倒産や不当解雇を乗り越え独立!子育てママが「サロン経営で脱サラ」開業資金・収入

最終更新日:2023年09月20日

美容・健康市場は今伸び盛りにあり、「自分のサロンを持ちたい」や「インストラクターとして独立したい」という方も珍しくありません。

そのなかでも今回取材した八木 直子さんは、独立までに多くの苦労をしてきた人物。職場の倒産や給料未払い、不当解雇など、不運に見舞われ労働基準監督署を3回も利用しました。

さまざまなトラブルがありながらも、どのようにして現在サロン経営で年収600万円を得ているのか。その経歴や開業資金、収入、フランチャイズでの勤務経験などを取材しました。

目次

職場が倒産して辿り着いた「セラピスト」の仕事で脱サラ

職場が安定しない日々…困ったときの「労働基準監督署」

大手サロンで8年連続指名ナンバーワン!売り上げを伸ばすコツとは

「安心できる場所を作りたい」大手サロンを辞めて完全に独立

収入は会社員時代の5倍!しかし脱サラならではの不安も

フランチャイズで働いたからこそ分かるメリット・デメリットとは

職場が倒産して辿り着いた「セラピスト」の仕事で脱サラ

多くの苦労を経て、リラクゼーションサロンの経営を始めた八木さん。脱サラするまでにどのような経験をしたのか、そして今後フランチャイズ化する予定はあるのかなどを伺いました。

はじめに、どのような仕事をしているのか教えてください。

八木さん「リラクゼーションサロンを経営しながら、セラピストとして身体のメンテナンスケアをしています。全身揉みほぐしやオイルを使った足ツボや手のマッサージ、ドライヘッドスパ、フェイシャルスパ、全身オイルのトリートメントなどを行っています」

ご自身が施術をされているとのことですが、もともとセラピストの仕事をしていたのでしょうか。脱サラまでの経緯をお聞きしたいです。

八木さん「20年ほど前に離婚し、子どもを育てるために始めたのが事務職の仕事です。ただ、2ヵ月で会社が倒産してしまい、当時は給料未払いのまま仕事を変えることになりました。その後は派遣社員として薬品工場でライン作業を始めたのですが、そこも1年後には閉鎖してしまったんです」

それは不運ですね…。

八木さん「これからは長く続けられる仕事をしたいと辿り着いたのが、ヨガインストラクターの仕事です。派遣をしながら、ヨガの研修を受けてスキルを身につけました」

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職場が安定しない日々…困ったときの「労働基準監督署」

さすがにヨガの仕事は長く続いたんですよね。

八木さん「それが、不当解雇を受けてしまったんです。当時私は社内のグループで一番年齢が上だったので、リーダー的な立ち位置にいました。それを店長が気に入らなかったのと、あと最初に聞いていた話とは違う契約内容を後から持ち出されされたんです。

それに対して言い返したら、本部から「明日から来なくて良い」と言われてしまい労基に電話しました」

初めての労働基準監督署ですね。

八木さん「実は最初の倒産した会社のときも、労基に行っています。当時は途中で断念してしまいましたが、今回のヨガの仕事に関しては示談金という形で片付きました。

労基では、裁判所まで行って強制執行の手続き方法などを全部教えてもらえてとても心強かったです。もし何か困ったことがあれば、利用すると良いと思いますよ」

なるほど。それで、次の仕事は何をされたんでしょうか。

八木さん「次に正社員で働いたのがフランチャイズのスポーツジムで、インストラクターとして入社しました。ここでは8年間働いたのですが、途中で入ってきた男性上司と折り合いがつかなくて。

もともと私はマネージャーのような仕事もさせてもらっていたのですが、急に降格と減給をされることになったのです」

大手サロンで8年連続指名ナンバーワン!売り上げを伸ばすコツとは

またトラブルが起きてしまったんですね…。それで、その会社は退職されたんですか。

八木さん「最初、退職届を出したら「受け付けない」と言われたんです。もちろん退職届を認めないのは違法なので、それで3回目の労基に行きました。会社側も労基に言われたら、すんなりと辞めさせるしかないですからね。

そして退職後は大手サロンの研修を受け、そのサロンの店舗に個人事業主のセラピストという形で参加し脱サラしました」

壮絶ですね…。その大手サロンでは、指導などしっかりとサポートしてくれたんですか。
八木さん「研修もきちんとありましたよ。私は20代の頃にエステティシャンの仕事をしていたので、セラピストの仕事ではインストラクター時代の知識を活かせたんです。

