アルバイトの給与計算に欠かせない!基礎知識から計算方法までご紹介!

最終更新日:2020年12月17日

フランチャイズでの独立を目指すのであれば、アルバイトの給与計算方法はきちんと身につけておく必要があります。給与計算は基礎的な知識ではありますが、慣れていないと準備不足に陥ったり、その影響で深刻なミスが生じたりすることも。

そこで今回は経営初心者の方に向けて、アルバイトの給与計算に必要な準備や、各項目の計算方法などを分かりやすくまとめました。

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目次

アルバイトの給与計算に必要なもの

割増賃金について

アルバイトの給与計算方法

給与計算の前には万全の準備を

アルバイトの給与計算に必要なもの

アルバイトの給与計算をする前段階として、準備しておくべきものがあります。そこでまずは、給与計算に必要な4つのものと、それぞれの概要をまとめました。

就業規則

就業規則とは、始業・終業時間や休日に関するルールなど、従業員の労働条件をまとめた書類のこと。従業員の給与計算は、この就業規則の内容に則って行う必要があるため、給与計算の前には就業規則の内容を理解しておくことが重要です。

就業規則のなかでも、特に理解しておきたいポイントとしては以下が挙げられるでしょう。

  • 休憩時間など、労働時間に関する部分
  • 給与の決定方法や残業代の割増率など、給与全般に関する部分
  • 締切日や支払日など、給与の支払いに関する部分

ちなみに、常時10人以上の従業員が在籍している企業は就業規則を作成し、労働基準監督署へ提出することが義務づけられています。仮に作成・提出が義務づけられていない場合であっても、就業規則があると賃金トラブルを防ぐことにつながるので、事前に作成しておくことをおすすめします。

給与規定

就業規則のなかでも、給与に関する内容は細かくルール化をする必要があります。そのため、就業規則を作成する際に、「給与規定(賃金規定)」を別途作成する企業も珍しくありません。

就業規則と給与規定を分けて作成する予定であれば、給与規定の準備・確認も忘れないように注意しましょう。

従業員情報

アルバイトの給与計算時には、役職や勤続年数、各所得控除の有無などを把握するための「従業員情報」が必須です。また、該当するアルバイトの属性(年齢や家族の人数など)によって適用される控除や社会保険が変わってくるので、所得控除・社会保険に関する情報は事前に調べておきましょう。

なお、従業員によって労働条件が変わる場合は、個々に交わした「労働契約書」も必要になります。そのほか、通勤手当に影響する従業員の居住地や転居情報も、事前にチェックしておく必要があるでしょう。

タイムカード

タイムカードは、勤務管理の書類として必要になるものです。毎日の労働時間が分かる書類であれば、タイムカード以外のものでも構いません。

ちなみに、アルバイトの給与を時給で計算している場合は、原則として1分単位で計算する必要があります。労働時間の切り捨てで認められるものは、「1ヵ月の労働時間に対する端数(30分未満)」のみとなるので、1日の労働時間を15分や30分で区切ることは基本的に避けましょう。

割増賃金について

アルバイトの給与計算では、通常の賃金に「割増賃金」を加える必要があります。例えば、タイムカードなどの勤務管理書類を確認したときに「時間外労働・休日労働・深夜労働」がある場合には、法律に則った形で割増賃金を加算しなくてはなりません。

では、具体的にどのようなケースで割増賃金が発生するのか、詳細を以下でチェックしていきましょう。

時間外労働

国が定める法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合、その超えた時間分を「時間外労働」として扱います。現行制度では、1日の労働時間は最大8時間、1週間では最大40時間が上限と定められており、これらの基準を超えたときには割増賃金の支給が必要になります。

