整骨院開業の手順や必要な準備は?必須の資格まで解説

最終更新日:2023年02月07日

整骨院は幅広い層からのニーズがあるため、「いまから整骨院を始めてみたい」と感じている方は多くいらっしゃるでしょう。しかし、整骨院の開業ではさまざまな準備が必要になるため、多くの方は何から始めるべきか悩んでしまうはずです。

そこで今回は、整骨院の開業に必要な費用や特徴、準備など、整骨院の開業前に知っておきたい情報をまとめました。おすすめのフランチャイズ情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

整骨院を開業する手順4ステップ

整骨院の開業に必要な費用

整骨院を開業する前の事前知識

整骨院開業の成功・失敗のポイント

整骨院でおすすめのフランチャイズ3選

整骨院の開業に関してまとめ

整骨院を開業する手順4ステップ

まずは整骨院の開業に必要な手順を4つご紹介します。

整骨院の開業手順 1.資格や免許

整骨院を開業するには「柔道整復師」の資格が必須です。
柔道整復師は国家資格のひとつであり、基本的には以下の工程を踏まなければ取得できません。

  • 1.高等学校の卒業
  • 2.厚生労働大臣指定の専門学校、または文部科学大臣指定の大学・短大などで3年以上の修業
  • 3.毎年3月初旬に実施される、柔道整復師国家試験に合格

また、開業時の条件として、「最大3年間の実務経験と一定の研修」が必要になる点も事前に理解しておきたいポイント。
資格を取得する段階から考えると、多くの時間と費用がかかってくるので、整骨院の開業を目指す方はきちんと計画を立てておきましょう。

そして個人で開業する場合は「開業届」を税務署に提出する必要があり、法人の場合は会社設立が必要となります。
こちらの届出も確認しておきましょう。

整骨院の開業手順 2.市場調査

資格を取得して開業の準備が整ったら、まずは「市場調査」を行います。

整骨院は競争が激化している医療ビジネスなので、競合の情報は最優先でチェックしなくてはなりません。
たとえば、大手の整骨院が近くに存在していると、患者数が大幅に減ってしまう恐れがあるので注意が必要です。

また、最近ではネット診察やネット予約、出張など、整骨院のサービス内容にも変化が生じてきています。
新たなサービスをとり入れないと、周りの整骨院に出遅れてしまう恐れがあるので、サービス形態に関する調査も行っておきましょう。

なお、フランチャイズ開業を選ぶ場合は、この市場調査に関しても本部からのサポートを受けられる可能性があります。
ただし、加盟先によってサポート内容は大きく異なるため、「具体的にどのような工程をサポートしてもらえるのか?」については、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

整骨院の開業手順 3.事業計画

整骨院を開業する手順として、事業計画は必ず立てておきましょう。
具体的にどのようなことを計画した方がいいかと言うと、

  • 事前にかかる初期費用の計算
  • 想定される売上を1年分以上
  • 想定される運転資金を1年分以上
  • 事業の売上目標
  • 想定した資金に対しての施策

こちらの項目は最低計画しておきましょう。

整骨院の開業手順 4.店舗(医院)

整骨院の店舗(医院)を選ぶ際には、以下のような「構造設備基準」を満たす必要があります。

  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室があること
  • 3.3平方メートル以上の待合室があること
  • 施術室と待合室の間に固定壁を設置し、上下左右を完全に仕切っていること
  • ベッドが複数台ある場合は、カーテンなどで区切られていること など

そのほか、換気装置や消毒設備についても基準が設けられているため、構造設備基準は物件選びの前に細かくチェックしておくことが必須です。
そのうえで、整骨院に適した物件を選ぶようにしましょう。

整骨院の開業に必要な費用

次に、整骨院の開業に必要な費用を初期費用と運営資金・売上に分けて紹介します。

整骨院開業の初期費用

整骨院の開業に必要な初期費用は、約600~1,000万円です。
この費用は整骨院の規模や立地、営業形態などによって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。

<整骨院の初期費用目安>

項目 金額
物件取得費 150~200万円
設備費 200~300万円
内外装費 200~400万円
備品購入費 10万円
広告宣伝費 10~30万円
合計 600~1,000万円

整骨院の主な初期費用としては、物件取得費や設備費、内外装費、備品購入費、広告宣伝費が挙げられます。
なお、整骨院の開業時には「柔道整復師」の資格が必要であり、これから専門学校に入学して資格を取得する場合には、追加で300~500万円程度の費用が発生します。

一般的な整骨院は18坪程度の広さですが、小規模な医院であれば10坪ほどのスペースで開業できます。
この場合は敷金や礼金、初月家賃などのコストを抑えられるので、上記で記載した金額よりも物件取得が安くなるでしょう。