働き方としては、店舗のスペースを借りて、そのスペースで施術する感じです。店舗にいても施術をしなければ報酬は発生せず、施術したらその分の報酬をもらえるシステムでした。そこから、材料費や場所代が引かれる感じですね」

実力主義なんですね。

八木さん「頑張ったら頑張っただけ数字で返ってくるのが面白くて、8年間連続で指名ナンバーワンでした。当時はお客さんにストレッチの仕方を教えるなど、施術だけでなくほかの付加価値をつけることを意識していましたね」

「安心できる場所を作りたい」大手サロンを辞めて完全に独立

alt「安心できる場所を作りたい」大手サロンを辞めて完全に独立

そんなに成果を出していたのなら、そのままその大手サロンで働き続ける選択肢もあったのでは?どうして大手サロンを辞めて、自分でサロンを始めたのか理由が気になります。

八木さん「コロナ禍で1ヵ月間休みだったとき、いろいろと考えてしまったんですよね。大きなお店は不特定多数の人が出入りするので、私はもっとお客様が安心して来れる場所を用意したかった。それに、個人事業主としてスタッフが10名以上出入りする店舗にいると、それぞれのスタッフで接客や施術に対する意識が違う。その温度差も気になっていました」

なるほど。それで完全に独立されたんですね。

八木さん「はい。今の店舗はもともと障害者施設だったので、最初からフィッティングルームなどもありサロン向けだったんです。場所的にも広さ的にもちょうど良い物件が偶然空いていて、家賃も4万円と予算の範囲内でした」

安いですね。実際にご自身のお店を開業してから、集客はどのようにされましたか。

八木さん「前のお店のお客さんが来店してくれているのと、あとはホットペッパーや地域の法人会での宣伝を活用しています。実際は大手サロン時代からのお客さんが多くて、8〜9年通ってくれている人もいます。長年付き合っているとお客さんの身体に詳しくなるのですが、8年前より身体の調子が良くなっている人、歳を経ても体調が変わらない人もいるんですよ」

収入は会社員時代の5倍!しかし脱サラならではの不安も

alt収入は会社員時代の5倍!しかし脱サラならではの不安も

個人でお店を始めたときにかかった開業資金、そして現在の運営資金を教えてください。

八木さん「開業資金は100万円くらいで、全て自己資金です。家賃と、光熱費は電気水道代しかかからないのと、あとはタオルを取り替える費用くらいですからね。日々の大きな出費がないので、運営資金は毎月10万円くらいです」

10万円はかなり安いですね!ちなみに、今の仕事が過去最高年収なのでしょうか。

八木さん「はい。年収は600万円ほどで、事業もずっと黒字です。収入はサラリーマン時代の5倍になり、労基に3回も行った当時と比べると本当に安定したと思います。子どもたちも、私の独立には肯定的に思ってくれていますし」

なるほど。八木さんは脱サラして良かったことが多いと思いますが、良かったことと悪かったこと、それぞれ何かあれば教えてほしいです。

八木さん「収入ももちろんですが、自分の時間や精神的な安定を得られたのが良かったことです。一方で、安定とは言いつつも、独立したことで不安定になった面もあるのが悪かったこと。毎月同じ収入が確実にあるわけではないので、その辺は覚悟しないといけませんね」

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フランチャイズで働いたからこそ分かるメリット・デメリットとは

最終的には事業を大きくして、フランチャイズ化したいなど考えているのでしょうか。

八木さん「フランチャイズの面白さも理解しているのですが、すでに働いた経験があるからこそマイナス面も見えてしまっているんですよね。本部がどんなに素晴らしいものを提供しようとしても、フランチャイジー(加盟店)が現場で勝手なことをすれば勝手なものが流れてしまう。

それにフランチャイジーの人たちもそれぞれ状況が違うから、同じ志を持っているわけでもない。自分が理想を掲げることでストレスになってしまうのなら、まずは自分の足場を固めることに専念したいです」

フランチャイズにもメリットとデメリットがありますからね。ありがとうございます。

それでは最後に、これから独立したい方へメッセージをお願いします。

八木さん「私自身、「まずやってみる」をモットーに事業を続けています。もしかしたら失敗するかもしれませんが、でもそれはやってみなければ分かりませんよね。それに、失敗したらもう一回やり直せば良いんですから。

もし自分が今とても苦しくて逃げ出したいのであれば、逃げても良いと思います。自分が活躍できる場を作れるかどうかは自分次第なので、怖がらずにまずは挑戦してみてください」

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公開日:2023年08月17日