建設業で独立開業するには?開業までの流れや資格・許可の条件、必要な資金、失敗しないための注意点など

最終更新日:2023年07月07日

建設業に従事している方のなかには、自由な働き方やより高い収入を求めて独立開業を検討されている方も多いのではないでしょうか。ですが、建設業を新たに始めるとなるとさまざまな準備や手続きなどが必要で難しそうだと感じることでしょう。

そこで今回は、建設業で独立開業するための方法をまとめてご紹介します。建設業を開業するまでの準備や流れ、必要な資格・許可、資金などをはじめ、開業前に知っておくべき基礎知識や失敗しないための注意点まで解説していますので、ぜひご覧ください。

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目次

建設業で開業する前に知っておくべきこと

建設業で開業するまでの流れ

建設業の開業に必要な資格と許可

建設業の開業に必要な資金

建設業の開業に失敗しないための注意点

建設業の開業に失敗しないためにはフランチャイズがおすすめ!

建設業開業のまとめ

建設業で開業する前に知っておくべきこと

建設業で開業する前に知っておくべきこと

まずはじめに、建設業で独立開業する前に知っておくべき基礎知識をお伝えします。
建設業での経験があるという方も、スムーズに開業準備を進めるためにもご一読ください。

建設業とは?意味や種類など

建設業とは、建築物や構造物の建設・改修・維持管理・解体に加えて電気やガスの設備などに関わる事業を指します。

建設業と混乱しがちなものに建築業がありますが、建設業があらゆる建物や設備(土木や河川、ダムといったインフラ設備も)を対象にしている一方で、建築業は一般家屋や住居を対象としているのが大きな違いです。厳密に言えば建設業には建築も含まれているので、建築業は建設業の一種と覚えておくと良いでしょう。

建設業の工事は大きく分けて、「一式工事」と「専門工事」の2つの種類があります。

一式工事とは総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を建設する工事のことで「土木一式工事」と「建築一式工事」の2種類に分かれており、企画や設計、施工、補修までを一貫して行うのが特徴です。
専門工事は特定の部分のみを担当する工事で、「大工工事」「左官工事」「とび・土工・コンクリート工事」など27種類が存在しています。

以上29種類の工事で構成されており、建設業法のもとで下記のように種類の内容が規定されています。

建設工事の種類 建設業の種類
土木一式工事 土木工事業
建築一式工事 建築工事業
大工工事 大工工事業
左官工事 左官工事業
とび・土工・コンクリート工事 とび・土工工事業
石工事 石工事業
屋根工事 屋根工事業
電気工事 電気工事業
管工事 管工事業
タイル・れんが・ブロツク工事 タイル・れんが・ブロツク工事業

こちらでご紹介しているのは一部なので、建設工事や建設業の全ての種類や工事の内容などに関する情報は、厚生労働省HPe-Gov法令検索などで確認してみてください。

建設業の事業形態

建設業での主要な事業形態は、以下の通りです。

  • 元請け
  • 下請け
  • 元請けと下請けの両方

元請けとはクライアントから直接依頼を受けて契約し、建設工事全体のプロジェクトを統括します。ゼネコンと呼ばれるような大手の建設会社や住宅の施工・販売などを行うハウスメーカーが元請企業の例です。プロジェクト全体の品質やスケジュールを管理する責任や負担がありますが、それに伴い高い利益を得られる可能性があります。

下請けは、元請けから受注して部分的な工事を行う事業業態です。元請けからの指示に従って工事を行いその分の報酬を得るという仕組みになっており、一次下請け、二次下請けなど多くの下請けが存在しています。担当する工事に必要な機器や人材を確保すれば開業できるので費用面での負担が少なく参入しやすいというメリットがありますが、それだけに競争も激しく仕事の確保が難しいケースも珍しくありません。

建設業で開業する際の事業形態の選択は、自身の能力や経験、資金力などによって変わるでしょう。大規模プロジェクトを成功させる力があるなら元請け、特定分野に深い知識や技術があるなら下請けや専門工事が適しています。

建設業の開業方法

建設業の場合、事業形態のほかに開業方法の選択肢も知っておく必要があります。

主な開業方法は、以下の通りです。

  • 一人親方(個人)
  • 法人
  • フランチャイズ

一人親方は個人が独立して建設事業を行う開業方法です。事務所や雇用にかける費用が抑えられるという点で大きなメリットがありますが、一方で事業の規模が限られてリスクも個人が全て負わなければいけません。