そのほか、整骨院で高額になりやすい費用としては「設備費」「内外装費」の2つが挙げられます。
整骨院の開業ではベッドや看板のほか、施術に使う機材や仕切りなど多くの設備が必要になるため、設備費・内外装費だけで500万円程度になることは覚悟しておきましょう。

ちなみに、整骨院をフランチャイズで開業する場合には、加盟金や保証金、研修費などのコストも発生します。
サポートが充実しており、医院の規模も大きいフランチャイズでは1,000万円以上の開業資金が必要になりますが、加盟金や保証金がかからない小規模なフランチャイズであれば数百万円でも開業可能です。

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整骨院の運営資金

整骨院の開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約144.5万円です。
この金額は、毎月の売上を300万円と仮定して算出しています。

<整骨院の運営資金目安>

項目 金額
人件費 112.5万円
賃貸料 12万円
水道光熱費 10万円
消耗品費 5万円
広告宣伝費 5万円
合計 144.5万円

整骨院の主な運転資金としては、人件費や賃貸料、水道光熱費、消耗品費、広告宣伝費が挙げられます。
なかでも人件費と賃貸料は、医院の規模や営業形態によって大きく変動するため注意しておきましょう。

整骨院における人件費は、運営資金の大部分を占めるコストです。
上記では売上の37.5%で計算していますが、営業形態によってはそれ以上の負担になることもあるので、不安な方はオーナーの稼働時間を増やすなどの工夫が必要になるでしょう。

賃貸料については、18坪程度の物件で12万円程度が相場になります。
ただし、賃貸料は立地の影響も大きく受けるため、物件を選ぶ際には広さだけではなく、アクセスのしやすさや宣伝効果なども意識することが大切です。

そのほか、経営を続けるために必須となる水道光熱費や消耗品費、集客を安定させる広告宣伝費も忘れてはいけません。
特にシーツやタオルなどのクリーニング代は、患者数が増えるほど負担が大きくなります。

ちなみに、運営資金についても個人開業・フランチャイズ開業で内訳が変わってきます。
フランチャイズ開業を選ぶ場合、ロイヤリティの相場は売上の5~10%になるので、毎月の売上を300万円と仮定すると1ヶ月あたり15~30万円程度のロイヤリティが発生します。
ただし、ロイヤリティの仕組みは本部によって異なっており、月額5~15万円程度の定額方式を採用している本部や、そもそもロイヤリティが発生しない開業プランも見受けられます。

整骨院の売上

整骨院の売上は、医院の規模や営業形態、集客状況などによって大きく変動します。

たとえば、日本最多の院数を展開する「MJG整体院」では、40坪程度の医院で1ヶ月あたりの売上が400万円の収支モデルを公開しています。
同フランチャイズでは、従業員1人あたり100万円の売上を目指しているため、4人の従業員が十分に稼働できる医院を用意できれば、この収支モデルを実現できるでしょう。

一方で、回転率や集客状況が低い整骨院では、従業員1人あたりの売上が50万円程度になってしまうことも。
一般的な整骨院の客単価は5,000円程度と言われますが、それ以上の客単価を狙うのであれば営業形態や販促活動を工夫する必要があります。

また、整骨院オーナーの給与については、上記の売上から人件費や賃貸料、広告宣伝費などが差し引かれることも忘れてはいけません。
仮に一般的な規模の整骨院を経営するとなれば、オーナーの給与は毎月50~65万円程度になると言われています。

資金を借入するかどうか

整骨院の開業では、借入によって資金を調達することが可能です。

さまざまな借入先が考えられますが、主な選択肢としては民間銀行や信用金庫、政府系金融機関の日本政策金融公庫などが挙げられるでしょう。
なかでも日本政策金融公庫は、融資実行までに1~2ヶ月程度の時間がかかるものの、低金利かつ審査が比較的緩い傾向にあります。

それに対して、民間銀行や信用金庫の審査はやや厳しめですが、非営利団体にあたる整骨院ではスムーズに融資を受けられることも。
特に不動産などを担保にできる場合は、審査面で有利に働く可能性が高いので、借入先の選択肢がぐっと広がります。

