脱サラでバー経営を成功させるには?開業資金の目安・準備手順を解説

公開日:2021年11月29日

お酒を楽しむことが好きな人のなかには、脱サラしてバーを経営してみたいと憧れを持っている人もいるでしょう。バー経営を成功させるにはお酒の知識以外にも、立地選びや集客方法などさまざまな知識や準備が必要です。

今回は、開業前に押さえておきたい5つの基礎知識を厳選し、バー経営の手順、必要な資格などをご紹介しています。開業前にやるべきことを理解し、バーオープンへの夢を一緒にかなえましょう。

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目次

バー経営を始める前に知っておきたい5つのこと

バー経営を始める手順

経営イメージを膨らませてバー開業の準備を進めよう

バー経営を始める前に知っておきたい5つのこと

 バー経営を始める前に知っておきたい5つのこと

脱サラをしてバーを開業し、経営を成功に導くには、事前準備と事前知識が必要不可欠です。本章では、開業前に絶対に知っておきたい5つの項目をピックアップしました。バー開業に必要となる基本的な知識を確認していきましょう。

バーの種類と特徴

バーと一口に言っても、サービスの提供の仕方や客層によって名称が異なります。バーの種類や特徴を、以下にまとめました。

  • オーセンティックバー
    オーセンティックは「本物の」という意味を持つフランス語です。オーセンティックバーは本格的なバーカウンターが店内に備え付けられている、格式高いバーを指します。

  • ショットバー
    グラスで1杯ずつお酒を提供するバーのことです。オーセンティックバーよりもカジュアルで、気軽に立ち寄りやすいお店を指します。

  • スタンディングバー
    立ち飲みのバーで、軽くお酒を飲みたいと考えるお客さんが集まるため、回転率や集客数の高さが魅力のバーです。

  • ダイニングバー
    食事とお酒を一緒に提供するスタイルのバーを指します。雰囲気はカジュアルなものが多く、グループが会話を楽しみながらお酒を飲めます。

バーの種類を考えるとき、スナックを思い浮かべる人もいるかもしれません。スナックの正式名は「スナックバー」となり、お酒と料理を提供があり、カウンター越しに立つ女性スタッフとカラオケや会話を楽しむお店を指します。なお、スナックは「風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律」の1号業務に分類されるため、午前0時以降の営業が認められていません。

バーを開業する際に、どの種類を選ぶかによって経営方針、コンセプト作りや内装などの開業準備の手順も大きく変わります。自身がどのようなバーを開業したいかイメージを描き、最初にしっかり検討することがポイントです。

開業資金の目安額

脱サラ前に開業資金の準備をしておきましょう。バーの開業資金は大きく開業前と後に分けられ、開業前に500~600万円、開業後の運転資金に500万円ほどかかるのが一般的です。テナント向けの物件の家賃は保証金として6ヵ月~10ヵ月必要になるケースもあります。

設備や内外装の費用だけでなく家賃や開業後の資金も計算に入れて、自身に必要な開業資金がいくらになるか事前に計算しておきましょう。

モチベーションの変化

脱サラしてバーを開業すると意気込んでいるときは、会社を辞めて絶対に成功させるとモチベーションが高い状態です。しかし、実際にバーを始めると、目の前のオペレーションに忙しくなり、売り上げや仕入れ、集客数など見込み通りに進まずモチベーションが維持できないこともあり得ます。

モチベーションの低下から、お客さんへの対応が無意識のうちに雑になったり、従業員がいる店舗であれば士気が下がったりして経営の悪循環が生まれるかもしれません。

「脱サラしてバーを経営する」という一時的な気持ちの高ぶりではなく、中長期的に自分のモチベーションをコントロールして、「経営を続ける」姿勢が大事です。

物件選びの重要性

バー開業に限らず飲食全般に言えることですが、開業準備にあたり物件選びの重要性を理解しておきましょう。物件は一度決めたら簡単には変更できず、客足に大きく影響を及ぼす要因の1つになります。

駅からの距離、人通り、近隣住民の人口構成(単身の会社員とファミリー層のどちらが多いかなど)、築年数、競合店など総合的に判断して適した物件を選ぶことが大切です。

また、下記の項目も物件選びのポイントなので、事前に詳細を確認しておきましょう。

  • 排水、換気設備が整っているか
  • 看板や装飾の設置に寛容か
  • 管理会社がきちんと対応してくれるか
  • 近隣店舗の環境や客層・経営者の人柄はどうか

