開業資金調達の自己資金はいくら必要?少ない自己資金で開業するには

最終更新日:2023年04月04日

独立開業に必要なのが開業資金ですが、実際にはいくらくらい必要で、自己資金はどれくらい用意しなくてはいけないのでしょうか。
本記事では、開業を考える際には貯めておきたい自己資金額や、自己資金の種類について解説します。一方で、自己資金とはみなされない財産もあるので、この機会にぜひ確認してください。

フランチャイズを探してみる

目次

開業資金調達の自己資金の目安額は?

開業資金から自己資金に含まれるもの

開業資金から自己資金にならないもの

無担保で開業資金の調達は可能?

少ない自己資金で開業できるサービス

自己資金額にあわせて開業資金調達を検討しよう

開業資金調達の自己資金の目安額は?

開業資金調達の自己資金の目安額は?

独立開業時には、事業に必要な備品を買ったり仕入れたりするための開業資金が必要です。日本政策金融公庫 総合研究所の「2020年度新規開業実態調査」によると、平均開業資金は1,194万円で、そのうち、自己資金は平均266万円となっています。

事業内容や規模によって必要な自己資金は異なるため、金額は一概に言えません。自分にとって必要な額を算出するには、まず事業計画を立てることが大切です。

事業計画を立てる際は、開業に必要な設備資金と諸費用を計算します。設備資金には事業に使う機材などが含まれ、諸費用は開業までに準備すべき備品や事務用品、開業のために必要な事務手続き費用、登録関連費用などが含まれます。

もちろん、開業資金を全て自己資金から用意できる人は少数です。そこで多くの人が融資を申し込んで資金を調達します。

開業資金のうち、自己資金でまかなうべき目安は3割程度と言われています。ただし、無理な返済を避けるためには、できるだけ自己資金の割合を大きくしたいところです。
生活費もかかり、人によってはこれから結婚や子育てなどで出費がかさむようになるかもしれません。万一を考えたら借入金を減らし、ゆとりある資金繰りをするようにしましょう。

ちなみに、フランチャイズで開業しようとする場合、一般的には約2,000万円、自分で店舗を用意する場合は約3,000万円程度の開業資金が必要とされています。開業資金の融資については以下の記事もあわせてご覧ください。

開業資金の融資審査を通る基準とは?創業融資申し込みの基本を解説

開業資金から自己資金に含まれるもの

融資を受ける際には事業計画書や事業経験など、審査基準の項目として挙げられるものがいくつかありますが、自己資金もその一つです。
自己資金が足りていない場合には審査に落ちる可能性があります。融資審査で注意すべきなのは「何が自己資金に含まれるか」という点です。実は、お金はただ持っているだけでは自己資金とはみなされないのです。
自己資金として認められるお金について解説していきます。

自分名義の預金

金融機関に預けている自分名義の預貯金は自己資金とみなされます。計画的にコツコツと貯めたお金は自己資金と認められやすいので、預貯金通帳で出入金履歴を残しておくのが重要です。家族名義の通帳の場合は、本人の許可が出ていれば、審査のための資料として提出が可能です。
また、解約返戻金がある保険や保有している投資信託、有価証券、株式なども現金化したときに保有状況を確認できるものがあれば、自己資金とされます。

退職金

会社を辞めて独立開業しようとする際に、退職金を自己資金にあてたいと考える人も多いことでしょう。退職金も自己資金として認められるため、融資を金融機関に申請する際は退職金の源泉徴収票などで証明するようにしましょう。
また、退職金がこれから支払われる予定だとしても自己資金として認められます。支払われる前であれば、会社に依頼して金額や支払い時期が明記された書面を発行してもらい、融資先に提出します。

みなし自己資金

みなし自己資金とは、すでに事業をするために支払った、設備などに投入している資金を指します。
みなし自己資金として認められるものには機会設備や商材などがあり、自己資金として認めてもらえるケースもあります。

