車検のフランチャイズを始めるのに必要な準備
最終更新日:2024年09月20日
点検・整備の知識やお客様との信頼構築、効果的な集客などさまざまな要素が求められる車検事業を始めるなら、豊富な経営ノウハウがあるフランチャイズへ加盟するのがおすすめです。
こちらでは、車検フランチャイズを始めるときの開業資金や事業運営のポイント、おすすめの本部などをまとめているので開業前に基礎知識をつけましょう。
目次
車検フランチャイズの費用
はじめに、車検フランチャイズの開業・独立に必要な初期費用と運営資金を紹介します。
開業資金(初期費用)
車検フランチャイズを始めるために必要な開業資金(初期費用)は、670~1,680万円です。
主な費用には、加盟金・保証金、店舗・工場関連費、工具一式購入費、Webシステム導入費、研修費・広告宣伝費などが挙げられます。
このなかでも店舗・工場関連費は、加盟する本部の方針や経営者の状況によって大きく変わることに留意してください。
例えばすでに自動車整備工場を経営している方が車検フランチャイズを始める場合は、店舗スペースを追加するだけ、または指定工場(車検の点検や整備の実施が認められている工場)の取得手続きをするだけでよいケースがあります。
一方、工場をゼロから調達する必要があったり、大型店でカー用品の販売や自動車の買取サービスも行ったりする場合は1,000万円を超えることもあるでしょう。
また、多くの車検フランチャイズではお客様の予約や売り上げの管理を専用のWebシステムで行っており、導入時に費用がかかる可能性があります。
そのほかには点検・整備で使う工具一式類の購入費や、本部からサポートを受けるための加盟金・研修費の支払いが必要です。
運営資金
車検フランチャイズの運営資金は、1ヵ月で90~220万円です。
主な運営資金には賃貸料、人件費、整備用のパーツ購入費、Webシステム使用料、ロイヤリティなどが挙げられます。
賃貸料に関しては、すでに店舗や工場を所有しているのか、店舗の規模はどのくらいかなどによって変わるので、まずは本部の契約内容をよく確認することが大切です。
そのほかには、整備士やフロントスタッフの人件費、整備で使うパーツの購入費、本部によってはWebシステムの使用料を支払う必要があります。
また、フランチャイズへ加盟する際は、ロイヤリティの支払いも忘れてはいけません。
ロイヤリティの金額や支払方法は本部によって異なりますが、参考までに『マッハ車検グループ』のロイヤリティは車検1台あたり1,000円で設定されています。
こちらの記事でも車検フランチャイズの開業資金(初期費用)や運営資金について詳しく解説しています。
車検フランチャイズの開業・運営に必要な資金について詳しく見る
車検フランチャイズの特徴
こちらでは、車検フランチャイズのサービス内容やメリット・デメリット、事業運営の成功・失敗ポイントなどを解説しています。
「車検業界ならではの特徴を知りたい」「より多くのお客様にサービスを利用してもらいたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
サービス内容
車検フランチャイズのサービス内容は、下記の通りです。
- 予約管理
- フロントでの受付・問診業務
- 点検
- 整備
- アフターフォロー
- 従業員の教育
- 売上管理
- 集客
お客様の自動車を点検後、必要に応じて整備するのが車検フランチャイズの主な業務です。
また、当日の車検業務以外にも、事前の予約受付やアフターフォローなども重要です。
ただ、これらの業務は検査員や整備士、フロントスタッフが対応することがほとんどで、基本的に経営者は従業員の教育や売上管理、集客などの経営業務がメインだと考えてください。
車検フランチャイズは経営者1人だけで店舗を運営できない事業形態のため、従業員一人ひとりのスキルと意識を高める教育を行うことが大切です。
メリット
車検フランチャイズのメリットとしては、主に下記の3点が挙げられます。
- ほかのサービスと組み合わせて売り上げを伸ばせる
- リピーターを獲得しやすい
- 個人経営より効率的に業務を進められる
こちらでは、個人経営にはないフランチャイズならではのメリットについても解説します。
■ほかのサービスと組み合わせて売り上げを伸ばせる
車検事業は、ほかのサービスと組み合わせて相乗効果的に売り上げを伸ばせるビジネスです。
実際に車検フランチャイズのなかには、車検のお客様に板金やカー用品の販売などほかのサービスを提案することで売り上げを伸ばしている本部があります。
また「自家用車を購入した店舗で車検を受けたい」と考えるお客様も多く、以前に車の購入で来店したお客様が車検で再度来店するケースも珍しくありません。
車の買取や販売などを小さな個人経営店が行うことは難しいため、ビジネスを横に展開できるのは資金力があるフランチャイズならではのメリットです。
■リピーターを獲得しやすい
車検は新車の購入から3年、それ以降は2年ごとに必ず実施しなければいけないため、車検のたびに車検会社を変えるのは面倒だと感じるお客様が少なくありません。
