脱サラ後に蕎麦屋を開業した際の失敗例は?成功する繁盛店のヒントを紹介

最終更新日:2023年04月03日

趣味や食べ歩きなどをきっかけに、脱サラ後に蕎麦屋の開業をしたいと考える人は少なくありません。しかしほかの飲食店と異なり、蕎麦屋の開業は難しい・失敗する可能性が高いと言われていますが、その理由はなぜでしょうか。この記事では蕎麦屋の開業でありがちな失敗例を踏まえて、開業準備の流れや繁盛店を目指すヒントを紹介します。

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目次

脱サラの蕎麦屋店主がやるべき準備とは

脱サラ蕎麦屋の失敗理由3選

蕎麦屋の開業で失敗しないためには

失敗談を参考に脱サラ蕎麦屋を目指そう

脱サラの蕎麦屋店主がやるべき準備とは

脱サラの蕎麦屋店主がやるべき準備とは

蕎麦屋を開業するまでには、店舗のコンセプトだけでなく、資金計画などの準備が欠かせません。蕎麦の麺は更科・十割など多岐にわたるため、脱サラ前に職人として修業を積むか、機械で製麺するかの検討も必要です。蕎麦屋を開業するまでの流れを簡単に解説します。

蕎麦屋のコンセプト決め

脱サラ前の段階からさまざまな蕎麦屋を視察して、自分が開きたい蕎麦屋のコンセプトを決めておくことが繁盛店を目指す第一歩です。コンセプトとは、物事や商品全体にわたる基本的な構想を指します。
コンセプトでは、最初に蕎麦屋を開業するエリア・立地条件と、主なターゲットにする客層を決めます。全ての年代のお客さんを受け入れるのが前提ですが、都市部と郊外、あるいはビジネス街と住宅街ではお客さんのニーズが変わります。出店エリアに合わせて店舗の外観・内装や提供メニューなど検討を行い、明確なコンセプトを打ち出しましょう。なお、メニューごとの価格は一度決めると値上げが難しいため、原価率や店舗を運営する費用を意識しながら、地域の相場に合わせて決めるようにします。

蕎麦職人として技術を習得

蕎麦屋を開業する前に蕎麦職人として修業を積むか、製麺機を導入して効率的に蕎麦を提供するかの方向性を決める必要があります。製麺機でも手打ち麺に近い品質の麺を作れますが、蕎麦づくりの技術があれば蕎麦屋として成功を目指すには有利です。

蕎麦屋に弟子入りする場合、蕎麦職人としてデビューするまで3年以上かかると言われています。脱サラ前に蕎麦屋に就職することになりますが、未経験者でもやる気と積極性があれば採用したいと考える店舗も少なくありません。「弟子」と明記した求人は少ないものの、弟子入りを意識して独立支援制度を設ける蕎麦屋もあります。

店舗運営の基本業務から蕎麦・サイドメニューの調理方法まで、蕎麦屋の運営に必要な知識・技術を一環して身に付けられるのが、弟子入りのメリットです。

資金計画を立てる

蕎麦屋の開業資金は店舗のエリアや客席数によって異なりますが、1,000万円前後が目安です。開業後の固定費や仕入れ費用などを考えると、3~6ヵ月程度の運転資金と生活費として別途600~1000万円ほど用意しておくと安心でしょう。

  • 店舗を借りる場合
    敷金・保証金、前家賃100~200万円前後

  • 内装工事や調理器具の購入費
    200万円前後

  • 石臼製粉機や製麺機の導入費
    200~300万円

機器類をリースにすると、開業当初の費用を抑えられます。居抜き物件を選べば調理器具などの購入費用も安く済むので、新品にこだわらない人には選択肢の一つです。

蕎麦屋を開業してもすぐに集客が安定するとは限らないため、開業資金とは別に運転資金も準備しておく必要があります。お客さんがゼロでも店舗の運営費用は発生し続け、生活費も必要のためです。資金不足で蕎麦屋の経営に支障をきたさないよう、脱サラする前に十分な資金を準備するよう意識しましょう。

融資を検討する

会社員が開業資金を2,000万円近く貯蓄するのは大変です。資金計画を立て、貯蓄で足りない分は金融機関からの融資を検討すると早期の開業を目指せます。

たとえば日本政策金融公庫では、新規に飲食店を開業する人を対象にした「生活衛生新企業育成資金(新企業育成・事業安定等貸付)」を提供しています。設備資金の融資を受けられますが、蕎麦屋の同業組合(振興計画認定組合)に加入していれば運転資金の融資も可能です。