上記でご紹介した初期費用・運営資金と自己資金を比較した結果、もし資金面に不安を感じる場合には、早めに金融機関からの借入を検討しましょう。

整骨院を開業する前の事前知識

整骨院の特徴のイメージ

ここでは整骨院を開業する前の事前知識として、整骨院のサービス内容や開業のメリット・デメリットについて解説していきます。

整骨院の主なサービス内容

整骨院の主なサービスは、来院する患者への診断・施術です。
診断の流れは医院によってやや異なりますが、基本的には以下の3つの工程に分けられています。

  • 患者に症状を聞く問診
  • 患部を目で確認する視診
  • 患部を触って確認する触診

その後は診断結果をもとに施術内容を決めますが、施術には整復法や手技療法、物理療法などさまざまな種類があります。
患部の状態から、その患者に最適な療法を見極めたうえで施術をする必要があるので、対応する柔道整復師には専門的な知識やスキルが求められるでしょう。

また、整骨院では診断・施術以外にも、以下のような業務が発生します。

  • 来院した患者への応対
  • 問診票や明細書など、書類の作成
  • 売上管理などの経理作業
  • 集客

なお、営業形態によってサービス内容は多少変わってくるので、事業計画を作成する際には発生する業務をきちんと洗い出しておくことが大切です。

整骨院を開業するメリット

整骨院を開業するメリットを3つご紹介します。

整骨院開業のメリット 1.幅広い層のニーズ

整骨院を利用する患者は、身体に不具合のある高齢者だけではありません。
たとえば、スポーツでケガをした方や、座り仕事で腰を痛めたサラリーマンなども患者に含まれるので、整骨院は幅広い層からのニーズを見込めます。

また、整骨院における施術は、1回受けるだけでは症状が完治しないことも。
継続的な施術が必要になる患者も多いため、患者数をある程度まで増やすことができれば、売上やオーナーの収入は一気に安定します。

整骨院開業のメリット 2.今後もニーズが伸びる

すでに超高齢社会にさしかかっている日本では、今後も整骨院のニーズが伸びると予測されています。
身体に不調をきたす高齢者が増えるほど、整骨院の患者数もどんどん増えていくため、開業エリアによっては将来性の明るいビジネスと言えるでしょう。

その証拠として、近年では整骨院の数が増えてきており、地域によっては「コンビニより多い」と言われる状況になっています。
現時点で一定のニーズがあり、将来的にもニーズが伸びるとなれば、オーナーはさらに高収入を狙うことが可能です。

整骨院開業のメリット 3.経営の自由度

数ある医療系国家資格のなかでも、柔道整復師は自らの判断で治療することが認められています。
さらに活躍の場が多く、経営方針の大部分はオーナーが決められるため、整骨院は経営の自由度が比較的高い医療系ビジネスです。

ただし、フランチャイズに加盟して開業をする場合は、基本的に本部の方針に従う必要があります。
とは言え、営業形態をはじめとした経営方針に関して、オーナーに決定権がある開業プランも珍しくはありません。
加盟先の選び方次第では自由度は失われませんし、多くの本部ではさまざまなサポートが提供されているため、開業時にはフランチャイズも選択肢のひとつとして検討しておきましょう。

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整骨院を開業するデメリット

次に、整骨院を開業するデメリットを2つご紹介します。

競争が激化している

整骨院はニーズの多い医療系ビジネスですが、だからと言って多くの患者が集まるとは限りません。
実はニーズが伸びるにつれて、日本全国で競争が激化しているビジネスなので、オーナーには高い経営能力や宣伝力などが求められます。

特に意識しておきたいポイントは、SNSの発達によって口コミが集客に大きな影響を及ぼす状況になったこと。
内外装や設備に力を入れても、柔道整復師にスキルがなければ評価されにくい時代になったため、オーナー自身や従業員のスキルをしっかりと伸ばす必要があります。

さまざまな知識やスキルを身につける必要がある

柔道整復師として整骨院を開業するには、さまざまな知識やスキルが必要です。
基本的な知識・スキルが身についてなければ、そもそも柔道整復師の資格は取得できないため、整骨院を開業することもできません。

また、整骨院を開業する条件として、一定の実務経験と研修が必要になる点も事前にチェックしておきたいポイント。
資格を取得する段階から考えると、開業までには5年程度の期間がかかることもあるので、開業を目指す方は早めに準備に取り組むことが大切です。

整骨院開業の成功・失敗のポイント

それでは整骨院開業の成功と失敗を分けるポイントを3つご紹介します。

整骨院に適した物件・立地を選ぶ

整骨院を開業する際には、「施術所開設届」の提出が必要になります。
後述でも解説しますが、この届出が受理されるためには「構造設備基準」と呼ばれる条件を満たさなくてはなりません。

また、整骨院の物件・立地選びでは、集客のために以下のポイントを意識することも大切です。

  • ターゲット層がアクセスしやすい立地を選ぶ
  • 競合が少ないエリアを選ぶ
  • 清潔で明るい空間を作りやすい物件を選ぶ

上記のなかでも、特に競合の存在は集客状況に大きな影響を及ぼすので、開業エリアの周辺はしっかりと調べておきましょう。

なお、フランチャイズに加盟する場合は、立地選びの段階から本部によるサポートを受けられる可能性があります。
加盟先によっては、整骨院に最適な物件を紹介してもらえるため、立地選びに不安を感じている方はそのようなフランチャイズ本部を探してみましょう。

