開業資金の貯め方とは?効率的に貯めるコツや注意点を解説

最終更新日:2022年05月27日

開業資金の融資審査で必ずチェックされる項目は、自己資金の有無と金額です。自分名義の通帳で貯蓄をする以外にも、お金を貯める方法があるのはご存知でしょうか。

今回は、開業資金を貯める7つの方法とあわせて、資金を用意するときの注意点を解説します。開業資金の貯め方を理解して、可能な限り資金を保有しておきましょう。

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目次

開業のために自己資金はどれくらい必要?

開業資金を自分で貯める方法7選

自助努力で貯金が難しいときの対処法3つ

開業資金を貯めるときの注意点

開業資金が貯められなくても始められるフランチャイズ

開業のために自己資金はどれくらい必要?

日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、開業時の平均資金調達額は1,177万円となっており、自己資金の平均は282万円、金融機関などの借り入れ平均は803万円です。開業する業界によって必要となる自己資金の金額は変動するものの、開業資金の内、自己資金として2割~3割弱を貯めておくのがおすすめです。

開業資金を自分で貯める方法7選

開業資金を自分で貯める方法7選

オーソドックスな開業資金の貯め方は、地道に貯蓄することです。しかし、開業時に自己資金をより多く集めるために「貯蓄以外の開業資金の貯め方を知りたい」と考えている人は多いでしょう。本章では、開業資金の貯め方として代表的な方法を7つピックアップし、ご紹介します。

1.預金通帳でコツコツ貯める

自己資金を貯める一般的な方法は、一定期間にわたり通帳にお金を貯蓄することです。日本政策金融公庫の融資審査では、少なくとも半年分の入出金記録が分かる通帳を提出しなければなりません。審査担当者は、通帳の記録をもとに「開業に向けて計画的にお金を準備してきたか」をチェックしています。コツコツお金を貯めることで、突発的な開業ではなく計画性があり、開業に意欲的であることが示せるため、審査が通りやすくなります。

2.家族名義の通帳で貯める

子どもやパートナー名義で作った通帳のお金も、自己資金として認められるものの一つです。家族と同居の場合、お金を別々に管理していない世帯もありますし、子ども名義であっても親が貯蓄しているケースがあるからです。家族名義の資金があれば、本人名義の通帳とあわせて審査時に提出しましょう。

3.保険商品の解約返戻金を使う

開業資金の貯め方に、金融商品を解約金を利用する方法があります。たとえば、積立型の生命保険やNISA、子どもの学資保険といったものです。ただし商品によって中途解約不可であったり、元本割れとなったりする商品もあるので、むやみに解約しないよう注意してください。
保険商品を解約するときは事前に家族に相談し、理解を得ることも大切です。開業の目途が立ったら、早めに販売元へ確認してみましょう。

4.退職金を使う

源泉徴収票でお金の出所を証明できれば、退職金も立派な自己資金とみなされます。退職金とは、大きく分けて退職一時金、退職金共済、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金の4つです。退職金の種類によって、お金の受け取り方は異なります。また退職金制度を設けていない会社も近年では増えているため、まずは会社の規程をチェックしてください。

5.資産運用を始める

株式や投資信託をはじめとする保有資産を現金化することで、自己資金の確保が可能です。貯蓄のために通帳へお金を入れていても金利は0に等しく、利息をあてにすることはできません。銀行にお金を眠らせておくよりも、資産運用を活用して増やすチャンスを狙うのも有効な手段と言えるでしょう。

代表的な資産運用の例を以下にまとめました。

  • 株式投資
  • 投資信託
  • FX
  • 債券投資
  • 不動産投資

資産運用にはリスクがあり、必ずしも利益が出るとは限りません。そもそも資産運用は中長期にわたる運用が基本です。損失などのデメリットを理解した上で、リスクの低い商品を選ぶなど対策を講じ、負担できる責任の範囲内で活用してみると良いかもしれません。

