7年間のOL生活から「食」を伝えるシェアハウスオーナーに転身! mogmogはうす丸山寛子さんインタビュー

公開日:2020年04月08日

東京都足立区の千代田線支線、北綾瀬駅。そこから徒歩2分ほどのところにあるパチンコ店内にあるコミュニティスペースで、親子料理教室が開催された。

講師を務めるのは、丸山寛子さん。北綾瀬駅から徒歩8分ほどの閑静な住宅街にあるシェアハウス「mogmogはうす」のオーナーであり、料理研究家でもある。

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料理教室では、ブルーベリーを使ったパンケーキとスムージーを調理。丸山さんが作り方を教え、子どもたちは自分で調理にチャレンジする。にぎやかな料理教室は予定の1時間を少しオーバーして、お開きとなった。

目次

料理を通じて社会貢献をしたい

自分の可能性の蓋をしてはいけないと思った

食育や健康と親和性の高い予防医学団体を設立

“自分で勝負したい”という気持ちとポジティブさが必要

独立してから「お金」と「人とのつながり」への考え方が変わった

独立起業の初期衝動は「やりがい」

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料理を通じて社会貢献をしたい

丸山さんは、東京都荒川区出身。大学で児童福祉を専攻し、卒業後に社員食堂の運営や病院の食事などを請け負う企業に就職。7年間勤務した後に退職。そして、「食」をコンセプトとしたシェアハウス「mogmogはうす」の運営を開始する。2015年1月のことだ。

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「会社自体は嫌いではありませんでした。ただし、サービス業なので土日がなかったり、お盆も正月もないという感じでした。もともと人と接することが好きだったので、仕事自体は苦ではなかったんですよ」

丸山さんは総合職だったため、現場で仕切ることが多かったという。そのまま会社に残れば、支配人からエリアマネージャー、そして管理職という道を歩むことになるはずだった。

在職中、丸山さんは料理家として2、3ヶ月に1回ほど料理イベントなどを開催。仲間とともにイベントを行うことがとても楽しく、「自分は料理で社会貢献がしたい」という思いが湧いてきた。

「もともと料理をするのは好きでした。私の家は母が病弱で、父が家事全般をしていました。自営業だったのですが、仕事をしながら朝昼晩と料理を作ってくれていたことは、今思えばすごいことだったんだなと。反抗期のようなものもなくて、料理がコミュニケーションツールだったんだなと思うんです」

そのような原体験があったからこそ、丸山さんのなかで食育や食の大切さを伝えていきたいという思いが強くなっていった。大学時代に学んだ児童福祉、会社員時代に病院で食事を提供するサービスなども行っており、「食べることは生きること」というのを身にしみて感じたという。

自分の可能性の蓋をしてはいけないと思った

そして2015年に退職し、北綾瀬の一軒家を購入。それがmogmogはうすだ。しかし、会社を辞めることに関しては葛藤もあったという。

「不安はありました。社会に貢献している仕事をしているという充実感があったので、やめてしまうとそれがなくなってしまう。でも、自分の可能性に蓋をしてはいけないと思いました。会社の丸山ではなく、丸山寛子という人間でお仕事ができたらいいなという希望もありました」

そのような不安や葛藤を乗り越え、産声を上げたmogmogはうす。しかし、順風満帆のスタートとはいかなかったようだ。

部屋数は3部屋だが、3人の入居者があればmogmogはうすの維持はできると考えていた。しかし、北綾瀬という立地からか初の入居者が決まるまでに4ヶ月ほどかかってしまう。現在の入居者は1人。

そもそも、なぜシェアハウスを運営しようと考えついたのだろうか。

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「料理教室などを開催するには場所を借りる必要がありました。そうすると、参加費を高くしたり、参加者を増やすようにしないと、収益には繋がりません。そこで、シェアハウスを運営して、そのキッチンを会場にすれば場所代がかからないんじゃないかと思ったんです」

丸山さんは、mogmogはうすには住んでいない。実家から用事があるときに通ってきている。北綾瀬という地を選んだのも、実家から通いやすいからということが大きな理由のひとつだ。

mogmogはうすでは、食育や料理教室などを随時開催している。しかし、現時点ではmogmogはうすだけでは十分な収益を上げているとはいえない状態だ。

食育や健康と親和性の高い予防医学団体を設立

丸山さんは、このmogmogはうすの運営の傍ら、予防医学の団体を設立。食育や健康とも親和性が高く、丸山さんの活動と合致する部分が多い。ゆくゆくは、この予防医学をビジネスとして成立させたいという希望があるという。

