訪問鍼灸の開業マニュアル!必要な手続きと流れ、資金、資格、集客方法や成功ポイントまで

最終更新日:2023年07月19日

鍼灸師や高齢者・障がい者向けのビジネスに興味を持っている方にとって、自宅や無店舗でリスクを抑えて開業できる訪問鍼灸は非常に魅力を感じるビジネスではないでしょうか。

そこで今回は、訪問鍼灸の開業マニュアルとして開業に必要な手続きや資金、資格などの準備に関する情報をまとめてご紹介します。訪問鍼灸の開業前に知っておきたい情報や集客方法、開業の成功ポイントなども解説していますので、ぜひご活用ください。

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目次

訪問鍼灸で開業する前に知っておくべきこと

訪問鍼灸の開業に必要な手続きと流れ

訪問鍼灸の開業に必要な資金

訪問鍼灸の開業に必要な資格

訪問鍼灸の開業における集客方法

訪問鍼灸の開業を成功させるためのポイント

訪問鍼灸開業の成功にはフランチャイズ加盟も効果的!

訪問鍼灸開業のまとめ

訪問鍼灸で開業する前に知っておくべきこと

まずはじめに、訪問鍼灸とは何かをおさらいしましょう。
訪問鍼灸のサービス内容や対象者といった基礎的な知識から、ビジネスモデルや現状・将来性まで、開業前に知っておくべきことを解説します。

訪問鍼灸とは

訪問鍼灸とは、鍼灸師が利用者の自宅や施設に直接訪問して施術を行うサービスです。具体的には、身体の痛みや痺れの緩和のための施術を行います。

利用者が自宅を離れることなく、リラックスした状態で治療を受けられることが大きな特徴で、移動が困難な高齢者や身体的に不自由な方々からの需要があるビジネスです。

訪問鍼灸サービスの主な対象は高齢者や障がい者、慢性疾患を持っている方などで、なかには産前産後のケアを目的とした訪問鍼灸サービスも存在しています。

訪問鍼灸のビジネスモデル

訪問鍼灸のビジネスモデル

訪問鍼灸の主な収入源は施術料ですが、医療保険が適用されるサービスのため厳密に言えば利用者の自己負担(1~3割)と療養費(7~9割)です。

訪問鍼灸の料金は厚生労働省が全国一律で定めており、定期的な料金改定が行われています。

項目 金額
初検料 [1]1術(はり又はきゅういずれか一方の場合):1,780円
[2]2術(はりときゅうの両方の場合):1,860円
施術料 [1]1術(はり又はきゅういずれか一方の場合):1,550円/回
[2]2術(はりときゅうの両方の場合):1,610円/回
電療料 ・電気針、電気温灸器又は電気光線器具を使用した場合:34円加算/回
往療料 2,300円
※4kmを超える場合は2,550円
施術報告書交付料 480円

※2022年6月時点、2回目以降は初検料なし。

訪問鍼灸の売り上げの7~9割が保険者(市区町村や健康保険組合など)から支給される療養費なので、未払いリスクがないビジネスモデルであることが大きなメリットです。

また、訪問鍼灸は個人または法人、フランチャイズ加盟での開業方法があります。それぞれにはメリットとデメリットがあり、自身のビジョンや資金状況、経営スキルによって選択することが大事です。

参照:はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について | 厚生労働省

訪問鍼灸の現状と将来性

現在、訪問鍼灸市場は拡大の一途を辿っています。

現に株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は前年から5.3%増の9,680億円と推計されています。高齢化社会の進行とともに高齢者や身体が不自由な方が自宅で治療を希望する傾向にあり、これに伴い訪問鍼灸の需要が増加していることが大きな要因。今後も高齢者や障がい者の数が増え続けることが予測されている日本では、需要拡大が必須の業界です。

また、近年ではコロナ禍をきっかけにテレワークの機会も増え、肩こりや腰痛、頭痛、眼精疲労などの症状に悩む患者も増加中。このような身体の不調や自律神経を整えるための施術、さらには美容目的の施術も誕生しており、訪問鍼灸にとっても大きなチャンスとなり得ます。

以上のように、訪問鍼灸は現在大きな成長を遂げている市場であり、将来性も十分に期待できるビジネスだと言えるでしょう。

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訪問鍼灸の開業に必要な手続きと流れ

訪問鍼灸の開業に必要な手続きと流れ

訪問鍼灸を開業するには、さまざまな手続きが必要です。主に、保健所への届出、地方厚生局への届出、そして税務署への届出の3つのステップに分けられます。
以下で、具体的な手続きと流れについて解説します。