法人として開業する場合は、株式会社や合同会社といった法人を設立して建設事業を行う開業方法です。一定の開業資金と法的な手続きが必要ですが、企業としての信用を得やすく、事業の規模を拡大する余地もあります。

フランチャイズは本部のビジネスモデルを利用して建設事業を展開する開業方法です。ブランドの知名度やノウハウを活用できることが最大のメリットですが、自由度が低めで加盟金やロイヤリティの支払いが発生するといった一面があります。

それぞれの開業方法にはメリットとデメリットがあるので、自身の資金力や経験、目指す事業規模などを踏まえて最適な開業方法を選択することが重要です。

建設業で開業するまでの流れ

建設業で開業するまでの流れ

建設業で開業するにはどのように準備を進めれば良いのでしょうか。
ここからは、開業するまでの具体的な流れをご紹介します。

1.企業で下積みをする

建設業で開業するには、まず企業での経験を積むことが大事です。

経験を積むことで建設業界の動向や専門的な知識、技術を身につけることができるほか、クライアントとの交渉方法を学んだり人脈を広げたりすることもできます。建設会社の社員や下請け会社の作業員として現場で経験を積み、自信を持って開業できるように準備を整えましょう。

また、常に業界のトレンドやニュースにアンテナを張ることも大事です。最新の技術や市場の動向を理解することができ、自身のビジネスに活かすことが可能となります。

2.専任技術者の資格を取得する

建設業で開業する際には、専任技術者の資格取得が必要です。

専任技術者の資格は技術的な知識と経験を証明するもので、具体的には見積り作成や契約締結などの手続き、顧客対応などの仕事をします。建設業法によって営業所ごとに専任技術者の配置が義務付けられており、専任技術者の資格がない場合は建設業許可を得ることができないので注意が必要です。

後述しますが、資格を取得するためには一定の実務経験や学歴、保有資格などの条件があり、それらを満たすことで専任技術者になることができます。

3.資金を調達する

建設業を開業するためには、500~1,000万円程度の資金が必要とされています。事務所の家賃や設備、従業員の給与など、開業初期のさまざまな経費を賄うために必要です。

建設業の開業に必要な資金を調達する方法には、自己資金をはじめ、銀行からの融資や助成金・補助金の利用などが挙げられます。また、建設業の場合はファクタリングも有効な手段です。ファクタリングとは売掛債権(商品・サービスを販売したあとに代金を請求する権利)を担保に資金調達をする方法で、資金調達までのスピードが速い、審査に通りやすいなどの点で多額のお金が動く建設業界でよく利用されています。

それぞれの手段にメリットとデメリットがあるので、十分に理解した上で最適な方法を選択することが重要です。

4.事務所や設備などを準備する

資金調達の目処がついたら、事務所や設備などを準備しましょう。

事務所や設備は、建設業での開業において非常に重要な要素となります。適切なオフィススペースは作業の効率化や社員のモチベーション向上に、また必要な設備を備えることで業務の幅を広げることが可能になるからです。

具体的には、建設機械や工具などの現場で必要となる設備、パソコンやコピー機、設計ソフトウェアなどのオフィス設備などを揃える必要があります。

ちなみに一人親方(個人)で独立する場合は自宅の一室などを利用して建設業を始められるので、事務所や設備などの準備負担を抑えることが可能です。

5.スタッフを採用する

一人親方(個人)で独立開業する場合を除いて、スタッフの採用も必要になります。

建設業の開業にあたって自分一人で全てをこなすことはなかなか難しいので、適切なタイミングでスタッフを採用することが大事です。

最初は必要最小限のスタッフから始め、事業が拡大するにつれてスタッフを増やしていくという戦略がおすすめ。現場作業員や営業、管理職など自身のビジネスモデルによって必要な人材も異なるので採用活動前にしっかり計画を立てておきましょう。

採用方法としては、求人サイトや人材紹介会社の利用、スカウトなどが挙げられます。

6.届出・手続きを完了させる

建設業での開業準備がある程度整ったら、届出・手続きを完了させましょう。

具体的には、開業届の提出や建設業の許可申請などが必要で、これらの手続きは法律に則ってビジネスを行う上で絶対に避けてはならないものです。複雑な手続きもあるため、必ず事前に確認をして正確な情報を入手し、遅延やミスを避けるためにも十分な時間を確保しておくことをおすすめします。

