脱サラして漫画家になるタイミングとは?兼業と独立の判断基準を紹介
最終更新日:2024年09月20日

絵を描くことが好きな人のなかには、脱サラして漫画家になり、自由に仕事をしたいと考える人も多いと思います。「漫画家は働き方が自由」「好きなことでお金をもらえる」など、一見華やかな仕事に見えるかもしれません。しかし計画的に脱サラをしないと、一定の収入が得られず生活が破綻するリスクもあります。
今回の記事では脱サラをして漫画家を目指す人向けに、漫画家になる注意点や兼業漫画家になるメリット、漫画家になるステップをご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、脱サラ計画の参考にしてみてください。
目次
脱サラ漫画家の収入目安とは
漫画家の平均年収は、約500万円前後です。原作がアニメ化されるなど人気漫画家になると、推定年収は印税と原稿料を合わせて数千万円〜数億円にのぼります。
漫画家の収入は、単行本などによる印税と原稿料の2つに大別できます。
印税
出版社によって異なるものの、一般的には本体価格の8%〜10%です。例えば印税が10%の場合、500円の本が売れたら50円が漫画家に支払われます。
原稿料
通常は原稿1枚につき〇円と単価が決められており、1枚4,000円〜です。人気作家になると1枚につき2万〜3万5,000万円のケースもあります。
たとえば、読み切りなど作品が掲載されたときは、原稿枚数×単価が収入です。ただし単行本化されなければ、印税は入りません。近頃はWebサイトやアプリといった電子媒体で連載を持つ漫画家も多く、単行本が出版されないケースも増えています。
なお、連載を持って数人のアシスタントへ業務を依頼した場合、稼働日数やアシスタントの作業スピードによって金額は変動しますが、月15万〜20万円ほど必要です。アシスタントの費用は漫画家本人が負担します。
脱サラで漫画家になるメリット
脱サラすれば、会社に出社し業務をしていた時間を漫画にあてられるので、漫画家としての収入を増やすチャンスも広がるでしょう。ここでは、脱サラをして得られる主なメリットを2つ解説します。
時間を自由に使える
1つ目のメリットは自由に働けることです。アシスタントの有無や漫画家の作業スピードにもよりますが、一般的に漫画を1枚仕上げるのに必要な時間は数時間から1日ほどです。副業や兼業漫画家だと、1ヵ月で仕上げられるページ数は20枚前後ではないでしょうか。
しかし脱サラをすれば漫画家の活動に専念できるので、人によっては数人のアシスタントと契約して月60枚〜80枚を仕上げられます。
このように、自由に時間が使え、描ける枚数を増やせる点が脱サラの大きなメリットです。
漫画の売り方を選べる
自分の意志で作品の売り方を選べる点も、フリーランスの漫画家になるメリットの1つでしょう。
作品を掲載、販売する一例をご紹介します。
出版社で連載する
メリットは出版社が宣伝をしてくれるので、描くことに専念できる点です。また連載が続けば、一定の原稿料が毎月入るので収入も安定しやすいです。
ただし、納期が決められているので毎月・毎週コンスタントに原稿を仕上げなければならず、体力や精神的にきつい面がデメリットかもしれません。
noteなどで直接販売する
noteには有料マガジンを販売する機能があるので、一定のファンがいれば漫画の定期購読から収入を得られます。またSNSを使ってオリジナル作品を販売することもできます。メリットは納期を自分で設定でき、第三者と契約書を交わす必要もないので自由に活動できる点です。
しかし、購入してくれるファンを獲得するまでに時間がかかり、その間収入が得にくいのがデメリットと言えるでしょう。
脱サラして漫画家になったら、どのような方法で収入を得たいのか、事前にメリットとデメリットを押さえて検討することが大切です。
脱サラで漫画家になるときの注意点
漫画家は好きな時間を業務にあてられ、好きなことで収入を得られると思われがちですが、脱サラをして漫画家となるにはリスクがつきものです。
次に、脱サラして漫画家になる際の注意点を4つお伝えします。
ヒット作が生まれるまで時間がかかる場合も多い
1つ目の注意点は、ヒットに恵まれない可能性があることです。脱サラして漫画家になり、作品を連載しても人気が出るまでには時間がかかります。
たとえ時間をかけたとしても人気が出る保証はなく、打ち切りの可能性もあり得ます。読者から支持されるまでには時間を要し、人気作家にならなければ原稿料もアップしません。漫画家だけで収入を得て、仕事を軌道に載せるには、時間の投資が欠かせません。
収入が途絶える可能性がある
会社員ではないので、案件が終了し新しい契約を取らなければ収入が途絶える可能性がある点も、漫画家のリスクの1つです。
連載が終わってすぐに新連載の企画が通る人もいれば、連載終了から次の連載まで1年〜3年ほど期間が空く人もいます。もし収入が途絶えたときは、以下のような方法を検討しましょう。
- アルバイトをする
- ほかの漫画家のアシスタントをする
- 小さい連載を掛け持ちして、収入が途切れないようリスクヘッジをする
もし全く漫画家の収入がなくなったときはアルバイトや漫画家のアシスタントをしながら収入を得る方法があります。
