農業の副業は稼げるの?稼ぎやすい作物や農業で成功するコツを徹底調査
最終更新日:2024年09月20日
シェア畑や市民農園を使った、農業の副業が注目されています。
自然を相手にするため、作業などで工夫が必要な一面はありますが、収益を得ながら自然とふれ合えるのがメリットの一つです。コロナ禍をきっかけに、地方でテレワークしながら農業に取り組もうと検討する人も増えています。
今回は、農業の副業が人気を集めている理由や稼ぐためのコツ、栽培におすすめの作物を紹介します。
目次
兼業農家は意外と多い
国内の農家のうち約35%が兼業農家で、農業と別の仕事を組み合わせて取り組む人が意外と多いです。
ちなみに「農家」とは、作物を販売した売上が15万円以上の世帯、または1,000平方メートルの農地で耕作を行う世帯のことを言います。
単純に計算すると、農業だけで月間12,500円以上の売上があれば「農家」と名乗ることができます。
自分名義の農地を持つためには、5,000平方メートル以上の土地を入手し、地域の農業委員会の許可を得る必要があります。一方、移住者などが新たに農業を始めやすくするために、1平方メートル以上でも自分名義の農地を所有できる地域もあり、実はと副業農家デビューのハードルは案外低いものなのです。
テレワークで移住×副業農業も稼げる
会社員などの本業を持ちながら、副業・パラレルワークとして農業に取り組む人も増えています。
コロナ禍に伴いテレワークが普及してから、自然の多い場所に移住して本格的に農業を始める人も出始めました。ワーケーションなどで農業体験に参加したことをきっかけに、移住を決断する人もみられます。自治体が実施する体験移住や農家が営む「農泊」などで、移住後のイメージをつかむことも可能です。
副業として農業に取り組み始めた人の中には、農業で副収入を得られるだけでなく、静かな移住先で本業に集中しやすくなったなど相乗効果を感じる人もいるそうです。このように、テレワークやワーケーションを上手に活用して農業にチャレンジする機会が広がっています。
副業用の農地を確保する3つの方法
わざわざ移住をしなくても、自宅の庭や市民農園などを活用して簡単に農業の副業はスタートできます。
広大な農地を自分で確保する必要はなく、最近では必要最低限の農地と農機具をセットでレンタルできるシェア畑というサービスも人気です。
副業用の農地を確保する方法を3つ紹介します。
1.シェア畑を利用する
手軽に農業を始めるには、シェア畑の利用が便利です。
シェア畑とは、農家の高齢化や担い手不足で使われなくなった農地を活かし、農業に関心のある人を集めて共同利用する畑です。
家庭菜園や市民農園とは異なり、肥料や支柱など農作業に必要な資材も常備されているため、手ぶらで通える利便性の高さも人気です。
農業の副業がまったくの初心者であっても、育てたい種・苗も用意してくれるので準備に手間がかかりません。
シェア畑の利用者に対して講習会の実施や資料配布が行われる場合も多く、未経験に役立つ情報も入手できます。農地の使用料金は月額制で、資材などの料金も含まれているのでわかりやすい点も魅力です。
2.市民農園を利用する
自治体や農家が運営する市民農園を契約して、農業を始める方法もあります。農機具などの資材を自分で用意して、作物などに関する知識は自分で学ぶことになりますが、近隣の区画の人と情報交換できるのはメリットです。
市民農園は基本的に1年ごとの契約となり、前年度に市民農園を利用した人は優先的に契約できる仕組みもあります。家庭菜園より広い農地で野菜・果物を育てて、継続的に収益を得たい人におすすめです。
3.家庭菜園で始める
一番手軽に農業を始められるのが、家庭菜園です。畑の面積が狭くても、プランターなどを使って少量の野菜や果物を栽培できます。
農園に通う手間がかからず、作物に目を配りやすいのがメリットです。ただし、栽培できる面積が小さい場合は、副業としての収益化が難しいかもしれません。
週末農家の副業が人気な理由とメリット
趣味の延長として取り組める野菜栽培は、週末の副業としても人気を集めています。自然とふれあってストレスを発散できるだけでなく、子育て世代には食育のきっかけにつながるなど収入以外のメリットも多いです。週末の副業として、農家が人気となってきた理由を詳しくチェックしてみましょう。