どのような店を作り、いくら稼ぎたいのかによっても選ぶ物件は異なります。たとえば繁華街でたくさん稼ぎたい人もいれば、住宅地で地元の人にお酒を提供し静かに営業したい人もいるでしょう。自身のお店のイメージや目標を具体的にして物件を選ぶことが大切です。

実用性の高い内装や備品を選ぶ

バーの内装や備品は見た目だけでなく、実用性を重視して選ぶことがポイントです。バー経営を目指す人のなかには「かっこいい内装にしたい」「アンティーク調のおしゃれな椅子を置きたい」など、内装や備品に対する強いこだわりを持っている人も少なくありません。しかし見た目だけで内装や備品を選んでしまうと、掃除がしづらい、長時間座っているのが疲れる、ドリンクを作りやすいスペースが不足しているなど、業務に支障が出る場合もあります。大前提としてドリンク作成から提供までの導線を具体的にイメージして設計に落とし込み、内装デザインを決めていきましょう。

とはいえ「おしゃれなお店にしたい」という理想も、他店との差別化を図るうえでは大切な要素です。業務のしやすさ、お客様目線の居心地の良さ、お店のコンセプトなどを総合的に鑑みて検討を進めてください。

バー経営を始める手順

 バー経営を始める手順

バー経営の基礎知識を押さえたら、次は実際にどうやって開業するのか手順を理解しましょう。ここでは、バーを始める手順を6つのステップに分けて解説します。

1.バーの種類やコンセプトを決める

1つ目の手順は、どのようなバーを開くか概要を決めることです。前述したように、バーにはオーセンティックバー、ショットバーなどさまざまな種類があります。どの種類のバーにし、コンセプトをどうするかお店全体の具体的なイメージを固めましょう。コンセプトの例は以下のようなものがあります。

  • 人がたくさん集まる賑やかなバー
  • カウンターのみの、薄暗く大人っぽいバー
  • 音楽を楽しむバー

このときに決めたコンセプトや店の形態は、備品やメニュー作り、販促などを大きく左右する重要な要因です。「なんとなくバーを開業する」というあいまいな状態では、コンセプトがブレて個性のないお店になってしまう可能性があります。バー開業にあたり、最初の構想をしっかり練っておきましょう。

2.開業資金を準備する

どのようなバーにするか決めたら、必要な資金を用意しましょう。バー経営には開業前の準備資金と開業後の運転資金をあわせて、およそ1,000万円ほどが目安となります。

資金の調達方法として、次のような方法があります。

  • 貯金
  • 家族や友人、親族からの資金援助
  • 金融機関の融資
  • 銀行や信用金庫からの融資
  • 助成金、補助金の活用

融資を受けたり、実際に使った費用を国から補助してもらったり、いくつかの方法を上手く利用することで全額を預貯金(自己資金)から捻出しなくても済みます。

ただし、助成金は雇用保険に加入している従業員を雇っていることが前提になります。また補助金は前払いした実費の内、一定の割合を後から補助してくれる仕組みなので、すぐにお金が手元に入るわけではない点に注意しておきましょう。

3.開業に必要な資格・許可を取得する

3つ目のステップは、資格と許可を開業前までに取得することです。バーを開業してお客さまに安全なサービスを提供するには資格と許可が必須となります。ここではバー経営に必要な資格・許可を以下にまとめました。

飲食店開業許可

飲食店営業許可の許可をもらって初めて店舗で調理した食品の提供とお酒の提供が可能となります。

飲食店営業許可は、営業許可申請書、施設の構造および設備を示す図面(配置図)、などを提出し、施設の実地検査をクリアすると許可書が交付されます。オープン予定日から2~3週間前に行っておきましょう。

食品衛生責任者

営業許可とあわせて飲食店の経営に必要な資格が食品衛生責任者です。食品衛生責任者は食中毒が発生しないよう衛生面の管理、対策を講じる役割を持ち、食品衛生責任者養成講習会を受講して取得します。

講習は食品衛生学、公衆衛生学、食品衛生法を計6時間学びます。各都道府県の食品衛生協会によって取り扱いが異なるので、詳細は地域の協会へ事前に問い合わせてください。公衆終了後、オープン前までに保健所への届け出が必要です。

