収支内訳書の書き方を詳しく解説!白色確定申告前にしっかりチェックしよう

最終更新日:2020年12月17日

「収支内訳書」は、白色で確定申告(=白色申告)する経営者が必ず提出する書類です。
利益や経費、減価償却の計算など記入する項目が多いため、確定申告時期になって慌てないよう早めに準備を進めましょう。

こちらでは、収支内訳書の記入に向けた準備や具体的な記入方法を紹介しているので、初めて白色で確定申告をする方はぜひご覧ください。

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目次

収支内訳書とは

収支内訳書を書く前の準備

収支内訳書の書き方(1ページ目)

収支内訳書の書き方(2ページ目)

収支内訳書の書き方を覚え白色申告の準備をしよう

収支内訳書とは

収支内訳書とは、白色申告で提出する書類の一つです。
一般用・農業所得用・不動産所得用の3種類あり、個人事業主など事業での所得を申告する場合は「一般用」を選択します。

収支内訳書は会社の売り上げや経費を報告する重要な書類であり、経営者は正しく記入することはもちろん、自社の経営状態について事前に確認しておかなければいけません。

また、収支内訳書のほかに確定申告書Bや控除を証明する書類なども白色申告時に提出する必要があるため、そちらも合わせて準備を進めるようにしましょう。

白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告の主な違いは、帳簿付けと控除の2点です。

まず帳簿付けについて、白色申告は簡易簿記で提出できますが、青色申告の場合は複式簿記の提出が義務づけられています。

白色申告の帳簿は家計簿のようなシンプルなもので良いのに対して、青色申告は借方と貸方に分けて記帳する必要があるなど求められる簿記の知識は高めです。

次に控除について、青色申告では最大65万円(※)の特別控除を受けられます。
この特別控除は白色申告では受けられないため、節税を考える経営者にとっては注目すべきポイントだと言えるでしょう。

(※)…2020年より最大65万円の控除を受けるには、e-Taxもしくは電子帳簿保存での申告が必要

収支内訳書を書く前の準備

収支内訳書を書くためには、事前に必要書類を集めたり固定資産の情報を調べたりする必要があります。

一年間の帳簿や経費書類をまとめて確認するのはかなり大変なため、隙間時間を活用しながら少しずつ確定申告の準備を進めましょう。

1年間の収支の確認

収支内訳書には、1年間の売り上げや経費を記入する欄があります。
帳簿を確認しながら記入することになるため、帳簿内容に記入ミスや漏れがないかどうか早めに見直しましょう。

また、レシートや領収書は月別にファイリングするなど、経費の詳細をすぐ確認できる状態にしておくことも大切です。

減価償却の対象の確認

収支内訳書には、減価償却資産の名前・取得価額(物品を購入したときにかかった額)・取得日などを記入する欄があります。

減価償却の対象となるのは「取得価額が10万円以上で耐久年数が1年以上の固定資産」のため、該当の固定資産がある場合は事前に確認しておきましょう。

耐用年数や計算式が分からない場合は、国税庁の公式サイトに情報が掲載されているので確認してみてください。

収支内訳書の書き方(1ページ目)

こちらでは、収支内訳書1ページ目の書き方を紹介します。
収入や売上原価、経費など重要な項目が多いので、記入ミスが発生しないようしっかりと確認してください。

日付・基本情報

まず、ページ最上部にある「令和0□年分収支内訳書」に申告する会計年度を記入します。
例えば、令和3年2月15日~3月15日の確定申告時期に提出する場合、この欄には会計年度である令和「2」年と数字を記入してください。

下の欄には氏名や住所、事業者名などの基本情報を記入しますが、税理士などに依頼せず自分で確定申告するのであれば「依頼税理士等」の欄は空白で問題ありません。
そして、さらにその下にある「自」や「至」と書かれた日付欄には自社の会計期間を記入します。

収入金額

「収入金額」には、下記の内容を記入します。

  • 売上(収入)金額:会計年度1年間の売り上げ(収入)
  • 家事消費:商品を私的に使用した場合の金額
  • その他の収入:本業以外で得た収入

家事消費に含まれる事例としては、インテリアショップの運営で売れ残った家具を知人に譲ったり、カフェの運営で余ったケーキを自宅に持ち帰ったりするケースなどがあります。

家事消費の計算式は、「事業主が商品を使用した場合」と「知人に商品を譲った場合」で異なるため、よく確認しておくようにしましょう。

またその他の収入の欄には、事業に関わるが本業ではないもの(例えば余った作業くずを売って得た収入など)がある場合のみ記入してください。

売上原価

「売上原価」には、下記の内容を記入します。

  • 期首商品(製品)棚卸高:事業年度の最初(前期末)にある在庫の原価
  • 仕入金額(製品製造原価):1年間で仕入にかかった合計金額
  • 期末商品(製品)棚卸高:事業年度末に残っている在庫の原価

上記を計算し、小計・差引原価・差引金額に数字を記入します。

ただしこちらは、飲食業や製造業など商品を仕入れて販売する事業形態の会社のみ記入が必要な項目です。
そのためサービスを販売する会社など、特に何も仕入れていない場合は差引金額の欄のみ記入すれば問題ありません。

経費

「経費」には、給料賃金や地代家賃、広告宣伝費などさまざまな費用があります。
下記では、経費の中でも記入に注意すべき項目をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 給与賃金:従業員へ支払う給与
    配偶者などの家族へ支払った給与は給与賃金の費用の中に含まれないため注意が必要です。

  • 租税公課:国・地方に納める税金や交付金
    租税公課には自動車税や印紙税などさまざまな税金が含まれますが、住民税や所得税、さらに罰金や反則金などの費用は含まれません。

  • 利子割引料:借入時の利息や手形の現金化で発生する割引料
    利子割引料に含まれるのは「利息」と「割引料」のみであり、借入元本は経費として計上できないためご注意ください。

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租税公課とは?対象になるもの・ならないもの、具体的な仕訳例をご紹介!