週末のみの稼働でも稼げるところ
畑に種を蒔いたり苗を植えたりした後は、土日や休日に農作業をする人が多いです。
平日は畑の様子を見る程度でよいので、本業が忙しい人でも手軽に始められるのが副業農家の人気な理由の一つです。
畑を管理する手間を少なくするために、鳥や虫を防ぐネットを張るなどの対策も効果的です。雨が降らない日が何日も続くようなら、作物が枯れないよう出勤前などに水やりをするとよいでしょう。アルバイトなどと異なり、作業時間の融通が聞くのも魅力です。
新鮮な野菜・果物を食べられる
収穫した新鮮な野菜・果物をその日のうちに味わえるのも、副業で農業を営むメリットの1つです。
形や大きさが不揃いだったとしても、味は変わらない場合が多く収穫の喜びも実感できます。自宅や農園の前に無人の販売ボックスを置いて「取りたて」とアピールして収益につなげる人もいます。週末農家を始めたら、スーパーの野菜と自分が育てた野菜との違いを比べてみるのもおすすめです。
自然と触れあってストレス発散になる
農作業では季節の移り変わりを実感できるため、オフィスワーカーなど室内で働く人にとってはストレス発散にもつながります。畑を耕す、雑草を刈るなど自然とふれあう中で、達成感を実感できるという人も多いです。農作業で体を動かすことが適度な運動習慣となりストレス発散できる場合もあるでしょう。その他にも、家族やシェア畑・市民農園などで農業に取り組む仲間との対話を楽しめる点も、よい気分転換になるのが人気の理由です。
食育・安全な食べ物を育てる知識が身につく
農業に取り組むことで、安全な食べ物に関する知識が身に付きます。最近では無農薬野菜・有機野菜が注目されており、野菜の栽培方法そのものを理解しながら健康によい食生活を考えるきっかけにもなります。また、子育て世代にとっては、野菜や果物の育て方を親子で学んで食生活への理解も深められます。野菜の栽培に取り組む幼稚園・保育園や小学校もあり、家庭学習の教材としても活用可能です。
始める前に知りたい副業農家の難しさ
副業としての農業は楽しみながら取り組める反面、作物が収穫できるまでに時間と費用がかかります。天候によっては思うように収穫できないリスクも伴います。収益を得るために、販売する場所などの工夫も必要です。副業で農家に取り組む難しさも理解しておきましょう。
初期費用・維持費用の高さ
副業レベルだとしても、農業を始めるには初期費用や毎年の維持費用がかかります。例えばシェア畑を利用する場合だと、3平方メートルの畑で年間8万円前後の利用料が必要です。市民農園を借りる場合も、1シーズンで1〜2万円前後の使用料がかかります。種や苗、支柱やビニールといった資材の費用も毎年必要です。最低でも数千円、畑の面積が広くなると2〜3万円かかる場合もあるため、収穫量によっては赤字になることも考えられるでしょう。
自然を相手にする難しさ
農業は自然を相手に取り組むため、台風や大雨など天候状況などによって収穫量が大きく変わることが考えられます。収穫直前まで順調に育っていた野菜や果物が、一瞬で台無しになるケースも少なくありません。天候だけでなく、農作物特有の病気や害虫・動物などの影響を受ける場合もあります。適切に農薬を活用したり、園芸用ネットなどの資材を活用したりするなど対策が求められる難しさを理解しておきましょう。
必ず売れるとは限らない
どんなにおいしい野菜や果物を育てても、売れなければ収益になりません。地域の特性や季節に応じた、需要と供給のバランスについても検討する必要があるでしょう。道の駅などの直売所で販売するルートの他、農作物を専門にした通販サイトなどを活用するなど、収益につなげるには消費者の目に触れる機会を多くすることが大切です。なお、野菜や果物の加工品を販売する場合は、保健所や自治体の販売許可が必要となるので注意してください。
収益を得るまで時間がかかる
他の副業とは異なり、農業で収益を得るまでには数ヶ月ほどの時間がかかります。作物によっては成長が不十分な苗を間引いたり、肥料を追加したりなどの手間もかかります。収穫後も、翌年に向けた土づくりなど畑の整備も欠かせません。すぐに儲かる仕事ではありませんが、作業の積み重ねが収益につながる点に留意しながら気長に農業に取り組むとよいでしょう。