少しでも不安のある方は、専門家に頼ることも検討してみてください。

口座開設や保険加入も検討しよう

建設業での開業には、事業用の口座開設や保険加入を検討することも大事です。

専用の口座を作っておくことで売上や支払いの状況把握、帳簿付けがしやすくなります。

また、建設業では事故などのリスクがあるため、適切な保険に加入することも重要です。建設工事保険や賠償責任保険などさまざまな保険があるので、万が一のことを考えて加入を検討してみてください。保険選択時には保険の内容をよく理解し、自身のビジネスに適したものを選ぶことが大切です。

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建設業の開業に必要な資格と許可

建設業の開業に必要な資格と許可

建設業の開業には、特定の資格と許可が必要です。これらは専門的な知識と技術を保証し、事業運営における安全性や信頼性を示すために欠かせません。
こちらでは、「専任技術者の資格」と「建設業許可」について詳しく説明します。

専任技術者の資格

建設業の専任技術者の資格は建設業における知識と経験を保証するもので、建設業を開業する際には必須です。

専任技術者の資格取得には下記のような要件があり、一般建設業と特定建設業のどちらで開業するかによって要件が異なります。

区分 要件
一般建設業 ・定められた国家資格を持っている
・指定学科を卒業しており、学歴に応じた実務経験(高卒後5年以上/大卒後3年以上など)がある
・10年以上の実務経験がある
特定建設業 ・定められた国家資格を持っている
・一般建設業の要件を満たし、2年以上の指導監督的な実務経験がある

国家資格には、土木・建築・電気などの施工管理技士や、建築士、技術士などが挙げられます。

基本的に工事現場での選任が義務付けられている主任技術者や管理技術者と兼任することは不可です。ただし、営業所が請負契約を結んだ工事であったり、営業所と工事現場が近接していたり、営業所と工事現場で常時連絡を取れる状況である場合には例外として兼任できるケースがあります。

(※)一般建設業…請負金額が4,500万円(建築工事の場合は7,000万円)未満の工事を請け負う建設業
(※)特定建設業…請負金額の上限なしに工事を請け負う建設業

参照:許可の要件 | 国土交通省

建設業許可

また、建設業の開業には都道府県知事または国土交通大臣からの建設業許可も必要になります。

建設業許可を取得することで法律的に建設業を行うことが認められるほか、下記のような工事も請け負うことが可能です。

  • 請負金額500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)
  • 延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事

建設業許可を得るには下記の要件を満たす必要があります。

  • 経営業務管理責任者がいるか
  • 専任技術者が全ての営業所に配置されているか
  • 誠実性を有しているか
  • 財政的基盤があるか
  • 欠格要件などに該当していないか

申請の手続きには、身分証明書や陶器されていないことの証明書、社会保険の領収書などの必要な書類の提出が必要です。必要書類の準備には少なくとも1週間程度、審査機関は30~120日程度と時間がかかるので、余裕を持って取り組むことをおすすめします。

必要な書類は事前に確認し、申請内容が明確で具体的であることを確認しましょう。また、専門的な知識を持つ人の助けを借りることも有効です。これによってスムーズに手続きを進行でき、許可取得の成功率を高めることができます。

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建設業の開業に必要な資金

専用の機材や人材の確保が必要な建設業の開業には、大きな資金が必要となります。

ビジネスの規模や業態にもよりますが、500~1,000万円程度の資金が必要です。事務所の設備や機械の導入費用、初期の運営資金などが含まれます。

また、建設業許可を取得する際には財産の要件も定められているので、その点にも気をつけて資金調達をしましょう。

区分 要件
一般建設業 ・自己資本が500万円以上である
・500万円以上の資金調達能力を有する
・許可申請直前の過去5年間で、許可を受けて継続営業した実績を有する
特定建設業 ・欠損の額が資本金の20%を超えていない
・流動比率が75%以上である
・資本金の額が2,000万円以上、かつ自己資本の額が4,000万円以上である

このような大きな資金を管理するためには、資金計画の策定とその管理が重要です。どのような費用が発生するのかを事前に把握し、適切な資金調達を行うことが成功への第一歩となります。