また週刊連載は納期がタイトなので掛け持ちをする余裕はないかもしれませんが、月刊連載であれば複数掛け持ちをすることで、収入が0となるリスクを分散できるでしょう。
契約トラブルのリスクが高い
漫画家は出版社などと契約を交わしますが、不利な内容を盛り込まれてトラブルに遭遇するリスクも高いです。
たとえば次のような項目に注意して、不利な内容になっていないかきちんと確認しましょう。
- 専属契約
- 修正回数が無制限なのに、締め切りは先延ばしにできない
- 固定報酬
専属契約を交わすと、ほかの出版社などで漫画を描いて収入が得られません。もし固定報酬の額が低く、専属契約を結ばされた場合は十分な生活費が稼げなくなる可能性も高まりますので、契約を結ぶときは慎重に検討してください。
社会的信頼が低く不利になる場合も
4つ目の注意点は、社会的な信頼が下がってしまう点です。フリーランスの漫画家は「社会的な信頼が低い」と判断されやすく、住宅ローンなどの大きな買い物でローンが組みづらい傾向にあります。またクレジットカードを作るときや家を借りる際の審査も、通りにくくなるかもしれません。
脱サラして漫画家になると、会社員時代に比べてお金の自由が制限される可能性があるので、お金の使い方を踏まえて将来設計をしましょう。
兼業漫画家のメリットとは
兼業・副業で漫画家をするメリットは、下記の2つです。
- 本業で収入を得ながら漫画で収入を得られる
- ファンを増やせる
本業の仕事があると、原稿を描く時間は減ってしまいますが固定収入が得られるという大きなメリットがあります。
また、副業とは言え自身の漫画が世に出ればファン作りができ、モチベーションを保ちながら漫画を描き続けられるでしょう。
脱サラをする前に兼業漫画家の道も選択肢に加え、自身に適した働き方を慎重に検討してください。
脱サラで漫画家になるステップ
脱サラをして漫画家の収入を得て生活するには、さまざまな方法があります。本章では、脱サラをして漫画家になるステップの一例をご紹介します。
連載など実績を作る
まず、小さくても良いので漫画を形に残して実績づくりをしましょう。例えば以下のような方法があります。
- 連載をもらう
- 自分のSNSなどで作品を連載する
- 自力で作品を売る
いきなり連載をもらうのは難しいと思うので、まずは1本漫画を描き切ることを目指しましょう。そして描き切った漫画をSNSへ投稿したり新人賞へ応募したり、第三者の目に触れるよう発信します。
Twitter、pixivなどSNSで話題になった漫画が単行本化されるケースもあるので、ファンを増やしながらチャンスをものにできるよう、日々努力する姿勢が大切です。
事業計画を作る
次に事業計画書を作成をし、事業の見通しを立ててみましょう。事業計画書とは、1年間で行う業務内容や経営の戦略、収益の見込みを記載する書類です。起業するときに金融機関でお金を融資してもらう際に必要になります。
漫画家で融資を受ける人は少ないと思いますが、経営者感覚を身に付ける上で、事業計画書を作成するのは有効です。
事業計画書を作って営業の方法や戦略を決め、1年間の収入見込みを計算し、仕事を数字で捉えるよう習慣を作りましょう。
貯蓄をする
3つ目のステップは貯蓄です。会社員は毎月一定額の給料が決まった日に振り込まれますが、脱サラをすると契約を取らない限り給料は0円になります。
漫画家で食べていくには、連載を持つか読み切りを掲載してもらうなど、企業と契約をしなければなりません。すぐ契約が取れることは極めて稀なケースなので、収入がなくても生活ができるよう、脱サラ前に貯蓄をスタートしましょう。
家族やパートナーの理解を得る
家族やパートナーに納得してもらうことも、脱サラして漫画家をやる上で重要なポイントです。漫画家は会社員と違って収入が不安定になりがちです。そのため、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りにくい傾向にあり、生活に制限が加わる可能性も否定できません。
将来の生活に支障を出さないためにも、子どものことや家のことなど家族やパートナーと話し合い、理解を得ましょう。
開業届を出す
脱サラをして漫画で収入を得るときは、開業届の提出が必須です。開業届はインターネットで国税庁のサイトから簡単にダウンロードできます。
記入例を参考に記載して、最寄りの税務署に提出してください。提出期限は事業をスタートしてから1ヵ月以内で、手数料は不要です。
会社員と独立の違いを理解して脱サラ準備を進めよう
脱サラして漫画家になると個人事業主に該当するため、固定収入がなくなったり、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りにくいという側面もあります。
自由に働けて好きなことを仕事にでき華々しく見える漫画家ですが、漫画家の収入で生活をしていくには、事業計画を立てて経営者マインドを持つことが大切です。行き当たりばったりに脱サラをするのではなく、将来のイメージを描いて貯蓄をするなど事前準備を行い、長く漫画家の仕事が続けられるように計画的に事業を進めましょう。
公開日:2022年01月27日