農業副業の始め方4選
農業の副業を長く続けるためには、通いやすい場所に農地を見つけることが先決です。農業や作物に関する知識を身につけるなど、農業の副業を始める準備について説明します。将来的に農業で独立を目指す人を対象にした、国の支援制度についてもチェックしておきましょう。
1.農家アルバイトを体験してみよう
農業を始める前に、作業にかかる負担や収穫できる作物の量などの実態を知ることが大切です。1日からでも取り組める農業アルバイトや、テレワークと組み合わせたワーケーションなど、農業を体験できる機会は数多く用意されています。農業のプロからアドバイスを受け、副業を始めた後の農作業に生かすことも可能です。特に、移住して農業を始めようと考えている人は、自分や家族にとって住みやすい土地かどうかも念入りにチェックしましょう。
2.通いやすい農場を探そう
副業としての農業と本業を両立させるためには、通いやすい農場を選んで移動の負担を減らすことが大切です。シェア畑のような便利な畑でも、通いづらい場所だと作業がおっくうになってしまいます。天候によっては平日でも農作業が必要となる場合もあるため、自宅や職場に近い農場を選ぶのがおすすめです。ただし利便性が高い人気の農場は使用料金も高くなる傾向にあるので、農業にかけられる費用とのバランスも考慮しましょう。
3.気になる作物の知識を深めよう
副業で農業にチャレンジする前に、育てる作物の知識を学ぶことも大切です。例えば、家庭菜園のように狭いスペースで育てる場合は収益性の高い作物は何か、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
知っておきたい作物の知識としては、根菜類(ジャガイモ・さつまいもなど)は収穫までの期間が長い一方で水やり・肥料の量が少ない点や、なすやトマトのように1つの苗に何個も実がなる野菜は、栽培に必要な面積に対する収益率が高いなどです。いきなり育て始めるのではなく、副業として収益が上がりやすいかどうか、野菜・果物の育てやすさや畑周辺の気候に合っているかなど下調べしてから農業を始めるとよいでしょう。
4.国の支援を利用しよう
副業が軌道にのって農家として独立する場合は、農業次世代人材投資資金からの補助を受けられます。農林水産省の就農支援サイトでも、農業を始めた人の体験談が掲載されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
農業次世代人材投資資金(経営開始型)
農林水産省では、独立して農業経営に取り組もうという人に対して「農業次世代人材投資資金」を交付しています。農家の規模にかかわらず、経営を始めて3年目までは年間150万円、4年目・5年目は年間120万円が定額で支給されます。前年度の所得が600万円以下で、独立する時点で49歳以下の人が支給対象です。副業の段階では利用できませんが、独立する時には心強いサポートといえます。
農林水産省の就農支援のサイト
自分に合った形で農業をスタートできるよう、農林水産省の公式サイト「あふてらす」では新たに農業を始めた人の体験談を紹介しています。都市部で農業を営んでいる事例や、地方に引っ越して農業に取り組んで新たなビジネスにつなげた事例なども紹介されています。収益につながるヒントも含まれているので、参考にしてみてください。
農業の副業が難しいと思ったらフランチャイズもおすすめ
自分で育てて販売するという農業の副業が少し難しいかも...と思ったらフランチャイズに加盟するのもおすすめです。
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体験農業に参加して副業の第一歩を踏み出そう
農業の副業は週末だけでも気軽に取り組めて、自分で育てた新鮮な野菜・果物を食べられるなどのメリットがあります。一方、継続して収益を得るには、販売方法などに工夫が必要です。
最近では市民農園やシェア畑を借りて農業に取り組む人だけでなく、地方に移住してテレワークと農業を両立する人も増えてきました。農業の始め方がわからないという人は、農業インターンシップなどで実際に農作業を体験することも可能です。自分に合った形で、副業として農業を始めてみてはいかがでしょうか。
公開日:2022年09月15日