不動産業で1人開業を目指そう!必要な資格や開業の手順・失敗と成功のコツ

最終更新日:2023年11月08日

不動産業界での独立開業を考えている場合、初期費用やどのような要件を満たす必要があるかなど色々気になるものです。

この記事では、不動産業界が未経験の方でも開業に向けたイメージがつかめるように開業の手順や必要な資格やあると役立つ資格、よくある失敗例や開業で失敗しないコツなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

不動産で独立・開業できるフランチャイズをみてみる

目次

まず不動産業とは

不動産業の開業方法と5つの手順

不動産の開業に必要な資格と役立つ資格5選

不動産の開業でよくある失敗例

不動産の開業で成功するコツ

不動産の開業についてまとめ

まず不動産業とは

まず不動産業とは

そもそも不動産業とはどのような仕事なのか、2つのポイントを解説します。

不動産業の種類と概要

不動産を扱っている事業者には主に以下の種類があります。

不動産業の種類 概要
不動産売買 自社で所有する不動産を顧客に販売する
不動産仲介 不動産の売主と買い手との間で売買契約を仲介する
不動産管理 賃貸物件や土地を管理し、入居者の入居から退去までの一連の業務を行う
不動産賃貸 自社で所有する住宅や事務所、店舗その他の事業用オフィスを賃貸する

宅建業との違い

不動産業と混同されやすい用語に「宅建業」があります。宅建業は、不動産売買を行う業者、および不動産売買・仲介を行う業者の総称です。つまり不動産の販売や仲介を行う不動産業者は宅建業者として分類され、それ以外の不動産業者は宅建業には該当しません。

不動産業の開業方法と5つの手順

不動産業の開業方法を、 次の5つのステップで解説します。

1.開業資金を準備する

不動産業を開業する場合、初期費用として合計で最低でも200万円程度かかります。内訳として、株式会社としての法人設立費用に24万2,000円が必要です。また、宅建協会への入会金として130〜180万円程度の出費が発生します。この金額は開業エリアによって異なります。さらに、知事免許として宅建都道府県庁申請料が最低でも13万3,000円程度が必要です。

この200万円という目安は物件費用や備品を除いた金額となっています。そのほか、物件費用や備品代が必要です。

2.事務所・法人を設置する

自宅を事務所に利用する場合、事務所設置のコストはかかりません。賃貸物件を利用する場合は、道路の人通りはどれくらいなのか、同業他社が何軒あるかなどを考慮しながら選定します。賃貸契約に50万円程度、備品を揃えるのに20万円程度のコストが発生します。

不動産業は法人格を取得せず個人での開業も可能なものの、法人格があれば節税対策になるとともに社会的信用を得られます。法人格の取得には税務署で届出と登記申請を行う必要があり、定款認証手数料5万円、定款収入印紙代4万円が必要です。

3.宅地建物取引士を設置する

宅地業免許を取得して不動産事務所を営業するには、従業員5人に対し宅地建物取引士を1名配置する必要があります。試験は年1回で7,000円の受験料がかかります。創業者が資格を取得済みで従業員が5人以下であれば、現時点での配置は必要ありません。

4.協会に加入する

不動産業を開業するには、宅地建物取引業法の定めに基づき営業保証金として本店あたり1,000万円、支店1店舗あたり500万円を供託する必要があります。これは、不動産の取引相手が損失を被った場合にその損失の弁済に充てられるものです。

不動産保証協会あるいは宅建協会に加入し、弁済業務補償金分担金60万円を協会に納付することで営業保証金を供託する代わりとすることが可能です。

5.事業の広告や宣伝をする

店舗の公式Webサイトを開設してサービス内容やお問い合わせ窓口などの情報を掲載します。プロにサイトの開設を依頼すれば多少のコストはかかるものの、ニーズに合わせて見栄えや機能ともに質の高いWebサイトを作成できるでしょう。

Webサイトを作成しても何もしないままではアクセス数は増えません。SEO(検索エンジン最適化)対策を施して検索上位に表示されるようにしたり、Webサイトと並行で公式ブログで情報発信したり、LINEやFacebookなどのSNSを活用してお知らせを告知するなどの工夫でアクセス数を伸ばしましょう。