6.現職で出世を狙う

開業までに時間的なゆとりがある人には、収入アップを目指して出世し、一定額のお金を貯める選択肢もあります。堅実に仕事をこなしながら人脈を広げておけば、お金以外の財産を得られるでしょう。また事前準備を念入りに行っておくことで、開業後の経営を安定させやすくなります。開業を急いでいないのであれば、現職で地位を築いて豊富な資金を蓄えることも検討してはいかがでしょうか。

7.副業をする

本業で出世する以外にも、副業で稼いだ分を開業資金に回し、自己資金を貯める方法があります。副業で収入を得る代表的な方法として、下記のようなものが挙げられます。

  • アルバイト
  • クラウドソーシングの活用
  • フリマアプリに出品
  • ココナラなどのサイトを利用しスキルを販売

副業を禁止している会社もあるので、あらかじめ就業規則など会社の規程を確認しておくとトラブル防止に役立つでしょう。
なお、エンジニアやデザイナー、ライターなどのビジネススキルを持っていなくても、スキルを売って収入を得る方法があります。タイムチケットやスキルクラウド、ストアカといったスキルシェアサービスを利用すれば、自身の持つ知識や特技を簡単に販売可能です。

会社員をしながら副業に挑戦したい方は、こちらの記事で詳細をお伝えしています。
サラリーマンの副業は稼げない?税金ルールや注意点・事前準備を紹介

自助努力で貯金が難しいときの対処法3つ

開業を決意した時期によっては、コツコツと自己資金を貯めるのが困難なケースもあるでしょう。しかし、自己資金が貯められなくても、開業を諦める必要はありません。もし自分で開業資金を用意するのが難しいときは、次に取り上げる3つの対処法を試してみてください。

1.支払い済の事業費を計算に入れる

開業前に事業のために使用した事業費は、みなし自己資金と認められる可能性があります。認められるものとして、具体的には店舗の家賃、社用車やパソコンなどの購入費が挙げられます。
ただし、融資の面談を受ける前に事業計画にのっとって購入したものでなければ、自己資金と判断されません。

また、事業費であっても事業の関連性が証明できないものについては、認められないケースもあるので、事前に融資を申請する機関に確認し、購入してください。

2.親や親せきから贈与を受ける

自分で稼ぐのに限界があれば、家族や知人に援助を打診するのも良いでしょう。後述しますが、手渡しでもらった贈与は自己資金とはみなされません。誰からもらったのか証明できるよう、自分名義の口座に直接お金を振り込んでもらうのがポイントです。

援助を受けて十分な資金額を貯めていても、自分自身で貯めたお金が全くないと融資審査が通りづらくなる可能性もあります。

事業主は自分だと意識して、第三者に頼りきってしまわないよう、少しずつでもお金を貯める癖をつけましょう。

3.融資やクラウドファンディングで調達する

貯蓄や保険商品、資産運用などで自己資金を貯められなかったとしても、出資や融資での資金調達が可能です。

代表的な出資者として、次のような相手が挙げられます。

  • 企業
  • ベンチャーキャピタル
  • 個人投資家
  • クラウドファンディング
  • ビジネスコンテスト

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(Venture Capital)とは、成長が期待される企業に出資する組織を言います。未上場のときに出資して株式を手に入れておき、上場したタイミングで株式を売って値上がり益を得ることを目的とした、投資会社や投資ファンドのことです。

クラウドファンディング

クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、インターネットを介して自身の活動や目標を周囲に発信し、共感してくれた人や応援したいと思った人から資金を出してもらうシステムを言います。日本でクラウドファンディングが開始されたのは2011年で、「READYFOR」「CAMPFIRE」などがサービスを提供しています。

ビジネスコンテスト

ビジネスコンテストとは、個人やチームが立案したビジネスプランを審査し、出資やリソースの提供を通して支援する仕組みのことです。主催者は学生団体、官公庁、企業などで、入賞すれば賞金や協賛金を獲得できるケースもあります。

