公務員が早期退職するメリット・デメリットとは?退職金や事前準備についても紹介

最終更新日:2022年10月26日

公務員のなかには早期退職を検討している人も少なくありませんが、「仕事から解放されたい」という理由だけで退職してしまうと後悔するかもしれません。

今回は公務員が早期退職するメリット・デメリットを解説します。早期退職の事前準備のポイントも合わせて紹介しているので、どのような準備が必要なのかを確認してみてください。

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目次

早期離職する公務員の数は?

公務員が早期退職するメリット・デメリットとは

公務員が早期退職のメリットを大きくするには

早期退職後に民間企業へ転職する際の注意点

公務員が早期退職するメリットについてまとめ

早期離職する公務員の数は?

公務員は早期退職制度を利用することで、定年を迎える前に退職できます。早期退職制度とは、公務員の年齢別人員構成の適正化を図り、組織の活力を維持する目的で退職希望者を募集する制度です。

任命権者である人事院は、退職手当に関する条例に基づいて、年齢や職位、勤務部署などの退職条件を提示し、応募があった公務員の退職を行います。総務省の「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」によると、2020年度に退職した12万5,877人のうち、全体の2.7%を占める3,368人が早期退職制度を利用しています。

公務員が早期退職するメリット・デメリットとは

公務員が早期退職するメリット・デメリットとは

公務員が早期退職した場合、さまざまなメリットを得られます。ただし、デメリットにも注意が必要です。早期退職すると、どのようなメリット・デメリットがあるのかを以下にまとめたので、確認しておきましょう。

  • 条件を満たせば退職金が増額される
  • 人よりも長く自由な時間を得られる
  • 仕事上のストレスから解放される

早期退職のメリット

公務員が早期退職をした場合、次のようなメリットが得られます。

条件を満たせば退職金が増額される
人よりも長く自由な時間を得られる
仕事上のストレスから解放される

それぞれのメリットを以下で詳しく解説します。

条件を満たせば退職金が増額される

「定年前早期退職者に対する特例(退手法第5条の3)」に基づき、以下の条件に該当する国家公務員は退職金が割り増しされます。

  • 勤続年数が20年以上
  • 定年の6ヵ月前までに退職した45~59歳までの人

勤続年数が20年に満たない場合や、定年まで半年を切ってから退職した人は割り増しの対象外になります。

内閣人事局の調査「国家公務員制度 - 退職手当の支給状況(令和2年度)」によると、国家公務員の退職手当の平均支給額は次の通りです。

  • 定年:2,142万1,000円
  • 早期退職:2,551万9,000円

上記より、早期退職制度を利用した人の方が、退職金が割り増しされていることが分かります。

人よりも長く自由な時間を得られる

早期退職では定年を迎える前に退職できるため、ほかの公務員よりも早く自由な時間を手にできます。自由な時間が長いほど、好きなことに時間をあてられるため、より充実した生活を過ごすことができるでしょう。新しい趣味を始めたり語学教室に通ったりするなどの例が挙げられます。

仕事上のストレスから解放される

職場の人間関係の悪化や市民からのクレーム対応などでストレスが溜まると、精神的に大きな負担となります。早期退職すれば定年の時期を待たずに退職できるので、労働やストレスから早く解放されます。

早期退職のデメリット

公務員が早期退職した場合にさまざまなメリットを得られる反面、いくつかのデメリットがあります。たとえば、次のようなデメリットが発生しやすいです。

  • 安定した収入がなくなる
  • 再就職が難しい
  • 社会的信用が低くなる

上記のデメリットについて、詳細を解説します。

安定した収入がなくなる

公務員を早期退職すると安定した収入源がなくなり、生活費を賄えるだけの貯金がなければ、生活に支障を及ぼすリスクがあります。また、ケガや病気などの想定外の費用が必要になることもあるので、年金を受給できる年齢までの生活費を確保しておくと良いでしょう。

再就職が難しい

転職に有利なスキルや強みがない場合、民間企業への再就職は難しいといわれています。民間企業では、年齢が上がるにつれて重要な役割が期待されるため、一定以上のスキルや経験がなければ転職を叶えられないケースも少なくありません。

民間企業への転職を希望する人は、転職先で求められるスキルなどを確認しておき、転職するまでに必要な能力を身につけておきましょう。

社会的信用が低くなる

公務員は安定した収入があり、社会貢献を果たす重要な仕事に就いているため、社会的に信用が高い職業です。しかし公務員を早期退職すると、無職になったり転職して年収が下がったりすることで社会的信用が低くなり、クレジットカードなどの信用調査に通りづらくなる場合があります。クレジットカードの発行やローン契約の予定がある場合は、早期退職する前に済ませておくのも一つの方法です。

公務員が早期退職のメリットを大きくするには

公務員が早期退職のメリットを大きくするには

早期退職のメリットを大きくするには、退職後の生活プランを立て、収入源を確保しておきましょう。配偶者や子どもなどの扶養家族がいる場合は、家族から同意を得ておくことが大切です。

退職後のプランを明確にする

早期退職後にどのような生活をしたいか、具体的なプランを計画しておきましょう。プランを明確にする際は、ライフプランとキャリアプランの両方を考える必要があります。

ライフプランは、結婚や出産、新築・自動車の購入、子どもの進学などが挙げられます。キャリアプランは、どのようなキャリアを積み重ねていきたいか、希望する職種・業種に就くために必要な具体的な行動計画を立てましょう。