不動産の開業に必要な資格と役立つ資格5選

不動産業の開業に必須の資格や役立つ資格から5つを選んで解説します。

1.宅建建物取引士

宅建建物取引士は不動産適正取引推進機構が認定している国家資格で、不動産業を営む事業者には取得が義務付けられています。試験に合格すると試験を実施した都道府県知事の資格登録を受けられ、宅地建物取引士証が交付されます。

宅建試験は年1回10月の第3日曜日に実施されます。受験手数料は8,200円で、受験手続きはインターネットあるいは郵送で行います。

2.宅地建物取引業

宅地建物取引業を営むのに必要な免許で国土交通大臣により交付されます。宅地建物取引業の免許を受けて営業を行うには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 事務書に宅地建物取引業に関わる契約締結の権限を有する人員を配置する
  • 事務所等ごとに従業員5人あた1人以上の宅建建物取引士を配置する
  • 営業保証金を供託している、あるいはそれに代えて、各都道府県の宅地建物取引業保証協会に弁済業務補償金分担金を納付している

国交大臣の免許を受ける場合は管轄の都道府県知事経由で所轄の地方整備局宛に書類を提出するほか、都道府県知事の免許を受ける場合は管轄の都道府県知事に書類の提出が必要です。国土交通大臣の免許を新規に受ける場合は登録免許税9万円、免許更新を受けるには手数料3万3,000円がかかります。

3.管理業務主任者

マンション管理業を営む事務所の場合、必ず1名以上の管理業務主任者を配置することが義務付けられています。

管理業務主任者はマンション管理業協会が認定を行っている国家資格です。試験に合格して管理業務主任者として登録し、主任者証の交付を受ける必要があります。試験は年1回で、受験手数料は8,900円です。

4.不動産鑑定士

不動産鑑定士は土地や建物の有効利用を判定して適正な価格を判断するとともに、不動産の有効利用や開発計画の策定など総合的なアドバイスを行う専門家です。

国土交通省の土地鑑定委員会により試験が年1回実施されています。短答式試験と論文式試験の2部からなり、試験に合格し、実務補修を修了すると登録を受けられます。

5.土地家屋調査士

土地家屋調査士は法務省が認定している国家資格で不動産の所有者に代わり、不動産の表示に関する登記の申請手続きや不動産の調査・測量などを行う専門家です。

土地家屋調査士の試験は年1回で、前期の筆記試験および後期の口述試験からなります。こちらは8,300円の受験手数料がかかります。

不動産の開業でよくある失敗例

不動産業の開業でよくある失敗例として2つのケースをご紹介します。

信用や知名度が低くて集客しにくい

不動産で開業したばかりの頃は、実績が乏しいため信用や知名度が低いのはやむを得ない状況です。顧客としては実績が多く有名な業者を選び、信用や知名度の低い駆け出しの不動産業者は避ける傾向があります。

会社員だったころの取引先や知人からの紹介など人脈を利用して少しずつでも案件を獲得して実績を積んでいくことが肝要です。

経営資金が不足してしまう

せっかく独立開業しても資金が不足する状態が続くと、経営が立ち行かなくなる可能性があります。資金計画が甘いまま開業に踏み切ってしまうことも事業者が陥りやすいケースです。

そのため、開業資金だけでなく事務所の賃料や広告宣伝費用など開業後の運転資金も想定して資金計画を立てるとともに、収支の資金管理もしっかり行う必要があります。

不動産の開業で成功するコツ

不動産の開業で成功するコツ

不動産業で成功するために役立つ4つのコツをご紹介します。

資金を抑えて開業する

不動産の開業には多くの費用がかかるため、少しでも初期費用を押さえて経営を軌道に載せる工夫が大切です。

法人設立費用や宅建協会への入会費などの費用の削減は不可能です。営業保証金として500万円を供託する代わりに不動産保証協会あるいは宅建協会に弁済業務補償金分担金を60万円預ければ初期費用を大幅にコストダウンできます。

また、不動産業務もインターネット経由でのやりとりを主体にして来店数を抑えることで、物件の内装工事費用を最低限に抑えられます。デスクや椅子・パソコンなどの機器類も中古で揃えれば備品費もある程度削減できるでしょう。