そのため1度でも自店舗で車検したお客様は、次回以降の車検でもリピートで利用してくれる確率が高いです。
また、車検フランチャイズのなかには「2回目以降の車検では料金が最大60%割引」など、お客様が次の車検でも利用したくなるようなサービスを打ち出している本部もあります。
大規模な割引キャンペーンを定期的に実施し、お客様の注目を集めリピーターを増えやせる点は車検フランチャイズならではのメリットでしょう。
■個人経営より効率的に業務を進められる
車検フランチャイズのなかには、予約状況や顧客情報を一括管理するWebシステムを導入し、車検時間の短縮や従業員の労働環境改善に乗り出している本部が多いです。
そのほかにも、豊富な経営ノウハウを活用し、整備士が2名のみ、従業員のほとんどがアルバイトの状態でスムーズな店舗運営を叶えている本部もあります。
車検フランチャイズには、個人経営にはない自社専用Webシステムや今までの豊富な知見があるため、整備や受け付け、アフターフォローなど多岐にわたる業務を効率的に進めることが可能です。
デメリット
車検フランチャイズには上記のようなメリットがある一方、下記のようなデメリットがあることも理解しなければいけません。
- 強い責任感と信頼感が求められる
- 他社と料金やサービスを比較されやすい
こちらでは、それぞれのデメリットについて解説します。
■強い責任感と信頼感が求められる
車検事業は何かトラブルが起こったとき、飲食業や小売業のように「返金または返品すれば解決」とはならないため注意してください。
整備記録の記載漏れや整備ミスを見逃せば、大きな問題に発展する可能性もあります。
また、お客様は自分の愛車を預けることもあり、信頼できる車検会社を利用したいと考えていることがほとんどです。
例えば『ホリデー車検』では、お客様に安心してもらうために整備士による立ち会い説明を実施しています。
車検フランチャイズの本部は各社が信頼獲得に向けて努力しているので、本部を選ぶときは「顧客の信頼や満足を得るためにどのような取り組みをしているのか」を調べてみるのもよいかもしれません。
■他社と料金やサービスを比較されやすい
車検代は高ければ10万円を超えることもあります。
そのため、特に初めて車検を行うお客様のなかには、事前にいくつかの車検会社へ見積もりを依頼しているケースがよく見られます。
車検料金だけでなく、アフターフォローの充実度も他社と比較されやすいポイントです。
車検フランチャイズには、資金力があるからこそできるサービス、研修で習得した質の高い接客、明瞭な料金体系などさまざまな強みがあるので、他社には負けない魅力を積極的にアピールするようにしましょう。
成功・失敗のポイント
車検フランチャイズには知名度が高い大手が多いため、競合に勝つためには戦略的な事業計画を練る必要があります。
こちらでは、車検フランチャイズの成功・失敗ポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
■顧客との接点を増やす
車検フランチャイズはリピーターを獲得しやすい点がメリットですが、知名度の高い競合他社が多い点が不安要素として挙げられます。
そのため適切な時期にお客様へ車検の案内ハガキを送ったり、車検以外のキャンペーンも宣伝したりなど、他社に既存顧客を奪われないようこまめにアプローチすることが大切です。
また、既存顧客を増やすのと同時に、店頭や公式サイト、Web広告などで新規顧客の獲得に力を入れる必要もあります。
車検は近隣のお客様が主なターゲットとなるため、地域の飲食店や病院、求人サイトなどが掲載されるポータブルサイトに自店舗の情報を掲載するのもよいでしょう。
■アフターフォローにも力を入れる
車検後のアフターフォローは、当日の車検対応と同じくらい重要です。
アフターフォローの内容は車検会社によって異なり、例えば『ニコニコ車検』では自店舗で車検したお客様にガソリン代の割引クーポンや2年間の整備保証、6ヵ月と18ヵ月の無料点検サービスを提供しているようです。
「2年間の保証」や「6ヵ月と18ヵ月の無料サービス」などの長期にわたるアフターフォローは、お客様が他社へ乗り換えることを防ぐ効果が期待できます。
車検フランチャイズにはアフターフォローが充実している本部が多いので、お客様から依頼がくるのを待つのではなく、店側からお客様へ積極的にサービスを提案しましょう。
■ビジネスを横展開する意識をもつ
メリットの章でもお伝えした通り、車検事業は車の買い取りや販売、傷の修理、カー用品の販売などほかのサービスと組み合わせやすく、特に車検フランチャイズの加盟店では複数のビジネスを同時に展開していることが多いです。
そのため車検以外にもサービスを行う場合は、車検のお客様がほかのサービスにも興味を持つような工夫をすることが売り上げ増加につながります。
車検のついでにほかのサービスを宣伝するのもよいですし、ハガキでこまめに案内を届けるのもよいでしょう。
実際に加盟店のなかには、車検でお客様と信頼関係を築いた後に板金サービスを提案し成功したケースもあります。
事業を横展開する意識を持つことはもちろん、信頼関係が重視される車検業では、誠実なサービスを地道に提供し続けることが大切です。