創業者向けの融資商品を提供する銀行・信用金庫もあるため、開業計画を立てた上で相談すると良いでしょう。

資格や届出の対応をする

開業資金のめどが付いて店舗の場所を決めたら、最寄りの保健所に営業許可申請を行います。自治体ごとの許可基準に合致しないと営業許可が下りないため、内装工事を行う前に申請について相談すると良いでしょう。借りようとする店舗が許可基準に合致するかの確認も可能です。

また、営業許可を申請する前に食品衛生責任者の資格や、30席以上の客席を設ける場合は防火管理者の資格も必要です。どちらの資格も1~2日の座学研修だけで取得できるので、蕎麦屋の開業を決めた段階で早めに受講しておくことをおすすめします。

脱サラ蕎麦屋の失敗理由3選

脱サラ蕎麦屋の失敗理由3選

蕎麦屋は客単価が高い一方で来店客数は少なめの傾向となるので、利益率を考えながら店舗のコンセプトを組み立てないと経営に失敗する恐れがあります。手打ちでの麺作りも、客数が増えると体力面で負担になりがちです。蕎麦屋の開業に失敗する代表例を3つ紹介します。

失敗例1:製麺作業を甘く見る

蕎麦と一言で言っても、二八そばや十割そば・更科そばなど種類はさまざまです。麺の種類によって使うそば粉を変えたり、天候などに応じて製麺作業を工夫したりするなどの工夫も求められます。「麺をつくるのは簡単だ」と甘く考えていると、提供する蕎麦の品質がまちまちになり、お客さんが不満を抱く原因になるので注意が必要です。

手打ちで麺をつくる場合は、粉をこねて生地を伸ばすといった力仕事が毎日続きます。体力の限界で麺づくりが難しくなり、廃業を余儀なくされる人もいるようです。仮においしい蕎麦をつくることができたとしても、お客さんの数に見合った量の麺を作れなければ見込み客を失い、収益を圧迫してしまいます。開業前に製麺方法を十分検討しておきましょう。

失敗例2:利益回収ができない

提供する蕎麦がお客さんに好評でも、利益を確保できなければ蕎麦屋の営業を続けるのが難しくなります。ちなみに、そば専門店の1日の平均来店客数は45.4名、客単価は1165.4円です(※)。

売り上げを確保できたとしても、店舗の賃料や設備などを支払うと手元に残るお金が少なくなります。来店客数を増やそうとメニューの価格を安くしても、見込みどおりの来店がなければ赤字経営になってしまいます。その結果、利益が確保できず蕎麦屋の経営に失敗してしまうわけです。自分自身の生活費や店舗運営に最低限必要な費用を考えた上で、店舗の規模やメニュー価格を決める必要があります。

参照:厚生労働省「平成29年度生活衛生関係営業経営実態調査」

失敗例3:コンセプトがまとまらない

蕎麦屋としてのコンセプトがまとまっていなければ集客の戦略も立てにくく、開業が失敗に終わってしまいます。たとえば、住宅街で営業する蕎麦屋がカウンター席だけだと、家族連れのお客さんを取り込むのが難しくなります。同様に、ビジネス街で営業する蕎麦屋が麺・だしに徹底的にこだわったとしても、提供まで時間がかかるとランチ需要を十分取り込めないでしょう。

蕎麦へのこだわりだけでなく、立地条件に合わせてターゲットを設定するなど、蕎麦屋の経営には多面的な視点が必要です。

蕎麦屋の開業で失敗しないためには

蕎麦屋の開業で失敗しないためには

製麺方法や提供メニュー・席数といった店舗のコンセプトを開業前に明確にしておけば、失敗のリスクは軽減されます。コロナ禍を機に出前のニーズも高まっているため、収益アップの方法として検討するのも良いでしょう。ここでは、蕎麦屋の開業後に繁盛店を目指すためのヒントを紹介します。

製麺作業を自動化する

前述したように手打ちで蕎麦を打つのは重労働で、1日に製造できる麺の量も限りがあります。蕎麦打ちや調理を実演する店舗でもない限り、手作りの麺が集客に直結しないのが実情です。

製麺作業を機械化することで労力が大幅に軽減され、来店客数の増減に応じて製造する麺の量を柔軟に調整できます。製麺機の性能も向上しており、手打ち風の麺を大量に製造できる機種もあります。天候や粉の種類にかかわらず麺の品質を保てるのもメリットです。