1.保健所への届出(施術所開設届・出張施術業務開始届)

訪問鍼灸を開業するにあたってまず行うべき手続きは保健所への届出で、下記2種類のどちらかを提出する必要があります。

  • 施術所開設届
  • 出張施術業務開始届

どちらも「訪問鍼灸事業を始めます」という届出になるのですが、開業場所や形態によって提出すべき届出が異なります。

施術所開設届は、専用の物件を借りるなど自宅以外で訪問鍼灸の施術所を開業する場合に必要です。基本的には、法人で開業する場合も提出が必要になります。また、施術所開設届の場合は事前に施術所の構造設備や衛生状況などが下記の条件でチェックされます。

項目 内容
構造設備基準 ・6.6平方メートル以上の専用の施術室
・3.3平方メートル以上の待合室
・施術室は室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できる状態であること。ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない。
・施術に用いる器具や手指などの消毒設備
衛生上の措置 ・常に清潔に保つこと
・採光、照明及び換気を充分にすること

一方、出張施術業務開始届は出張のみで事業を始めるための届出です。施術所開設届とは異なり事業所などを住所として登録することはできないため、個人が自宅を拠点に訪問鍼灸を始める場合に必要な届出になります。すでに施術所開設届の手続きをしている場合やほかの自治体で出張施術業務開始届の手続きをしている場合には、追加で提出する必要はありません。また、住民票に記載されている地域であることや個人に限定されており人を雇用するとなれば施術所開設届の提出が必要になるなど細かな決まりがあります。

どちらの届出も施術所の開設・事業の開始後10日以内の手続きが必要なので、スムーズに進められるよう事前にしっかり確認しておきましょう。

参照:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行規則 | e-GOV法令検索

2.地方厚生局への届出(受領委任制度・生活保護法指定機関)

訪問鍼灸の開業で次に必要になる手続きは、地方厚生局への届出です。具体的には「受領委任制度」に関する届出と「生活保護法指定機関」に関する届出が挙げられ、必要に応じて対応するという形になります。

受領委任制度とは、医療費の一部を患者から受け取り、患者の代わりに療養費の支給申請と受け取りが可能になる制度です。導入することで、医療保険が適用される訪問施術を行えるほか、保険者からの療養費支給により売り上げが確保でき安定経営につながりやすいといった恩恵を受けることができます。訪問鍼灸を開業する地域を管轄する地方厚生局が窓口になり、下記の要件を満たした施術管理者を立てることや地域ごとに定められたルールに沿った手続きが必要です。

施術管理者の要件

  • 施術所などで1年以上の実務経験を有している
  • 施術管理者研修を受講し、修了している

受領委任制度についての届出は、先ほどご紹介した保健所への届出を済ませてからでないと申請ができないので、その点に注意しましょう。

また、生活保護の方に保険適用の施術を行う場合は、生活保護法指定機関の届出が必要になります。地方厚生(支)局または都道府県が窓口ですが、場合によってはオンラインでの申請も可能です。

3.税務署への届出(開業届など)

そのほか、個人で訪問鍼灸の事業を始める場合には税務署への「開業届」の提出が必要です。

自分が事業を開始したことを税務署に報告するための手続きで、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。訪問鍼灸の開業後、1ヵ月以内の提出が必要です。

開業届を提出することで、事業所得税の申告が可能になるほか、青色申告や屋号で銀行口座の開設ができるようになります。節税効果も得られるので、忘れないように手続きを済ませましょう。

開業届はいつどのタイミングで出せばいい?届出の仕方と必要書類とは

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訪問鍼灸の開業に必要な資金

訪問鍼灸の開業を検討する際、必要な資金の目安を把握することも大事です。資金は大きく分けて、開業時に発生する初期費用と開業後に発生する運営資金の2種類あります。
以下でそれぞれの目安や内訳、調達方法などを解説します。

開業資金(初期費用)

訪問鍼灸の開業に必要な初期費用は、施術所を構えるか構えないかによって大きく変わります。

施術所を構える、いわゆる鍼灸院を開業して訪問鍼灸を行う場合の初期費用は300~800万円ほどが目安と言われていますが、出張型のみで自宅で開業する場合は数十万円で始めることも不可能ではありません。初期費用には、施術所・事務所の取得費や設備投資、車両購入費、治療に必要な備品などが含まれます。