不動産業では、不動産業務を行わずとも不動産投資で開業する方法もあります。
不動産投資の始め方については下記記事を参考にしてください。

脱サラして不動産投資を始めよう!成功に必要な準備や始め方とは

不動産関係の人脈を形成する

案件獲得につなげるには賃貸や売買を問わず、物件・オーナー・顧客の情報をいち早く入手することが不可欠です。迅速な情報入手には不動産業界で人脈を広げる必要があります。

独立前に取引があった顧客との人脈を利用するのはもちろんのこと、同業他社と共同で仲介を行う、全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)の研修会に参加して同業者との情報のやりとりを密にするなどできることはたくさんあります。

Webサイトを活用する

前述のとおり不動産業で成功するには人脈形成が不可欠なものの、需要を確保するには限界があります。

人脈に加えて集客に活用できるのがWebサイトです。低コストで高い集客効果が得やすいため費用対効果の面で優れています。

Webサイトでは、物件情報の見せ方が集客を左右します。顧客は短時間でできるだけ多くの物件情報にアクセスしたいと願っているため、テキスト情報だけでなく写真や動画を活用して物件の様子がよりリアルに伝わるようにしましょう。

不動産をフランチャイズで開業する

不動産業を始めるには自力での独立開業のほか、不動産フランチャイズに加盟する方法があります。フランチャイズでの開業にはさまざまなメリットがあります。

高い知名度に裏打ちされたブランド力を営業に生かせるため、単独での開業と比べると顧客からの信頼を得やすく、よりスムーズに案件を獲得できるでしょう。

本部からはテレビCMやオンライン広告・チラシ配布などの宣伝を通じた集客サポートが受けられるため、自力で集客するよりもスムーズに来店を促進できます。

加えて、本部から経営サポートを受けられるため経営知識や経験が不足しているなかでもノウハウが学べるほか、アドバイスが必要な場合は相談できるのが心強い点です。

不動産で独立・開業できるフランチャイズ

多数ある不動産フランチャイズのなかから、おすすめの3つのグループをご紹介します。

SUMiTAS

破格のロイヤリティーで不動産売買仲介業に参入できる!本部の手厚いサポートもあり、安心して長期運営を実現できます。さらに、独自サイトの集客力に加えて『SUMiTAS』ならではのブランディング力が強みです。

最大のポイントは、直営店がとにかく強い営業力を保持していること。
この営業力を惜しみなく加盟店に提供するため、対顧客トーク音源の共有や、営業マンとの査定訪問同行などの学習なども実施しています。

ハウスドゥ

不動産売買仲介専門のフランチャイズでは店舗数第1位で、東証プライム市場の上場企業でもあるなど大手並の信用力を誇ります。

初期投資を低く押さえられるので異業種からも参入しやすく、手数料収入・在庫なしの低リスクビジネスで、営業利益25%を確保しています。加盟店には創業以来30年の現場で培ったノウハウやシステムが提供されます。システム利用や各種サポートを含めたロイヤリティも月額固定で安心です。

リノスペ

レンタルスペース事業を展開するフランチャイズ本部です。リノベーションの専門家が作ったレンタルスペースや室内キャンプに特化したスペースなど、おしゃれで快適な空間を安価で利用できると人気があります。

スペースを貸し出すビジネスのため、オーナーが現場に出向いたり、スタッフを採用したりせずに運営が可能。人件費だけでなく材料費もかからないビジネスモデルで、開業3ヵ月での黒字化も目指せます。

不動産の開業についてまとめ

不動産業の開業には多くの初期費用がかかります。開業には事務所用物件や宅建協会への加入、宅地建物取引士や宅地建物取引業の資格取得などさまざまな準備が必要です。

独立開業しても知名度や信用の低さや経営資金不足などが原因で頓挫するリスクもあります。初期費用を押さえて人脈を広げるとともに、WebサイトやSNSなど低コストの宣伝広告手段を利用するなどの工夫が不可欠です。

不動産の開業を成功させる方法として、不動産会社に就業して経験を積んだり、フランチャイズの支援を受けたりすることも検討すると良いでしょう。

不動産で独立・開業できるフランチャイズ

公開日:2022年12月20日

よくある質問

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