこの言葉を後から知ったんですが(笑)。私が講演会で、利益と社会貢献が同時に実現できる社会づくりをしたいなと言ったら、来てくださった方が、それCSVですよねって(笑)。そんなのあるんですか? みたいな(笑)」

CSVは、2011年にハーバード大学の教授であるマイケル・ポーター氏が提唱した概念。現在では、キリンや味の素、ロート製薬といった大企業もCSV企業として注目されている。

しかし、この理念の基に起業したベンチャーはあまり見られない。城宝さんは、CSVの道も作りながら前に進んでいる状態だ。

失敗は修正できるけれど後悔は修正できない

城宝さんは、20歳で会社を立ち上げた。当時学生として、経営学部で統計学を勉強していたが、会社設立となるとそのほかにもさまざまな知識が必要になるだろう。しかし、そのような知識よりも、マインドセットのほうが大事だと語る。

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「起業は、100やることがあったら99はたいへんだというレベルです。そのとき、こんな面倒なことをなぜやっているのかというのを毎回立ち止まって考えていたら、前に進めなかったりスピードが遅くなったりすると思うんです。だから、やるかやらないかで決めるのではなく、やってから決めるというルールを自分で作っていました。勉強しながら進めるのではなく、壁にぶつかったら勉強するという感じです」

20歳という若さだったからこそ、できたことのなのかもしれない。まだ何も経験していないからこそ、怖さやその先にあるものを考えず、突き進めるというのは、若さゆえの特権だろう。

「やらない後悔」よりも「やった後悔」を選ぶ。城宝さんは「失敗は修正できるけれど、後悔は修正できない」と言う。だから絶対後悔しない選択肢を選んだ結果、今にいたっている。

目標は「予約が誰かのためになる常識」を作ること

城宝さんは、テーブクロスのサービスを飲食店だけではなく、ホテルやネイルサロン、ヘアサロンなど、予約という行動が世界の誰かためになるような常識を作っていきたいと語る。

「2020年の東京オリンピックで、日本に外国の方がたくさん来るでしょう。そのときにこのマークから予約をすると、自分たちの国にも還元されるんだよというような形になって、国と国が近く感じられるようになればいいですね」

実際、社長業はたいへんだという。城宝さんは「最強の雑務業ですね(笑)」と笑う。しかし仕事が辛いと思ったことはない。

「仕事が好きなんだと思います。自分自身の成長を感じたり、知識が増えたり、そういう自分と向き合うのも好きなので、仕事をしていることが好きなんです」

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テーブルクロスアプリを使って飲食店の予約を行うと、定期的に給食を支援した子どもたちからの写真や動画でメッセージが届く。地球の裏側の子どもたちの笑顔を見るたびに、城宝さんはうれしいと感じるそうだ。

社会貢献の方法は数多くある。しかし、手軽に行える方法はそれほど多くない。社会の誰もが、気軽に社会貢献ができる未来を。城宝さんは、笑顔で日本の未来を切り開いている「元学生起業家」だ。

テーブルクロスのアプリは下記HPからダウンロードできます!

株式会社テーブルクロス

HP
http://tablecross.com/
facebook
https://www.facebook.com/tablecross

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