訪問鍼灸を開業する際の初期費用の調達方法は自己資金が基本となりますが、金融機関からの融資や地方自治体や国からの助成金・補助金を活用することも可能です。

運営資金

訪問鍼灸の運営資金は初期費用と同様にどのような形で開業・経営するかにもより、1ヵ月あたり数十万~数百万円と幅も大きいです。

主な運営資金は賃料や人件費、消耗品費、移動時の燃料費、広告宣伝費などで、運営費の算出には具体的なサービス内容やサービス提供の頻度、エリアなどを考慮に入れることが重要だと言えます。また、無駄な出費を避けるための節約策や資金の適切な管理も欠かせません。

運営資金が不足すると、経営が立ち行かなくなるリスクがあります。そのため、事業計画を立てる際には初期費用・運営資金の見込みや確保方法をしっかりと計画することが求められます。

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訪問鍼灸の開業に必要な資格

鍼灸師として訪問鍼灸を開業するには、国家資格である「はり師」と「きゅう師」の資格が必要です。鍼灸の養成課程のある大学で4年間、専門学校で3年間学ぶことで国家資格の受験資格を得ることができます。

一方、経営者として訪問鍼灸を開業する場合には「はり師」と「きゅう師」の国家資格を持っているスタッフを雇用すればオーナー自身が資格を持っていなくても訪問鍼灸の事業を始められます。

また、マッサージやリンパドレナージなどの資格も持っているとサービスの幅を広げることができるので、ビジネスの面で非常に有利です。

自身の状況や開業スタイルなどによって必要な資格が異なるので、計画的に準備を行うようにしましょう。

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訪問鍼灸の開業における集客方法

訪問鍼灸の開業における集客方法

訪問鍼灸の開業には、鍼灸師の専門的なスキルだけでなく適切な集客方法が求められます。成功するためには、オンラインとオフラインの両方で戦略的な集客を行うことが重要です。
そこでこちらでは、開業後の具体的な集客方法を紹介し、その要素と利用すべき手法を解説します。

集客方法 内容
オンライン 【Webサイトの作成とSEO対策】
自社のWebサイトは、サービスの紹介と予約受付の場となります。SEO(検索エンジン最適化)を活用し、訪問鍼灸に関する検索からお客様が訪れやすい環境を整えることが必要です。
【SNSの活用】
SNSは、実際の施術風景や利用者の声をリアルタイムで共有できるため、信頼性を高めるツールとなります。FacebookやTwitter、Instagramなどを活用し、定期的な投稿を通じて存在感をアピールしましょう。
オフライン 【ケアマネージャーへの営業】
オフラインのメインの集客方法です。利用者の大半が高齢者または身体に障がいを抱えている方のため、介護施設に従事しているケアマネージャーへの営業は必要不可欠です。
【チラシやパンフレットの配布】
鍼灸院や関連施設、コミュニティセンターなどにチラシやパンフレットを設置し、地域の人々にサービスを知ってもらう方法です。
【地域イベントへの参加】
地域の健康イベントなどに参加し、直接自身のサービスを紹介します。また、無料の体験施術などを提供すると、より関心を引くことが可能です。

訪問鍼灸の集客における重要な要素は、以下の3つです。

  • 目標設定
  • ブランディング
  • 顧客対応

目標設定は、集客活動を始める前にどのような客層をターゲットにし、どれくらいの新規顧客を獲得したいのかなどを決めることです。目標設定が決まっていることで、取り組むべき集客施策や利用すべきツールなども明確になります。

ブランディングは、自分の提供するサービスが他社とどう違うのか、どのような価値を提供できるのかをはっきりさせ、それを基にブランドイメージを形成します。

また、お客様一人ひとりに丁寧に対応して安心感を提供することも欠かせません。これは、口コミや紹介での新規顧客獲得にもつながります。

以上の集客方法を活用し、訪問鍼灸のビジネスを成功に導きましょう。

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訪問鍼灸の開業を成功させるためのポイント

訪問鍼灸の開業を成功させるためのポイント

訪問鍼灸の開業を成功させるためには、ただ単に専門的なスキルを持つだけでは不十分です。
ここからは、訪問鍼灸開業の成功に欠かせないポイントをご紹介します。

独自の強みを明確にする

需要が高く競争の激しい業界で成功を収めるためには、自身の強みや特性を明確に理解し、それを独自のサービスに反映させることが重要です。

競合分析や自己分析を通じて、自身のビジネス独自の強みを見つけましょう。この強みをマーケティングに活かすことで競争優位性を確立することができ、長期的なビジネスの成功につながります。