  • 機械設備
  • 商材
  • 店舗を借りるための保証金、敷金
  • 内装費用
  • フランチャイズ加盟金
  • 備品
  • 会社設立費用

みなし自己資金として認められるには客観的に事業ために支払ったことが分かるように、領収書、払込証明書、請求書などを保管しておくのと同時に事業計画書でもアピールするようにします。
ほかにも、資産を売却して作った資金や、親兄弟などから贈与された返済義務のないお金も自己資金として認められます。なお、資格取得のための費用や宣伝広告費などは認められません。

開業資金から自己資金にならないもの

たとえ自分で持っているお金でも自己資金とは認められないものもあります。知らずに自己資金に含めていたために審査に通らなかったとならないように、認められない資金について確認しておきましょう。

タンス預金

銀行に預けても利子がつかないなどの理由でタンス貯金をしている人もいるかもしれません。しかし、タンス貯金は自己資金とはみなされないので注意しましょう。
金融機関は一般的に、融資希望者が自己資金とするお金が確かなものか、確認する方法として預貯金通帳を使用します。直近6ヵ月の預貯金通帳を厳しくチェックし、貯まっていった状況を把握していきます。

口座に入っていないタンス貯金の場合は、お金の出所が分からず、着実に貯めたお金かどうかの確認がとれません。借金してお金があるように見せているだけと受け取れてしまうので、金融機関は融資は難しいと判断してしまいます。

不自然な振込資金

お金の流れがはっきりとしないものは、銀行口座に入っていても自己資金としては認められません。
たとえば、急に多額の金額が入金されている場合は、不自然な振込資金と見られます。融資に通すために慌ててタンス貯金を金融機関に預けた場合も、不自然な振込資金と見られてしまいます。

ほかにも、コツコツと貯めたお金を別口座に移した後にもう一度戻した場合や、資産を売却し入金した場合なども、不自然な振込資金と見られてしまう場合があります。

しかし、口座を移し替えただけの預貯金や、資産売却によるお金は本来、自己資金と認められるものなので、融資を通すためにはあらかじめ、口座を移したことが分かるものや、資産の売却を証明するものを持って行き説明をするようにしましょう。

借入金

家族や親族、友人からであっても借りたお金は自己資金とはなりません。
なかには借金を口座に入れて見せ金とする人もいますが、金融機関から必ず見破られると思っておいたほうが良いでしょう。
むしろ、消費者金融からの借金や、ローンの返済が滞っている場合には、融資が受けられない可能性が高まるので注意してください。
ちなみに、親や兄弟などからの贈与は自己資金に入りますが、借金と間違えられやすいので、贈与契約書や親や兄弟の財務状況が分かるものを用意したほうが良いでしょう。
開業資金の調達方法について詳しく知りたい人は、次の記事もあわせて参考にしてください。

開業資金の調達方法とは?調達ポイントやメリット・デメリット

無担保で開業資金の調達は可能?

無担保で開業資金の調達は可能?

一般的に融資には担保を必要としますが、用意ができない人もいるでしょう。
担保とは不動産、有価証券など、債務者(借りる人)が債権者(貸す人)に渡しておくものです。債務者が万一お金を返せなくなった場合、その担保をもって弁済することになります。担保には人的担保(保証人など)や物的担保(抵当権、質権など)があります。
一方、無担保で融資を調達可能な制度、商品も複数存在します。一般的に無担保ローンと呼ばれ、債務者が担保を確保することなく、銀行系や信販・クレジット系などの金融機関から融資を受けることが可能です。
無担保融資には以下のような種類があります。

  • 使い道が自由な「フリーローン」
  • 借入金専用のカードを作り、お金を借りられる「カードローン」
  • クレジットカードの「キャッシング」

上限金額が多くても800万円程度で、利率も高めなので開業資金には向きません。まとまったお金を借りるためには、以下のような制度を利用すると良いでしょう。

新創業融資制度

日本政策金融公庫 国民生活事業が取り扱っている制度で、無担保無保証で融資が受けられるため、多くの起業家が利用しています。
新創業融資制度の概要は以下のようなものになります。