一人ひとりの患者に寄り添った施術をする

SNSによって口コミが広がりやすい現在では、1人1人の患者の満足度を高めることが何よりも大切です。
患者に寄り添った施術を提供できれば、SNSなどを通して良い評判が広がっていくため、自然と安定した経営状態を作りやすくなるでしょう。

また、高齢者をメインターゲットにする場合は、「出張による施術」も視野に入れておきたいところです。
高齢者のなかには、自分の足で整骨院に通うことが難しい患者も多く存在するので、無理のない範囲で診断・施術の幅を広げることも検討しておきましょう。

定期的に販促活動に取り組む

整骨院の経営では、院内の環境を整えるだけでは患者を呼び込めません。
より多くの患者を集めるには、外に向けて販促活動に取り組むことが必要です。

たとえば、定期的にチラシによる宣伝やDMを行うだけでも、来院する患者の数は変わってきます。
そのほか、高齢者に温かみのある手紙を送ったり、ネット上で役立つ健康情報を発信したりする方法も、効果的な販促手段となり得ます。

効果的な宣伝方法はケースによって異なるため、整骨院のターゲット層や立地、提供している施術内容などを意識しながら、費用対効果がより高い販促手段を選びましょう。
なお、フランチャイズ開業を選ぶ場合は、新規客やリピート客を呼び込むための販促活動を本部に代行してもらえる開業プランも見受けられます。

整骨院でおすすめのフランチャイズ3選

それでは整骨院をフランチャイズで開業する場合、どんなフランチャイズがおすすめかピックアップしてみました。
フランチャイズでの開業をお考えの方は下記情報を参考にしてみてください。

整骨院フランチャイズ 1.ウィメンズ整体サロン「POWWOW」

ウィメンズ整体サロンの『POWWOW』は、東京都内を中心に店舗を展開している女性専門整体サロンです。
出産をはじめとしたライフスタイルの変化など、女性ならではのニーズに着目したサービスを充実させることで、潜在顧客の獲得に成功してきました。

フランチャイズ本部としては研究制度を充実させており、加盟後には独自の技術や理論を学ぶことが可能です。
そのほか、スキルアップ研修をはじめとした様々なフォローアップも用意されているため、加盟者は着実にスキルを伸ばすことができます。

さらにリピート客の獲得にも力を入れているので、売上や収益の安定を期待できるフランチャイズと言えるでしょう。

ウィメンズ整体サロン「POWWOW」について詳しく見る

整骨院フランチャイズ 2.CHARGE

株式会社SMILE CREATE GROUPが手がける『CHARGE』は、全国の主要都市への展開を狙っている肩こり専門店です。
短時間&予約なしの独自のシステムを採用することで、いまでは毎日行列ができるほど注目を浴びるようになりました。

同フランチャイズの特徴としては、10分と20分のみのシンプルなサービスを展開している点が挙げられます。
基本的なスキルは必要になりますが、マッサージ未経験の人材でも採用できるビジネスモデルなので、経営環境を整えやすい開業プランと言えるでしょう。

そのほか、開業前にデベロッパーから好立地をオファーされたり、ヘビーリピーターを獲得するための対策が充実していたりする点も、オーナーにとっては心強いポイントです。

CHARGEについて詳しく見る

整骨院フランチャイズ 3.女性専門整体院のれんわけプロジェクト

『女性専門整体院のれんわけプロジェクト』は、競合が少ない「不妊整体」に力を入れているフランチャイズ本部です。
不妊に特化した整体技術を提供することで、価格競争に巻き込まれないビジネスモデルを確立してきました。

ここまでを読むとやや専門的なビジネスに見えるかもしれませんが、加盟時には技術面・集客面の両方で丁寧なサポートを受けられるので安心。
知識ゼロから始める場合であっても、1ヶ月で整体技術をマスターするためのサポートがしっかりと用意されています。

また、開業費用が一般的な整体院の約50%に抑えられている点も、この開業プランならではの魅力でしょう。

女性専門整体院のれんわけプロジェクトについて詳しく見る

整骨院の開業に関してまとめ

今回は整骨院を開業するにあたって必要な手順や費用を紹介しましたがいかがでしたか。
整骨院は設備や内装費用に高い資金がかかるので、よく事前に事業計画を練っておきましょう。

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公開日:2022年01月21日

よくある質問

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