需要のある地域で開業する

訪問鍼灸開業における地域選定は、成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。

顧客層や競合状況、アクセス性などを考慮し、自身のサービスに最適な地域を選択しましょう。

また、地域性を活かした事業戦略やサービス提供も重要です。地域の情報収集やリサーチを行い、ニーズを把握することが求められます。

効果的な集客施策を実施する

新規顧客の獲得は、ビジネスの生命線です。

オンラインマーケティングやパートナーシップ、イベント参加など、多角的な集客施策を実施しましょう。それぞれの施策がもたらす効果や利点を理解し、最適な方法を選択します。

事例や統計データを参照しながら、効果的な施策を計画することが重要です。

レセコン(レセプトコンピューター)を導入する

レセプトコンピューター(レセコン)は、訪問鍼灸におけるレセプト(診療情報明細書請)を自動で計算・作成してくれるツールのことです。

請求処理など業務の手間やエラーを減らして効率化を図ることができるため、ひいては人件費の削減や効率的な事業運営が実現しやすくなります。

導入費用や操作方法、管理方法を理解し、適切に活用することで業務の効率化だけでなく収益の向上にもつながるので、検討してみる価値があるでしょう。

訪問マッサージで独立開業した経験者の話も成功のヒントに!

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訪問鍼灸開業の成功にはフランチャイズ加盟も効果的!

訪問鍼灸の開業は多くの挑戦と準備が求められるので、個人で開業するには限界を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
フランチャイズで訪問鍼灸を開業することで既存のビジネスモデルや手厚いサポートを活用できるので、リスクを減らして成功率を高めることができるでしょう。

からだ元気治療院

『からだ元気治療院』は、訪問鍼灸マッサージサービスを展開しているフランチャイズ本部です。5年で直営売上高を10倍にした実績を持っており、この成功実績に基づいた確かなノウハウの継承によってオーナーを成功へと導きます。

初期費用は220万円と低く設定されており、仕入れがない事業のため運用コストも抑えることが可能。オーナー研修で必要知識の習得や現場体験、高齢者の方への介護実習などを行います。さらに、施術者向けの研修や事務局員向けの研修も本部によって実施され、開業後も充実したサポートが受けられるので安心です。

日本訪問マッサージ協会

『日本訪問マッサージ協会』は、訪問鍼灸・マッサージで開業したい方向けに「オーナー向け開業支援パック」を提供しているフランチャイズです。治療院の開設やマッサージ師・鍼灸師の採用、手厚い研修制度により、開業前後の一番苦しい時期を徹底的にサポートしてくれます。

加盟金とロイヤリティが0円で、複数店舗の展開も可能です。また、業界未経験者や副業からのスタートも可能で、役者や税理士、不動産屋など別の業界から参入した方や、副業として事業を行っているサラリーマンの方もいます。

日本訪問マッサージ協会の資料をもらう

訪問鍼灸開業のまとめ

訪問鍼灸は高齢化社会における需要の高まりと共に、これからますます成長するビジネスだと言えます。開業は大きな挑戦ですが、適切な準備と戦略を持てば大きな成功を手にすることが可能です。

訪問鍼灸の開業にあたり、自分自身の強みと市場のニーズを理解し、それを踏まえた戦略を立てることが求められます。また、地域に根ざしたサービス提供や最新の技術を活用した業務効率化も忘れてはなりません。
今回ご紹介した訪問鍼灸を成功させるためのポイントを参考に、準備に取り組んでみてください。

  • 独自の強みを明確にする
  • 需要のある地域で開業する
  • 効果的な集客施策を実施する
  • レセコン(レセプトコンピューター)を導入する

また、事業モデルや運営ノウハウ、ブランド力など、成功に必要な要素を提供してくれるフランチャイズもおすすめです。開業初期のリスクを軽減し、より確実に事業を展開することが可能になるでしょう。

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訪問鍼灸の開業に関する記事

公開日:2023年07月19日

よくある質問

Q 訪問鍼灸の開業に必要な手続きは何ですか? 回答を見る
Q 訪問鍼灸の開業に必要な資金はいくらですか? 回答を見る
Q 訪問鍼灸の開業後はどのように集客をすれば良いでしょうか? 回答を見る