専従者控除前の所得金額・専従者控除・所得金額

事業をともに運営している配偶者や親族がいる場合は、「専従者控除前の所得金額と専従者控除」の欄も記入します。

事業専従者となる人物が配偶者であれば最高86万円、それ以外の親族の場合は1人あたり最高50万円として計算し、算出した金額を最後の「所得金額」に記入してください。

給料賃金の内訳

「給与賃金の内訳」には、実際に勤務している従業員の氏名や給与賃金、賞与などを記入します。
従業員が4人以上いる場合は、「その他」の欄に残りの人数の給与賃金総額を記入してください。

また、「延べ従事月数」とは全従業員が働いた月数の総計です。
例えば従業員が3人の会社で、2人が12ヵ月間勤務し、残りの1人は途中から入社したため6ヵ月間しか勤務していないとします。
その場合は、12+12+6=30ヵ月となるため延べ従事月数は「30」です。

税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

税理士や弁護士を依頼し、実際に支払った報酬がある場合は記入します。
支払い先の住所・氏名や支払った報酬金額に加えて、その中から経費にあたる金額と源泉徴収した税金額も記入してください。

事業専従者の氏名等

ともに事業を運営している配偶者や親族の氏名を記入します。
続柄(父や妻など)に加えて、専従者それぞれが勤務した期間と全員分の勤務期間の合計を記入するようにしましょう。

収支内訳書の書き方(2ページ目)

こちらでは、収支内訳書2ページ目の書き方を紹介します。
2ページ目では1ページの内容をより詳細に説明する項目が多いため、「誰(または何)にいくら費用が発生したのか」などの内訳をしっかりと確認しましょう。

売上(収入)金額の明細

「売上(収入)金額の明細」には、取引先ごとの売上金額を記入します。
取引先が多い場合はその中でも取引金額が大きい相手を4つ選び、取引金額の大きい順に埋めるようにしてください。

また、飲食店や雑貨屋、アパレルショップなど不特定多数の来店客によって売り上げが発生している業種は取引先を記入せず、売上(収入)金額の合計だけ記入すれば問題ありません。

こちらの「売上(収入)金額の明細」に記入される合計金額は、1ページ目の収入金額にある「売上(収入)金額」と同じになるため最後に忘れず確認するようにしましょう。

仕入金額の明細

「仕入金額の明細」には、取引先の情報を記入します。
「売上(収入)金額の明細」と同じく、金額が大きい取引先を上から順番に記入するようにしてください。
ただし、1ページの売上原価にある「仕入金額」と同じく、サービス業などで特に何も仕入れていない場合は記入不要です。

減価償却費の計算

「減価償却費の計算」では、会社が持つ固定資産の情報を記入します。
面積や数量、取得価額、耐用年数、償却期間など、詳細な情報が求められるため確定申告時期までに調べておくようにしましょう。

特に下記の項目は、記入を始める前に計算を済ませる必要があるため、早めに調査を開始することをおすすめします。

  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 償却率又は改定償却率
  • 本年分の普通償却費

減価償却費の計算方法には、定額法(毎年同じ金額を計上)と定率法(毎年同じ率を計上)の2つがあり、個人事業主や会社のほとんどは定額法を採用しています。

ただしこの2つ以外の特別な償却方法で計算する場合は、「摘要」の欄で計算方法の詳細について忘れず記入してください。

減価償却とは?メリット・デメリットから計算方法まで詳しく解説!

地代家賃の内訳

「地代家賃の内訳」には、賃借している事務所や店舗、倉庫などの情報を記入します。

  • 支払い先の住所・氏名:物件の所有者である大家または不動産屋
  • 賃借物件:物件の用途
  • 本年中の賃借料・権利金等:「権更」には保証金や契約更新料などの合計金額、「賃」には賃貸料の合計金額
  • 左の賃借料のうち必要経費算入額:本年中の賃借料・権利金等の中から経費にあたる金額

ただし、「本年中の賃借料・権利金等」には敷金や保証金など返金予定にある費用は含まれないため注意してください。

利子割引料の内訳

「利子割引料」では、借入時の利息や手形の現金化で発生する割引料を記入します。
ただし、「(金融機関を除く)」と書かれてあるように、銀行や消費者金融の利用によるものは含まれないため気をつけてください。

「期末現在の借入金等の金額」には期末の段階でまだ返済しておらず残っている借入の金額、「本年中の利子割引料」には1年間で実際に支払った利子割引料の総額を記入します。

本年中における特殊事情

「本年中における特殊事情」には、例年と異なる何か特殊な事情が発生した場合に記入します。
問題がない場合は、この欄には特に何も記入しなくて良いでしょう。

収支内訳書の書き方を覚え白色申告の準備をしよう

収支内訳書には、経費や減価償却費など事前に調べておくべき項目がいくつかあります。
確定申告時期に慌てないためにも、早めに書類をまとめて準備を進めておくようにしましょう。

また、収支内訳書の書き方には決まりがあるので、記入を進める中で不明点が出たときはぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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公開日:2020年12月11日