公務員を早期退職する際は、転職も視野に入れて退職する年齢を検討します。転職しないと決めている場合は、どのような生活を送りたいかを具体的に決めて、実現するために必要な生活費と貯金額を計算しておくと、早期退職の準備をスムーズに進めやすくなります。

収入源を確保しておく

早期退職する年齢が若いほど、退職後に必要になる資金は多くなるため、生活していけるだけの一定の収入源を確保しておきましょう。たとえば、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの非課税制度を利用する方法や、公務員の仕事とは別に休日などの空き時間を利用して副業を行い、副収入を得る方法があります。

公務員は、国家公務員法や地方公務員法によって、原則として副業は禁止されていますが、許可を得られれば可能な副業もあります。まずは公務員でも可能な副業の種類を把握しておくことから準備を始めてみましょう。

公務員が副業を禁止されている理由や、許可を得ればできる副業の種類などを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

公務員でもできる副業8選!公務員が副業できない理由や解禁についても解説

家族の理解を得てから退職を決める

配偶者や子どもがいる場合は、家族の理解を得た上で早期退職を決めましょう。養う家族がいると、家族がケガや病気をした場合に医療費がかかったり、子どもが海外留学を希望したために追加の教育費が必要になったりと、想定外の費用がかかることもあります。安定した収入源がなくなると、生活が困窮するリスクがあることも理解しておきましょう。

公務員は安定した給与や定年までクビにされるリスクが低いため、家族から早期退職を反対されるかもしれません。共働き世帯の場合は、配偶者の勤務先がテレワークや異動が可能かどうかも確認しておく必要があるでしょう。

一人で早期退職を決めるのではなく、早期退職したい理由や退職後の目的などを家族と話し合い、理解を得てから早期退職に向けて計画を進めていくようにしましょう。

早期退職後に民間企業へ転職する際の注意点

早期退職後に民間企業へ転職する場合、失業保険は受給できません。公務員と民間企業では必要なスキル・経験や働き方などが異なるため、それぞれの違いを理解しておくことも大切です。以下では、公務員が早期退職後に民間企業へ転職する際に気をつけたい注意点を解説します。

失業保険は受給できない

公務員は雇用保険に加入しないため、失業保険を受給できません。失業保険をあてにしている場合は退職後の生活費が不足する可能性があるので注意しましょう。ただし公務員は退職手当が支払われるため、再就職が決まるまでの生活費は退職金で賄うことができます。

退職手当は、月額給与と勤続年数による支給割合、退職理由などによって支払われる金額が変わってきます。退職手当の金額を知りたい場合は、以下の計算式を用いて計算してみてください。

退職手当支給額:基本額(退職日の俸給月額 × 支給割合)+ 調整額

支給割合は、退職理由や勤続年数によって異なります。たとえば、勤続20年の国家公務員の支給割合は、自己都合退職が19.6695、早期退職制度を利用した場合は26.3655となっており、早期退職制度を利用した人の方が支給割合は高くなります。

出典:1 退職手当制度の概要|人事院

公務員と民間企業の違いを理解する

公務員と民間企業の最大の違いは、民間企業のほとんどが営利目的で事業経営を行っていることです。公務員は税金を財源としており、営利を追求する必要がなく、廃業する心配がありません。

一方、民間企業は十分な売り上げがないと、社員の給与や運営に必要な資金を確保できず、廃業する恐れがあります。そのため、地域への貢献よりも、利益や成果を出すことが求められます。

民間企業では与えられた仕事をこなすことも大切ですが、主体的に動いて自ら仕事を作り出す能力も不可欠です。人事評価は能力に応じて報酬額が大きく変わるので、与えられた仕事だけをこなしていても評価してもらえない可能性があります。公務員と民間企業の違いを理解した上で、転職先で活かせる能力・スキルなどをアピールしましょう。

経験を生かせる仕事を探す

公務員から民間企業へ転職を希望する場合は、これまで培ってきた経験を生かせる職種・業種を見極めましょう。教師であれば塾・予備校の講師、警察官なら警備会社、法務局スタッフは司法書士・法律事務所の職員などの例が挙げられます。

プログラミングなどの専門的な技能は、デジタル人材を募集している企業の就職活動で有利になるでしょう。観光客の誘致などに関連した業務経験がある場合は、旅行会社のツアーコンダクターや空港の案内サービスなどの仕事を選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。

役所の窓口業務や事務の経験が豊富な人は、事務職やコールセンターなどの職種でこれまでの経験を生かすことができます。公的機関へ提出する書類作成の能力・スキルをアピールできるでしょう。ただし職種によって給与などの待遇が下がる可能性もあるので、転職先は慎重に探すことをおすすめします。

公務員が早期退職するメリットについてまとめ

公務員が早期退職した場合、人よりも早く自由な時間を得られるため、好きなことに時間をあてることができ、充実した生活を実現できます。職場の人間関係やクレーム対応による仕事上のストレスから解放されることで、精神的に安定した毎日をすごせるようになるでしょう。

ただし安定した給与を失うため、退職後の収入源を確保することも検討しておくことも必要です。たとえば、民間企業への転職を考えたり、退職後の独立を視野に入れて公務員をしながら副業を行ったりするのも一つの方法です。退職後に、より充実した生活を送るために、今からできる準備を進めておきましょう。

公開日:2022年10月26日

よくある質問

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