「mogmogはうすはNPOのような感じで、食を中心とした地域貢献活動などをメインに行なって、予防医学のほうをビジネスとしてきちんと成立させたいと思っています」

また、ゆくゆくはmogmogはうすを複数展開し、フランチャイズのような仕組みで運営したいとも話す。

「mogmogはうすでは食育を伝えていきたいという思いがすごくあるんです。ほかの場所でもシェアハウスができるのであれば、入居者から管理人を募って、その人は家賃を無料にするといった感じにして展開していければいいなと思っています」

“自分で勝負したい”という気持ちとポジティブさが必要

丸山さんは、忙しいとはいえ充実した仕事を辞めて、独立をした。当時のことを振り返ると「勢いだけでしたね」と笑う。

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「何も考えずに独立しちゃったという感じはありますね(笑)。でも、それが自分のいいところでもあると思っています。悩む期間はもちろんあると思いますが、最終的には“自分で勝負したい”という気持ちと“なんとかなる”という気持ちじゃないでしょうか。自分は、すぐに行動に移すタイプなんです。転んでもただでは起きません(笑)。慎重になるのも必要ですが、ポジティブに進んでいくことも重要ですよね」

転職や独立起業に不安はつきもの。しかし、いつまでも悩んでいるだけでは前には進めない。その不安を自力で振り払えれば一番だが、外的要因でやってきた好機を活かすといったことがひとつのターニングポイントになることもあるのだ。

独立してから「お金」と「人とのつながり」への考え方が変わった

会社勤めをしていたころに比べると、現在は考え方がかなり変わったと丸山さんは語る。ひとつが「お金のありがたさ」だ。

「お金というのは、その人が感謝してもらえたことの対価だと思っているんです。だから、相手に1万円の価値を感じてもらえなければ、1万円はもらえない。なので、払ってくれる以上の価値を提供しなければいけないと考えるようになりました」

そしてもうひとつが「人とのつながり」だという。

「利害関係を抜きにした人とのつながりがあって、今の私があります。ここにmogmogはうすを作ってから、応援してくれる人が現れて。それはすごくありがたいことだなと思っています。丸ちゃん丸ちゃんと言われて可愛がられたり、困っているときに相談しにきてくれたり。地元よりもこちらのほうが知り合いが多くなりました(笑)」

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会社員時代に比べると、格段に人と知り合う機会が増え、打ち合わせなどで毎日忙しいという。しかし、すごく楽しいとも感じている。同じような夢を持っている人とどんなことができるのかを語り合ったり、経験豊富な年上の人たちへ相談をしたり。それもこれも、丸山さんがとても頑張っているからこそ、自然と人が集まってくるのではないだろうか。

「自分が見られているという意識はあります。まだ経歴は浅いですけれど、思いや理念はしっかり伝えられるようにということを心がけています。たいした経歴がないのに、理念までぐらついていたら、初対面の方々に何も印象付けられませんよね」

独立起業の初期衝動は「やりがい」

独立起業をするには、何かしらの理由があるはずだ。もっとお金が欲しい、自由な時間が欲しい。働き方を変えたい。丸山さんが独立起業した初期衝動は「やりがい」だ。

「自分で言うのもお恥ずかしいんですけど、やりがいはありますよね。今、楽しいですよ。お金で買えないものとか、会社員時代では学ぶことができなかったこと、人とのつながりを肌で感じています。結果的に、会社をやめてよかったなと思います。ときどき、“あれ〜?”と思うときはあるんですけど(笑)、それも込みでOK! という感じですね」

mogmogはうす設立から1年半ほど。日夜自分の理想を実現化するために頑張る丸山さんの元には、よき理解者やビジネスパートナーが徐々に集まり、やっとビジネスとしての枠組みができあがってきた感じだ。

現在は、若い起業家を応援するスタートアップコンテンスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」にエントリ−中。事業アイデアはmogmogはうすを中心としたシェアハウス発の食育啓蒙と、予防医学活動が柱となっている。

「実は2015年にも応募していたのですが、マネタイズ部分をどうしていいのかわからなくて一次通過止まりでした。当時はビジョンだけがあって、長期計画のようなものが立てられなかったんです。今年は、シェアハウスに予防医学のお話もあるので、2つを組み合わせてマネタイズできる計画を立てました」

「目の前の人を幸せにしていきたい」。丸山さんは、「食」と「予防医学」を両手に携えて、北綾瀬から大きく羽ばたこうとしている。mogmogはうすは、その中心となる小さな発信基地なのだ。

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丸山寛子

HP
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facebook
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mogmogはうす

https://www.facebook.com/Mogmog%E3%81%AF%E3%81%86%E3%81%99-169792946687464/

予防医学普及友の会

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