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建設業の開業に失敗しないための注意点

建設業の開業に失敗しないための注意点

建設業を開業する際には、数多くの課題が待ち構えています。特に、資格・許可の取得、人材確保、資金繰りは重要な要素で、これらを適切に管理することが開業成功の鍵です。
そこでこちらでは、建設業の開業に失敗しないための注意点をご紹介します。

適切な資格・許可を取得する

建設業の開業には、専任技術者の資格や建設業許可など適切な資格・許可の取得が不可欠です。

建設業法に則って適切に事業を行うための最低限の条件であり、取引先や顧客に対して信頼性と専門性を示すことが可能になります。

取得には時間とコストがかかるため、早めの準備と計画が必要です。また、取得した資格や許可が適切でないと、ビジネスに大きなリスクをもたらすことになります。発覚したときには罰則が科される可能性もあり、顧客からの信用を失ってビジネス自体が存続できなくなる危険性もあるので十分に注意しましょう。

人材確保に注力する

建設業は人手が必要なビジネスであり、人材確保は事業成長のために極めて重要です。専門的な技術を持つ人材を確保することで高品質なサービスを提供し、ビジネスを拡大することが可能となります。

ですが、人材確保は容易なことではありません。特に建設業は高度な専門性を求められるため適切な人材を見つけるのは一筋縄ではいかず、さらに労働人口や若年層の建設業在職者の減少などによる人手不足が深刻な業界でもあるからです。

そこで効率的な人材採用のための戦略や長期的な人材開発と定着に向けたアプローチが必要となります。労働環境を整えたり福利厚生を充実させたりなど、さまざまな対策を検討しましょう。

適切な資金繰りをする

建設業は大きな資金を必要とするビジネスです。したがって、適切な資金管理と予算計画が欠かせません。適切な資金管理を怠ると、ビジネスの成長が阻害され、最悪の場合、倒産という結果を招く可能性もあります。そのため、予算計画を立て、適切な資金繰りを行うことで、ビジネスの健全な成長を支えることが可能になります。

特に、初期投資や設備投資、人件費などのコストが大きく、それらを適切に管理しなければなりません。また、ビジネスの初期段階では利益が出るまでに時間がかかることも考慮に入れる必要があります。

開業経験者の話も失敗を避けるための参考に!

建設業の開業に失敗しないためにはフランチャイズがおすすめ!

建設業の開業は大きな挑戦ですが、フランチャイズという開業方法を選ぶことでリスクを抑えることが可能です。
最後に、建設業のように手に職を付けられるおすすめのフランチャイズをご紹介します。

おそうじ本舗

『おそうじ本舗』は、家庭内のお掃除サービスを提供するフランチャイズです。

店舗や資格が不要で初期投資が低く、必要なスキルや知識をしっかりと研修で身につけることができる点が大きな強み。また、本部からの継続的なサポートや地域密着型の営業モデルにより安定した利益を得ることが可能で、未経験で始めて月商100万円超えも目指せます。

ふすま・障子・網戸の「金沢屋」

『ふすま・障子・網戸の金沢屋』は、ふすまや障子、網戸の修理・取り替えサービスを提供するフランチャイズです。

基本的な技術の習得や営業ビジネスのノウハウも学ぶことができ、独自のメソッドによって未経験者でもすぐに活躍することができます。競合が少なく、月商150万円も実現可能な注目のビジネスです。

建設業開業のまとめ

建設業の開業はさまざまな準備と法律に則った資格や許可の取得が必要で、開業までに多くの壁にぶつかってしまうこともあるでしょう。

今回ご紹介した開業までの準備と流れ、そして

  • 適切な資格・許可の取得
  • 人材確保への注力
  • 適切な資金繰り

に注意して取り組むことが大事です。
これから建設業を開業する皆さんにとって、この記事が成功への一助となれば幸いです。

また、フランチャイズであれば建設業の開業に必要なノウハウや人材確保のサポート、資金繰りの知識も提供してもらえます。安定したビジネスを作り上げるための強力なサポーターになるので、ぜひ検討してみてください。

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公開日:2023年07月07日

よくある質問

Q 建設業で開業するために必要な条件はありますか? 回答を見る
Q 建設業で開業するために必要な資金はどのくらいですか? 回答を見る
Q 建設業で開業するために必要な資格や許可はありますか? 回答を見る