セットメニューを考える

蕎麦だけでなく、ご飯ものやおかずといったサイドメニューを提供することも収益アップには効果的です。蕎麦単品で1,000円台はお客さんにとって高価な印象を与えがちですが、定食なら安いというイメージに変わる可能性もあります。

たとえば、丼ものや寿司などをセットにするとメニューの幅が広がるだけでなく、お客さんのお腹も満たせます。天ぷらやカレーといった、蕎麦自体のトッピングにも使えるメニューだと、調理の効率化も図れるでしょう。

  • 季節ごとにサイドメニューを変える
  • 夕食時のセットメニューを会席風にする

上記のように、お客さんを飽きさせず演出にこだわりながら、リピーター獲得や単価アップを目指しましょう。

お酒の提供をする

平日のランチタイムは蕎麦の提供に徹しつつ、夜や休日には蕎麦居酒屋としてお酒を提供するのも、集客アップに有効です。昼間はお酒の瓶が店舗のインテリアとして機能するため、夜間営業の宣伝効果も発揮するでしょう。

昼間・夜間どちらの営業でも活用できる食材でおつまみのメニューを開発したり、夜しか食べられない蕎麦を提供したりすることも、お店の魅力を高めます。厳選した日本酒や焼酎を提供すると、一般的な居酒屋との差別化を図れます。お通しの代わりに、〆のそばを提供するのもアイデアの一つです。

なお、居酒屋としての閉店時間が深夜0時を過ぎる場合は、所轄の警察署に深夜酒類提供飲食店営業の申請が必要です。

内装・座席数に注意する

蕎麦屋として利益を確保するためには、立地に応じて内装や客席数を決めることが大切です。純和風のコンセプトでゆったりした座敷内装にしてしまうと、テーブル席・カウンター席と比べると席数が少なくなるため収益が伸び悩むケースもあります。テーブル席と小上がりを組み合わせると多様なニーズに対応できるため、予想来店者数や回転率を意識して設計しましょう。

立地条件によっては多くの来店客に対応できるよう、立ち食い蕎麦やカウンター席だけにするという思い切りも必要です。自分の個性を取り入れつつ、回転率や得られる利益を考慮した店舗作りを検討してください。

出前を検討する

店舗営業と並行して、出前を取り入れることも集客アップにつながります。デリバリー代行業者と提携すると配達員を雇わずに出前の提供が可能です。

コロナ禍により巣ごもり需要が拡大するなか、自宅で本格的な蕎麦を食べたいというニーズも堅調に推移しています。小さな子どもや高齢者と一緒に住む家庭など、外出が難しい顧客層も少なくありません。住宅街や郊外で蕎麦屋を開業するなら、出前を提供することで顧客開拓につながるでしょう。同じメニューでも、店舗と出前とで価格を変えても問題ありません。

フランチャイズを利用する

一見、蕎麦屋の開業は簡単そうに見えますが、麺の種類が多いほかサイドメニューを考える必要もあり、開業準備が難しいのが実情です。開業後もメニューの改善や集客活動に取り組む必要もあります。

蕎麦屋のコンセプトがまとまらず開業を悩んでいる人には、フランチャイズの利用がおすすめです。フランチャイズに加盟すると、本部が蕎麦作りの技術や店舗運営のノウハウを提供してくれるので、スムーズな開業を目指せます。開業までの研修制度も充実しているため、未経験でも蕎麦屋の経営にチャレンジ可能です。加盟金や開業後のロイヤリティは必要ですが、自分で開業するより初期費用が少なくて済む場合もあります。蕎麦屋の開業に失敗したくない人には、フランチャイズが有力な選択肢となるでしょう。

失敗談を参考に脱サラ蕎麦屋を目指そう

開業資金を十分に準備できたとしても、蕎麦屋としてのコンセプトが確立していなければお客さんに支持されず、経営が失敗してしまいます。開業前に店舗の雰囲気作りはもちろん、提供するメニューを十分に検討するなどリピーターの獲得を意識した開業準備が欠かせません。蕎麦だけの単価は低くても、セットメニューやドリンクと組み合わせて高い収益を目指すことも可能です。先ほど紹介した失敗例を踏まえながら蕎麦屋のコンセプトを確立させ、繁盛店を目指しましょう。

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公開日:2022年07月26日

よくある質問

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