フランチャイズの開業資金はどう工面する?銀行融資や補助金の選択肢は?

最終更新日:2020年05月15日

フランチャイズでの独立・開業を検討するにあたって、「開業資金の調達」は大きな課題の一つです。

フランチャイズの開業資金は、加盟金や保証金、店舗に関する費用、研修費、広告宣伝費、求人費などがあり、本部側で店舗を用意する場合は約2,000万円、加盟店側で店舗を用意する場合は約3,000万円かかると言われています。

自己資金で賄えることが理想ではありますが、「フランチャイズで自分のお店を出したいけど、開業資金が足りない(全くない)…」とお困りの方も多いのではないでしょか。

今回は、フランチャイズの開業資金を調達する方法を大きく3つに分けて、それぞれのメリットやデメリットなどを詳しく解説します。

「資金は問題ないが、もっと開業資金を抑えたい」「起業したいけどフランチャイズで開業するか迷っている」という方にとっても有益な内容となっていますので、ぜひご覧ください。

目次

開業資金を調達する方法は?

日本政策金融公庫

銀行融資について

補助金、助成金をうまく活用

開業資金を融資で調達する際に必要なものは?手順は?

融資を受ける上で本部からのサポートはある?

まとめ

開業資金を調達する方法は?

フランチャイズの開業資金の調達として最もポピュラーなのが、「融資を受ける」という方法です。

具体的には、以下の3つが挙げられます。

・日本政策金融公庫からの融資
・銀行からの融資
・補助金、助成金の利用

融資を受けられる条件や金額などが異なるので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解した上で利用するようにしましょう。
 

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国が100%出資している政策金融機関です。

民間金融機関を補完する役割もあり、銀行で融資を受けられない中小企業経営者や個人事業主の開業資金の調達をサポートしています。

フランチャイズの開業資金の調達方法としてよく利用されるのは、以下の融資制度です。

■新創業融資制度
新たに事業を始める人、または事業を開始して間もない人を対象とした、無担保・無保証人で利用できる融資制度。
最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資を受けることができ、年利は1.11~2.58%となっています。
返済期間は併用する融資制度によって異なり、融資を受けるには創業資金総額の10分の1の自己資金が必要です。

■新規開業資金
新たに事業を始める人、または事業開始して約7年以内の人を対象とした融資制度。
最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資を受けることができ、金利は1.16~2.58%となっています。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。

また、日本政策金融公庫のメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】
・銀行よりも融資が受けやすい
・年利1~2%台という低金利で利用できる
・無担保、無保証人でも利用できる
・長期返済が可能
・許認可前でも融資の決定を得ることができる

【デメリット】
・ある程度の自己資金が必要(創業資金総額の10分の1)
・融資審査に時間がかかる(融資が決まるまでの平均期間が3週間)

日本政策金融公庫は他の方法と比べて融資のハードルが低いので、フランチャイズ開業にあたって自己資金が少ない、担保がない、保証人が見つからないという方におすすめです。
また、経営が安定するまでの期間を考慮して返済期間を長期に設定できる点も安心できます。

銀行融資について

銀行融資は、メガバンクや地方銀行などの金融機関から開業資金を調達する方法です。

融資した企業が倒産するなどして貸し倒れになるリスクを防ぐため、審査条件が厳しく、金利も高めに設定されていることが多いです。
ですが、フランチャイズ開業の場合は銀行からの信用が得やすく、特に大手や評判の高い本部であれば、個人で独立するより審査に有利になります。

銀行融資は、主に以下の2種類あります。

■信用保証付き融資
信用保証協会が保証人としてつく融資方法。
返済が滞った場合、信用保証協会が代わりに金融機関に返済します。
銀行が融資を行うリスクが低いので比較的資金調達がしやすいですが、毎年信用保証協会に保証料を支払う必要があります。

■プロパー融資
信用保証協会が保証人としてつかない、銀行が自らリスクを負う融資方法。
保証料は不要ですが、信用保証付き融資より審査基準が厳しくなります。

また、銀行融資のメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】
・個人で独立するより融資を受けやすい
・プロパー融資の場合、融資金額に上限がない

【デメリット】
・日本政策金融公庫より審査条件が厳しく、金利も高め
・自己資金がない状態で融資は受けられない

銀行融資で開業資金を調達するには、銀行からの信用を得られるかが重要なポイントです。
本部の知名度が低い、未経験・実績なしで独立・開業するなどの場合には他の調達方法を検討した方が無難かもしれませんが、社会的信用のあるフランチャイズであれば銀行融資は非常に有効な方法だと言えます。

補助金、助成金をうまく活用

補助金や助成金を受給することも、フランチャイズの開業資金を調達する方法の一つです。

それぞれの特徴と、フランチャイズで開業する場合に利用できる補助金・助成金をいくつかご紹介します。

【補助金】
公募期間や募集枠が限られており、募集枠や予算を超えると申し込みが締め切られます。
申込者の中から審査を行って受給者を決定するので、受給できない場合もあります。