融資を受けられる条件 対象者は新規に事業を始める人か、事業開始後税務申告を2期終えていない人
自己資金の要件 新たに事業を始める場合や、事業開始後に税務申告を1期終えていない人は創業資金総額の10分1以上の自己資金が確認できなくてはなりません。
ただし、現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める場合や、産業競争力強化法で定められている認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合は必要ありません。
融資限度額 3,000万円(うち運転資金は1,500万円)
担保・保証人 原則不要

融資を受けたお金の使い道は開業時または開業後に使う設備資金や運転資金となっています。ただし、利率が日本政策緊急公庫のほかの商品よりも高く設定されています。
参考:新創業融資制度

少ない自己資金で開業できるサービス

「自己資金が十分ではない」「融資もあまり受けたくない」などと言っていると、開業なんてできないと思われるかもしれません。しかし、開業できるサービスがあります。
本章では、自己資金が少なくても開業できるフランチャイズについて説明します。

フランチャイズとは

コンビニエンスストアやレストラン、クリーニング店などさまざまな業種で、フランチャイズという名前を聞いたことはありませんか?
フランチャイズとは本部と契約を交わして加盟店となって開業するという手法です。個人で出店していきなり成功をするのは難しいものですが、フランチャイズの場合には本部が持つ商標、流通経路、販売の手法、経営のノウハウ、ブランド力を活用できるため、事業経験の有無に関係なく、早い段階で事業を軌道に乗せやすいというメリットがあります。
自分でゼロから始めるよりも、意思決定の自由度は減りますが、事業に失敗しにくく、少ない自己資金で始めやすいという魅力もあります。

100万円以下で開業できるフランチャイズ

探してみると、100万円以下で開業が可能だとうたっているフランチャイズは数々あり、自己資金が足りない人も創業のチャンスです。
業種としては狭いスペースでも開業しやすい宅配弁当店やハウスクリーニングなどのほか、無在庫や無店舗など、店舗や倉庫を借りる必要のないビジネスでも多く見られます。また、飲食店のような、本来は資金がかかる業種でも100万円以下で開業できるフランチャイズはあります。
フランチャイズは開業資金、自己資金が少なくて済むだけでなく、開業まで時間が短いというメリットがあり、生活のための収入を早い段階で確保できます。ノウハウもレクチャーしてくれるので初めて開業するという人も安心です。
100万円以下で独立開業ができるフランチャイズの例を紹介します。

便利屋!お助け本舗

引っ越しや家具の組み立て、パソコンの接続、害虫駆除、草刈り、庭仕事、高齢者の買いもののお手伝いなど、困りごとを解決する、全国で270店舗展開の便利屋さんです。店舗を構える必要がなく、在庫を置かなくて済むため、経費が押さえられます。

開業資金99万円

CodeCampKIDS

小中学生に向けたプログラミング教室のフランチャイズです。プログラミング学習については映像教材を使用するため、教育経験のない人でも安心して運営できます。

開業資金30万円

かさねや

とんかつデリバリー専門を開業できます。既存店引継ぎも可能なので、飲食業未経験者でも安心です。

開業資金0万円

自己資金額にあわせて開業資金調達を検討しよう

「融資を受ける」「初期投資の少ないフランチャイズで開業する」といった方法もありますが、やはり十分な自己資金は大切です。
開業してからも規模により人件費や光熱費、仕入れなどで運転資金は必要になります。開業資金の多くを融資に頼り、自己資金に見合わない状態で進めると後々、立ち行かなくなるかもしれません。
自己資金に合った開業資金を調達し、経費を押さえながら事業リスクの少ないフランチャイズなどのシステムを活用し、無理のない開業を目指してはいかがでしょうか。

公開日:2022年05月30日

よくある質問

Q 個人で開業する場合と法人で開業する場合、初期費用に違いはありますか? 回答を見る
Q クラウドファンディングで集めた資金は自己資金になるでしょうか? 回答を見る