車検フランチャイズを始めるときの準備
車検フランチャイズを始めるときは、店舗・工場の調達や開業前の研修、広告宣伝活動などさまざまな準備が必要です。
こちらでは、開業前にすべき準備をまとめているので大まかな流れを押さえましょう。
店舗・工場
車検フランチャイズを始めるためには、まず点検・整備を行う工場、お客様の待合室として使う店舗、場合によってはカー用品の販売スペースなどを用意しなければいけません。
すでに自動車整備工場や自動車販売店を経営している場合は、工場の取得や店舗づくりだけで済む可能性があります。
ゼロから事業を始める場合であっても、基本的には本部が店舗物件を紹介してくれたり、工場の取得をサポートしてくれたりするので安心してください。
また、多くの本部では開業前に市場調査をしてくれるため、事前に出店エリアの車検需要の予測を立てることが可能です。
店舗と工場を用意した後は、内装・外装工事を済ませ、車検に必要な設備や工具、看板、待合室の備品などを搬入します。
研修・教育
車検フランチャイズはお客様の愛車を預かる責任が重いビジネスということもあり、手厚い研修制度を用意している本部が多く見られます。
それぞれの会社によって研修内容や期間は異なりますが、例えば『車検の速太郎』では検査員と整備士、フロントスタッフ、店長の研修をそれぞれ分けて、各ポジションのオペレーションを徹底的に教育しているのが特徴です。
そのほかにも車検大学という研修を開催して業務を幅広く教育している本部もあれば、開業後に経営者のコンペティションを開いて情報交換を促している本部もあります。
研修制度は本部の風土や理念を知れる一つの基準でもあるので、加盟先を決めるときはよく内容を確認しましょう。
集客
車検フランチャイズの集客方法は多岐にわたり、情報に敏感な顧客をターゲットにしたSNS発信や、デジタルが苦手な方向けのチラシやFAXなどさまざまです。
また、テレビ・ラジオCMなど、個人経営では叶わないような大規模なマスメディアを活用している本部も珍しくありません。
集客業務は本部のマニュアルや指示に従うことが多いため、経営者自身に専門的な知識がなくても基本的には大丈夫です。
ですが、どのような集客方法が効果的なのかを知るためにも、開業後は本部から提供される集客データや人気店の集客方法を研究する必要があります。
車検フランチャイズの本部選びのポイント
車検フランチャイズの本部選びで重要なポイントは、大きく以下の3つが挙げられます。
- ブランド力や知名度があるか
- 業務システムや研修制度が整っているか
- 事業の方向性に納得がいくか
車検フランチャイズには、テレビやラジオを活用した大規模な宣伝を行っている本部が多くあります。
各本部が集客に力を入れ競い合っているなか、集客力が弱くブランド力や知名度が低い本部に加盟するのはあまり得策ではありません。
また、店舗運営の効率化を意識しているかどうかを確認するのもおすすめです。
例えば車検フランチャイズのなかには、タッチパネルの画面越しから点検の様子を映したり、部品の説明を表示したりすることで、業務の効率化や信頼獲得につなげている本部もあります。
ITを活用できているかどうかは、その本部の将来性を判断する一つの材料となるでしょう。
そのほかにも、自分の理想と事業の方向性が合っているかどうかは、モチベーションを維持しながら店舗運営するために重要です。
おすすめのフランチャイズ
ホリデー車検
『ホリデー車検』は、高いリピート率と顧客満足度を誇る車検フランチャイズです。
人気を集める理由の一つとしては、お客様が実際に車検に立ち会いながら整備士から説明を聞ける独自システムが挙げられます。
自動車の部品や状態を実際に見ながら整備の提案をしてもらえるので、お客様へ「余計な費用をとられているのでは」という不信感を抱かせることはありません。
また『ホリデー車検』には、車両販売や塗装などほかのサービスをお客様へ提案することで、車検以外の売り上げを伸ばしている店舗も多くあります。
カーコンビニ倶楽部
『カーコンビニ倶楽部』は、車検を含め自動車のトータルサービスを手がけるフランチャイズです。
車検の実施前に車の状態を確認する立ち会い診断と、診断後の即座な見積もりの2ステップでお客様の信頼を獲得しています。
軽板金を主軸としたフランチャイズ本部のため、板金業に加えて新たに車検業を展開したい方に向いていると言えるでしょう。
フランチャイズ加盟プランは通常のFC契約とサテライト契約の2つがあり、開業前には初期技術教育とフロント教育を受けられます。
オートバックス
『オートバックス』といえばカー用品販売店のイメージが強いかもしれませんが、車検やメンテナンス、買い取りなど幅広い事業を展開しています。
『オートバックス』は自動車業界で高い知名度を誇る車検フランチャイズのため、お客様からの信頼が厚い点が強みだと言えるでしょう。
車検後は1年間無料でタイヤや窓ガラス、傷の修理に対応したり、メンテナンスが割安料金で利用できたりなど、お客様のニーズに応えるサービスを提供しています。
公開日:2021年03月22日