法人税とは?種類や節税対策などしっかり学んで会社経営に役立てよう!

最終更新日:2021年04月15日

経営者にとって税金や節税の知識は、必要不可欠とも言えるものです。経営者が豊富な税知識をもっていると、余計なコストを大きく抑えられるので、財務状態が大きく回復することもあります。

そこで今回は、法人税とはじめとした税金の種類や、税制優遇制度などの節税対策を紹介します。

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目次

法人税とは

法人税等の種類

その他、法人が納める税金の種類

課税対象・対象外の法人とは

法人税等の節税対策

少しでも税負担を抑えるために、税制優遇制度などの活用を

法人税とは

法人税とは、法人の利益(所得)に対して課される税金のこと。個人でいえば所得税にあたる重要な税金であり、国税の一つでもあることから、法人にかかる代表的な税金として知られています。

ちなみに、法人税の意味は狭義と広義でやや異なり、狭義の場合は法人税そのものを指します。一方で、広義では「法人にかかる3つの税金」を意味しますが、この場合の正しい表記は「法人税等」となるので注意しましょう。

法人税等の種類

では、法人税等に含まれる税金には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。いずれも名称は似ていますが、それぞれ異なる特徴をもった税金なのでしっかりと確認していきましょう。

法人税

前述でも紹介した法人税は、以下の式によって税額が計算されます。

  • 法人税額 = 課税所得 × 法人税率

法人税の税率は、法人の規模や課税所得によって異なります。例えば、同じ資本金1億円以下の中小企業でも、課税所得が800万円以下の法人は15%、800万円超の法人は23.2%(※800万円以下の部分は15%)となります。

また、法人税率は法人の区分によっても変わってくるので、計算する場合は国税庁のホームページなどで税率を確認しておきましょう。

法人住民税

法人住民税は、都道府県などの地方自治体に納める地方税です。個人に対する住民税と同じように、公共の施設やサービスの費用負担を目的として徴収されています。

  • 法人住民税 = 法人税割 + 均等割

上記の「法人税割」とは、法人税額に住民税率をかけて計算される金額のこと。以前の税率は12.9%でしたが、税制改正の影響により2019年10月以降は7.0%の税率が適用されるようになりました。

一方で、「均等割」の税額は各自治体(都道府県や市区町村)が独自に定めており、税率によって計算されることはありません。資本金や法人税額に応じた固定額が定められているため、仮に経営が赤字であっても納税をする必要があります。

法人事業税

法人事業税も、都道府県などの自治体に納める地方税です。税額は以下の式によって計算され、法人税等のなかでは唯一「損金への算入」が認められています。

  • 法人事業税 = 課税所得 × 法人事業税率

法人税と同じく、法人事業税の税率も法人の規模や課税所得によって変動します。また、自治体ごとに異なる税率が採用されているため、税額の計算前には各地域の情報を調べておきましょう。

その他、法人が納める税金の種類

法人に課される税金は、前述の法人税等だけではありません。ケースによって多少異なりますが、一般的な法人では以下の税金も発生します。

税金名 概要
地方法人税 法人事業税の一部を地方の財源にする目的で、2014年に創設された地方税。税額は「法人税額×4.4%」で計算される。
消費税 商品やサービスを購入したときに課される税金。売り上げと一緒に受け取った消費税から、仕入れの際に支払った消費税を差し引く形で税額が計算される。
固定資産税 不動産や機械設備など、所有する固定資産に対して課される税金。
自動車税 所有する自動車に対して課される税金。車種や用途によって税額が異なり、軽自動車の場合は「軽自動車税」が課される。
自動車取得税 自動車を購入する際に課される地方税。
自動車重量税 車検を受ける際に徴収される地方税。
所得税 株式の配当金や利息に対して課される税金。配当金については、所有する株式が上場されているかによって税率が異なる。
事業所税 主に人口30万人以上の大都市で、都市環境の整備などを目的に徴収されている税金。事業所の規模によって税額が異なる。
登録免許税 登記(設立登記や不動産登記など)の際に課される税金。不動産の取引価格によって税額が異なる。
印紙税 契約書や手形など、特定の文書を作成する際に課される税金。該当する文書に記載された契約金額等によって税額が決められる。