融資

次に、融資について解説します。融資を受けるときは以下の機関に申請を行うのが一般的です。

  • 銀行
  • 信用金庫
  • 自治体の制度融資
  • 日本政策金融公庫

自治体の制度融資は利率が低い傾向にあり、自治体によっては利子の一部を自治体が支払ってくれるケースもあります。創業資金の借り入れに使いやすいものの、中小企業診断士の面談が必要になる場合があり、金融機関の融資より若干手間がかかるといったデメリットもあります。

また、信用保証協会に加えて自治体も審査に関与するので、お金が手元に入るまでの待ち時間が長くなりがちです。

日本政策金融公庫で受けられる融資として、新創業融資制度、中小企業経営力強化資金、挑戦支援資本強化特例制度などが挙げられます。自己資金の要件や対象者などが明確に定められているので、申請要件については日本政策金融公庫のホームページで確認してください。

資金調達に関心がある方向けに、以下の記事で調達方法やメリット・デメリットをまとめています。
開業資金の調達方法とは?調達ポイントやメリット・デメリット

開業資金を貯めるときの注意点

開業資金を貯めるときの注意点

自己資金と一口に言っても、資金として認めてもらえるお金と、認められないお金があるため、ポイントを押さえておかないと融資の審査で不利になることもあり得ます。資金を貯めるときに、どのような点に注意すべきか、本章で詳しく確認していきましょう。

出所の不明なお金は自己資金になりづらい

全ての現金が自己資金とみなされる訳ではありません。金融機関に自己資金と判断してもらうためには、「どこから手に入れたか明確であること」「返済の必要がないこと」がポイントになります。自己資金になりづらいお金として代表的なものは、下記の通りです。

  • タンス預金
  • 借りたお金
  • 手渡しでもらったお金
  • 急に振り込まれた大金

どこからか借りてきたお金を通帳に入れ、さも自己資金を保有しているかのように見せかけることは認められません。

なお、自己資金と判断されないからといって、タンス預金をまとめて通帳に入れると、審査で怪しまれるため注意しましょう。融資直前にいきなりお金が増えると、審査を通すために見せかけのお金を用意したと誤解を生みやすいです。

地道な貯蓄は、計画性や返済能力があるという証明になります。開業を決心したら1日でも早く貯蓄を開始し、通帳に積み立ての記録を残しましょう。

短い期間で貯めようとしない

まとまったお金を一気に確保することは、開業資金の貯め方として得策とは言えません。開業に向けて長期間にわたり地道に貯蓄してきた実績は、金融機関の融資を受ける際の評価につながります。

融資審査には書類の準備が必要となり、審査に通っても振り込みといった時間が発生します。開業のために、ある程度の準備期間を設けて貯蓄し、お金を計画的に管理する習慣を身に付けましょう。

開業資金が貯められなくても始められるフランチャイズ

豊富な開業資金は、設備や備品などの購入時に選択肢を広げ、安定した事業運営を可能にします。

高額な開業資金を貯められなくても、フランチャイズであれば比較的少ない元手で開業できるのでおすすめです。フランチャイズとは、ロイヤリティを支払った人がフランチャイズ本部からフランチャイズパッケージ(商号・商標の使用権や営業ノウハウなど)の提供を受けビジネスを展開する事業契約のことです。

フランチャイズで必要となる開業資金額は選択する業種によってさまざまですが、50万円以下から始められるフランチャイズもあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
開業資金0円でもOK!開業資金別の稼げる仕事一覧

また、少額からスタートできるフランチャイズについては、次の記事で詳しく解説しています。
開業資金の安い業種とは?100万以下で開業できるフランチャイズ8選

開業資金をたくさん用意できない人や、比較的安定した経営を目指したい方は、開業方法の一つとしてフランチャイズ経営を検討してはいかがでしょうか。

公開日:2022年05月30日

よくある質問

Q どのようなお金が自己資金として認められますか? 回答を見る
Q 貯金だけでは十分な開業資金が確保できず、悩んでいます。 回答を見る