時間外労働に対する割増賃金は、法律上で「通常時の賃金の25%以上」と定められています。

休日労働

労働基準法においては、1週間に1日以上、もしくは1ヵ月に4日以上の休日を従業員に付与することが義務づけられています。そのため、多くの企業はこの基準を満たすように就業規則を作成しますが、就業規則で定めた休日に従業員を出勤させる場合は、その出勤日を「休日労働」として扱う必要があります。

休日労働に対する割増賃金は、「通常時の賃金の35%以上」です。時間外労働とは割合が異なるので、その点に注意しながら給与計算を行いましょう。

深夜労働

労働基準法において、午後10時~午前5時までの労働は「深夜労働」に該当します。したがって、この時間帯に従業員を労働させる場合は、原則として割増賃金を支給しなくてはなりません。

深夜労働の割増分については、法律上で「通常時の賃金の25%以上」と定められています。

割増賃金は重複して発生することがある

ここまで3つの割増賃金を紹介しましたが、労働条件によってはこれらの割増賃金が重複することもあります。では、具体的にどのような条件下で割増賃金が重複するのか、いくつか例を見ていきましょう。

【1】1週間の労働時間が40時間を超えた状態で、休日労働や深夜労働をさせる場合
【2】就業規則で定めた休日、かつ午後10時~午前5時の間に出勤させる場合

つまり、時間外労働・休日労働・深夜労働のうち、2つ以上に該当する場合は重複して割増賃金を支給しなくてはなりません。例えば、上記【2】では休日労働と深夜労働の割増分を合計し、通常時の賃金の60%以上(35%+25%)にあたる割増賃金を支給する必要があります。

アルバイトの給与計算方法

ここまでの内容を理解したら、いよいよアルバイトの給与計算を行っていきましょう。一般的にアルバイトの給与は、次の式を使って計算されます。

給与金額(支給額)= 基本給 + 割増賃金 - 控除額

では、それぞれの計算項目が何を表すのか、以下で簡単に解説します。

  • 基本給…1ヵ月あたりの労働時間に時給を掛けたもの。
  • 割増賃金…時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金の合計額。それぞれの割増賃金は、「対象となる時間数×通常時の時給×割増率」で計算する。
  • 控除額…給与から差し引かれる税金や社会保険料のこと。

上記のうち、基本給と割増賃金の計算はそれほど難しくありませんが、「控除」については種類が多いので注意が必要です。そこで以下では、給与から差し引く控除の種類をまとめました。

控除の種類 概要 控除額の計算方法
雇用保険料 会社と従業員が保険料をそれぞれ負担する公的保険。事業の種類によって、保険料率が異なるため注意。 賃金×0.003(※一般事業の場合)
社会保険料 健康保険料と厚生年金保険料の合計額。保険料は会社と従業員が折半して支払う。 標準報酬月額×保険料率÷2
介護保険料 40歳以上65歳未満が支払対象となる公的保険。保険料は会社と従業員が折半する。 標準報酬月額×保険料率÷2
所得税・復興特別所得税 毎月の給与から、源泉徴収によって天引きされる税金。月払いの場合は月額表、日払いの場合は日額表を用いて金額をチェックする。 該当月(該当日)の給与から社会保険料等を差し引き、源泉徴収税額表と照らし合わせて確認する。
住民税 前年の所得に対して課せられる税金。毎年5月になると、金額が記載された納付書が届くため、会社側で計算する必要はない。 納付書に記載された金額を、そのまま給与から差し引く。

それぞれの計算方法や税額表については、国税庁の公式ホームページで公開されています。年度によって内容が変わることもあるので、常に最新の情報を確認した上で給与計算を行いましょう。

給与計算の前には万全の準備を

アルバイトの給与計算をする前には、各書類や税額表などを手元に用意しておく必要があります。また、割増賃金や社会保険料、税金の計算方法についても、事前にしっかりと理解しておかなくてはなりません。

必要な準備を怠ると、計算ミスや記載ミスが発生しやすくなるので、給与計算の前には万全の準備を整えておきましょう。

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公開日:2020年12月11日