上記でまとめた税金は、全てが同じ時期に発生するわけではありません。税金によって支払うタイミングは異なるので、納税に関するスケジュールは毎年きちんと管理しておきましょう。

課税対象・対象外の法人とは

法人に分類される事業であっても、法人の区分によっては法人税等が課税されないケースもあります。そこで次からは、法人税等の課税対象と対象外の法人をまとめました。

課税対象の法人

法人税等の課税対象は、「普通法人」と「協同組合等」、そして「医療法人」の3つに分けられます。では、それぞれ具体的にどのようなものが該当するのか、以下で一例を紹介します。

普通法人 協同組合等 医療法人
株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、有限会社、相互会社 労働者協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、生活協同組合 国税庁長官の認定(※租税特別措置法第67条の2第1項による)を受けた特定の医療法人

上記のうち「協同組合等」や「医療法人」に含まれる法人は、普通法人よりも税率が低めに設定されています。

課税対象外の法人

次は、法人税等の課税対象外となる主な法人を見ていきましょう。

公益法人等 人格のない社団等
宗教法人、社団法人、学校法人、財団法人、認可地縁団体、管理組合法人、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人 町内会、研究会、PTA、クラブ

上記はいずれも課税対象外ですが、収益事業から生じた所得に対しては法人税等が課されます。つまり、営利目的の活動をすると普通法人と同等の税金がかかるので、該当する方は注意しておきましょう。

法人税等の節税対策

法人に課される税金のなかでも、法人税等は負担が大きくなりやすいものです。そのため、多くの企業は課税所得や税率を抑えるために、独自の節税対策に取り組んでいます。

そこで次からは、経営者が押さえておきたい主な節税対策をまとめました。

固定資産台帳を見直し、固定資産除却損を計上する

固定資産台帳の見直しは、代表的な節税対策の一つです。現在は使用していない固定資産を廃棄すると、廃棄によって生じた「固定資産除却損」を損失として計上できるため、その年の課税所得を抑えることができます。

また、毎年発生する固定資産税を抑えられる点も、この節税対策に取り組むメリットでしょう。ただし、無形固定資産や有価証券(投資目的のもの)の廃棄については、固定資産除却損として計上することが認められていないため、廃棄する資産は慎重に選ぶ必要があります。

共済に加入する

中小企業向けの共済には、掛金を経費にできるものがあります。具体的な制度としては、経営セーフティ共済や小規模企業共済、中小企業退職金共済などが挙げられるでしょう。

これらの共済に加入しておくと、事業資金の借入れや退職金の積み立てなどができるため、節税をしつつ安全な経営体制も整えられます。企業の経営はいつ傾くか分からないので、経営リスクを下げる手段としても共済への加入はおすすめです。

税制優遇制度の適用を受ける

行政機関などが実施する税制優遇制度の利用も、経営者がぜひ知っておきたい節税手段です。

税制優遇制度とは、所定の要件を満たした場合に軽減措置などが適用される制度のこと。例えば、国税庁が実施する「中小企業技術基盤強化税制」を利用すると、損金として認められる試験研究費が増額されるため、課税所得によって計算される税金の負担を抑えられます。

ほかにも「雇用促進税制」や「所得拡大促進税制」など、国が実施している税制優遇制度は少なくありません。ただし、時期によって制度の概要が変わることもあるので、税制優遇制度の利用前には常に最新の情報を確認しておきましょう。

不良債権を整理する

法人が抱える不良債権は、貸倒損失や貸倒引当金として損金算入することが認められています。不良債権とは、売掛金や受取手形、貸付金などの債権のうち、回収できる見込みがなくなったものを指します。

債権はもちろん回収できることが望ましいですが、取引先が倒産や経営破綻をした場合など、回収不能になるケースも珍しくありません。特に現金以外で取引をすることが多い企業は、知らないうちに多くの不良債権を抱えている可能性があるので、債権や債務者の状態を確認してみましょう。

少しでも税負担を抑えるために、税制優遇制度などの活用を

法人には毎年さまざまな税金がかかるので、常に納税を意識した資金計画やスケジュールを立てることが大切です。また、少しでも税負担を抑えるために、本記事で紹介した節税対策はしっかりと行っておきましょう。

なかでも税制優遇制度は種類が多いため、利用できる制度がないか早めに確認することをおすすめします。

フランチャイズを探してみる

公開日:2021年04月15日