防火管理者/防火管理者選任届

防火管理者とは火災などの被害防止を目的に、消防計画の作成、防火管理業務を実施する責任者を指します。

店舗の収容人数が30人を超える場合、この防火管理者資格が必要です。この資格は建物の広さによって甲種と乙種に分かれているので、あらかじめ管轄の消防署に問い合わせてください。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

深夜酒類提供飲食店営業開始届の提出は、0時を超えて営業するバーが対象です。ただし、時間帯が地域によって異なるケースがあるため、事前に警察署の生活安全課へ問い合わせておきましょう。

特定遊興飲食店営業許可

0時以降に営業し、なおかつダーツ、カラオケ、ダンスパフォーマンスなどの遊戯施設を備えている場合は特定遊興飲食店営業許可を取得しましょう。

どのようなサービスが特定遊興にあたるか事前に警察署の生活安全課に問い合わせておくと、オープンのときに慌てずに済みます。

4.立地/物件選び

バーの経営を成功へ導くには立地・物件選びが非常に重要です。次に、出店エリアを決める3つのポイントを解説します。

  • エリアの集客見込み
  • 人目につきやすいか
  • 通いやすいか

集客数の見込みを把握するために、商圏調査(エリアマーケティング)を行いましょう。無料のツールを利用すれば簡単に商圏のリサーチが可能です。

ビジネス街か住宅地かで昼夜の人口の動きが異なりますし、学生や主婦、会社員といった層がどの程度そのエリアにいるのか知ることで、経営戦略を立てるのに役立ちます。また、駅から近ければ会社員が通いやすため集客数に良い影響を与えます。ターゲットが通いやすい場所がどこかを検討して、エリアと物件を決めましょう。

なお、エリアによっては深夜酒類提供飲食店の営業ができないケースもあります。都市計画法により、商業地域と住宅地域に分けられ、用途の制限がもうけられています。用途地域のルールは各都道府県により異なるので、自治体の都市計画図を確認してください。

5.お酒やグラスなど備品の調達

5つ目の手順は、備品の準備です。備品をカテゴリ別に分けてご紹介します。

  • ドリンク関連
    タンブラー、グラス、カップ、マドラー、シェーカー、バースプーン、ソムリエナイフなど

  • グラス磨き関連
    グラスハンガー、マット、トレシー、スポンジなど

  • テーブル関連
    ウォーターホン、アイスペール、コースター、ボトルキープホルダー、灰皿、皿、フォーク、おしぼり置き、伝票クリップ、キャッシュトレイなど

また、お酒の仕入れ先も物件決めと同時に検討するのがおすすめです。お店によって品揃えや価格が違うので、近場の業者をリストアップして比較すると良いでしょう。

6.販促方法を検討

最後にお店を認知してもらう方法を決めます。ターゲットが利用する確率が高そうなSNSで情報を発信したり、チラシを配ったりさまざまな方法があります。代表的な方法を以下でご紹介します。

  • SNS
    Instagram、Twitter、Facebook、LINE公式アカウントの利用など

  • 広告出稿
    フリーペーパー、検索サイトへの登録など

  • アナログ式の集客
    DMやチラシの配布、ショップカードを他店に置いてもらうなど

  • イベント実施
    音楽祭、試飲イベント、交流会など

また、どの層をターゲットにするかで効果的な販促方法は異なります。ターゲットとなる層は、具体的には下記の通りです。

1.バー近くの通りすがりの人
2.明確な目的をもって来店してくれる人(SNSや広告で店の存在を知って訪れる人)
3.来店客の再来店(リピーター)
4.知り合い

自店に足りていない層はどこか、どの層を狙った集客をしたいのか考え販促を行っていきましょう。

経営イメージを膨らませてバー開業の準備を進めよう

脱サラをしてバーを開業しても、事前の準備が甘いと軌道に乗せるのが難しくなります。開業資金の目安や手順など基本的な知識を押さえることが、バーの経営成功に近づくポイントです。

開業にあたり必要な資金をどうやって調達するのか目星をつけ、具体的なプランを立てながら、脱サラ後の新しいスタートに備えましょう。

よくある質問

Q バーの開業準備にどのような費用がかかるのか、内訳が知りたいです。 回答を見る
Q 開業資金を抑えてバーを始めるポイントはありますか? 回答を見る