■創業・事業継承補助金(50万~200万円)
新たに創業、事業を継承する際に受給できる補助金。

■ものづくり補助金(補助額:100万~1,000万円)
新事業創出のための試作品の開発、設備投資を行う際に受給できる補助金。

■小規模事業者持続化補助金(補助額:~50万円)
新しい商品・サービスの販路を開拓する際に受給できる補助金。

■IT導入補助金(補助額:40万〜450万円)
業務効率化のためのITツールを導入する際に受給できる補助金。

【助成金】
1年中申し込むことが可能。
条件や資格を満たせば受給することができます。

■地域雇用開発助成金(助成額:50万円~×最大3回)
求人の少ない地域で従業員を雇う場合に受給できる助成金。

■トライアル雇用奨励金(助成額:~5万円×最大3回)
職業経験、技能、知識などから就職が困難な35歳未満の求職者を雇う場合に受給できる助成金。

■特定求職者雇用開発助成金(助成額:40万~70万円)
65歳以上の高年齢者を雇う場合に受給できる助成金。

また、補助金・助成金のメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】
・原則的に返済が不要
・社会的な信用度の向上にもつながる(政府や自治体が認めた優良企業・事業)

【デメリット】
・原則的に後払い
・書類の準備や手続きに時間と手間がかかる

補助金・助成金の最大のメリットはやはり、返済が不要であることです。
フランチャイズ開業後、返済に苦しむことなく経営することができます。
ただし、補助金・助成金ともに費用を使用した後、雇用した後に支給される「後払い」の制度で開業前に使うことができません。
そのため、資金はあるけどもっと開業資金や運転資金を抑えたいという方におすすめの調達方法だと言えます。

開業資金を融資で調達する際に必要なものは?手順は?

開業資金を融資で調達する際に必要なものや手順はどのようになっているのでしょうか。

今回は、フランチャイズでの開業資金の調達によく利用されている日本政策金融公庫から融資を受ける際に必要なもの、手順をご紹介します。

【必要なもの】
・借入申込書
・通帳コピー
・創業計画書
・借入金のある場合は、支払明細書
・不動産の賃貸借契約書
・営業許可書、資格または免許を証明するもの
・見積書、工事請負契約書
・運転免許証のコピー
・関連企業の確定申告書及び決算書
・印鑑証明書
・代表者自宅の水道光熱費の支払い状況が分かる書類 など

【手順】
1.自己資金、必要書類の準備
2.窓口での相談・申し込み
3.面談
4.融資
5.返済

日本政策金融公庫に限らず、融資を受けられるかどうかは事前準備にかかっていると言っても過言ではありません。

・創業動機が明確であるか
・事業を継続していく自信があるか
・家族の理解があるか
・創業場所は決まっているか
・必要な従業員を確保できるか
・売上高や利益の予測ができているか
・自己資金を準備しているか
・思い描く事業のイメージを事業計画書にまとめられているか

などを熟考、整理し、提出書類の不備や不足がないよう準備を進めましょう。
手続きがスムーズにいくよう、フランチャイズ開業を決めたら早めに行動することをおすすめします。

融資を受ける上で本部からのサポートはある?

フランチャイズ本部の中には、加盟店が金融機関などから融資を受けるためにサポートしてくれるところもあります。

具体的には、

・事業計画書作成のサポート(損益シミュレーションデータの提供など)
・融資に関するアドバイス
・融資窓口の紹介

などです。

あくまで補助的なものなので、全て本部が対応してくれると勘違いしないよう注意しましょう。

また、金融機関に変わって本部が直接加盟店に融資する、加盟金を分割制にする、物件選びから店舗づくりまでを本部が出資して行うなど、直接的に支援をしているフランチャイズもあります。

本部によっては融資サポートの内容が異なり、中にはサポートを行っていない場合もあるので、説明会や面談などの際にしっかり確認しておくと良いでしょう。

まとめ

フランチャイズでの独立・開業で多くの方が抱える課題「開業資金の調達」は、金融機関から融資を受けたり、政府や自治体から支援を受けたりすることで解消の兆しが見えてきます。

これまで開業資金がネックでフランチャイズ加盟を諦めていた方にとっても、前向きに考える良い機会になったのではないでしょうか。

また、フランチャイズ開業にはタイミングも大事なので、開業資金が貯まってからと先延ばしにしていると大きなビジネスチャンスを逃すこともあります。
融資や補助、助成を受けることはビジネスチャンスを掴むだけでなく、運転資金のカバーにも役立つので検討する価値があると言えるでしょう。

ぜひ今回ご紹介した調達方法の特徴やメリット・デメリットなどを参考にベストな調達方法を見極めて、うまく活用してみてください。

公開日:2019年10月04日