ケータリングを超えたパーティプロデュース業へ。元女子大生起業家小西真由さんインタビュー

公開日:2016年11月24日
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最近では、ホームパーティをする人が増えている。そこで注目を浴びているのが、「ケータリング」だ。

ケータリングとは、パーティ会場などに出向き食事の提供や配膳をするサービス。デリバリーと似ているが、料理のセッティングも含まれているのが特徴。パーティの雰囲気に合わせた飾り付けなども行ってくれる。時には、会場全体の飾り付けなどのサービスを行っているところもある。

そんなケータリングサービスを関西中心に展開しているのが「puella(ピュエラ)」。代表である小西真由さんは、大学3回生のときにpuellaを立ち上げた、いわゆる“女子大生起業家”だ。

以前は料理教室なども行っていたが、現在はケータリング事業およびイベント企画に特化。puellaは5年目に突入し、2017年には法人化も予定している。

学生ながら事業を立ち上げ、現在も関西だけでなく東京でも仕事を行っている小西さんに、ケータリング事業を始めたきっかけや想いを伺った。

大学入学が小西さんの性格を変えた

インタビューカット

小西さんは、香川県出身。高校時までの小西さんは大人しく、特に将来の展望があったというわけではない。普通に就職をして結婚をしてといった、普通の女の子が考えるような将来像を描いていた。

高校卒業後は神戸大学の経済学部に入学。「つぶしが効きそうな経済学部を選びました」ということで、この時点でも特に何かやりたいことがあったわけではない。

大学では、2つのサークルに入り、複数のアルバイトを掛け持ち。勉強もそこそこするという、充実した生活を送っていた。当時流行っていたmixiなどを使い、友だちが増えていくことが楽しかったそうだ。

「高校までは、狭く密にというスタンスだったんです。大学に入ってからは広く浅くになったような気がします」

高校の同窓会に行くと、変わったねと言われるほど大学に入って社交的になったという。

大学2回生で参加したゼミが人生の転機

そんな小西さんに転機が訪れたのは、大学2回生のとき。新しく開設された「起業家精神育成ゼミ」に入ったことがきっかけだ。

「当時うちの大学では、起業をする人はあまり多くなかったんです。経営学部からも起業する人は少なくて。それで、新しくゼミをつくって、OBやベンチャー企業の社長さんなどを呼んで、座学ではなく実践的な勉強をしようという主旨だったんです。募集のチラシのなかに“社長さんと飲みに行ける”と書いてあって、ピンときました(笑)」

それまでも、小西さんは自主的に交流会などを実施し、さまざまな人と人がつながることができる場を設けてきた。しかし、それもマンネリ化していたため、このゼミに入って新しい人とのつながりが生まれるのではという期待があったようだ。ゼミは2回生の7月に開講した。

ゼミに入ってみると、16人中女性は小西さん一人。そして、ゼミの課題として11月に開催される大学の文化祭でゼミ生全員で100万円を稼ぐというミッションにチャレンジする。

大学の文化祭では、屋台などをどんなに頑張っても1日10万円が限度。100万円というのはかなり無謀だ。しかし、そこで小西さんはあるアイデアを実行する。

「香川にいたときは、大学の情報がなかったんです。身近に大学生もいませんし、オープンキャンパスに行っても、実際の大学生に話が聞けるわけではない。一人暮らしの情報や、授業の内容などの生の声がほしいなと思っていました。そこで、地元の高校生を大学に連れてきて、各学部のOBを呼んでリアルな話が聞ける座談会に参加するバスツアーを開催しました」

小西さんのほかに、ゼミ生に香川出身の人がいたため、二人で母校に掛け合いツアーを計画。結果、150人の参加者が集まり、80万円の売り上げを達成した。

「その後、参加してくれた高校生からお礼のメールがたくさん来たんです。それを見たときに、潜在的なニーズを理解してサービスをつくって提供するという生き方っておもしろいと思ったんです」

そして、次の行動につながっていく。

女子大生起業家として関西では珍しいケータリングサービスを開始

小西さんは、3回生の11月に「puella」を立ち上げる。

「大学に入って一人暮らしを始めたら、体調を崩すことが多くなって。原因は食事がおろそかになっていたんですね。その経験から生きていく上で“食”は大事だなと思ったんです。そして、もう一つが、大学3回生の女子大生が結婚や出産のことを踏まえて将来について考えられる機会がほしいと思っていたんです。そこでこの二つを合わせて、第一線で働いている女性のような、女子大生が普段出会いそうもない魅力的な人を囲んだ女子会をやろうと思ってpuellaを立ち上げました」

puellaはラテン語で「女の子」という意味。女性がどんな条件であれ自由に活躍できる環境をつくるという願いが込められている。

女性の先輩を女子大生が囲んだ女子会。しかし、ただそれだけでは物足りないと感じた小西さんは、記憶に残る会にするためにさまざまな企画を行う。新年ならば「感情グラフを作成して昨年を振り返り、半紙に書いた字を筆跡鑑定してもらえる異世代が集まる書き初め女子会」のような感じだ。

女子会

会場はタワーマンションの一室などを使うことが多かった。そこで、おいしいご飯があったほうがいいだろうということで、飲食店でのバイト経験があった小西さん自ら料理をしてふるまっていた。そこで、食べ物がおいしかったり驚きがあったりすると、イベントがより盛り上がり、もっと人が密につながると気づく。それが今の業態を始めるきっかけだ。

ただし、当時はケータリングというものを知らなかったという。その後、ゼミの同窓会でケータリングの存在を知り、アルバイトを開始。そして許可を得て一人でやり始める。

当時、関西ではまだケータリングという文化は浸透していなかった。また、女子大生がやっているということもあり、話題となり引き合いが多くなったという。

人と人をつなぐ居心地の良い空間づくりを目指して

ケータリング事業を始めたのが3年前。しかし、料理はあくまでもイベントの一要素と小西さんは考えている。メインはイベントのプロデュースだ。

料理

「人と人とをつなげたいとか、楽しい場をもっと増やしたいというところが根幹にあるので、初めての人同士が会う場でも、居心地良かったねと言えるような空間づくりがしたいと思っています」

以前は、婚活や合コンの需要が多かったそうだ。そこで参加者がいかに楽しく、主催者の目的に近づけるようにするか。そのために料理はもちろん、演出なども提案していくのが、小西さんのスタンスだ。

結婚式の2次会を頼まれたときは「文化祭のような感じで」というオーダーがあったそうだ。

「文化祭ということで、会場に屋台をつくりました。スーパーボールすくいのスーパーボールを野菜にして、すくって食べてもらったりとか、3色のわたあめを出したりとか。」

さぞかし楽しいパーティだったのだろうと想像できる。小西さんならではだろう。

ビジネスは継続することと小さく始めることが大事

学生のときにビジネスを始め、4年が経過。関西ではまだ珍しかったケータリングを主体としたビジネスを続けてこれた秘訣はなんだろうか。

「継続することですね。そのためには、小さな負担で始めることが大事だと思います」

小西さんは、開業当初は月数万円ほどでキッチン込みの事務所を借りていたそうだ。飲食店を行う場合、借金をして店舗を構えたりすることも多い。最初は調子がよくても、2年後3年後はどうなっているのか分からないのが飲食業。しかし、小西さんのように店舗を持たなければ固定費がかからず、高い利益率を確保できる。

インタビューカット2

「今も不要なコストは削って削って、その分サービスをする上で大事な部分にとことん資本を集中させながらパフォーマンスを上げているので、コストパフォーマンスはすごくいいですよ」

また、料理に関しても必要時には外注化を進めている。

「飲食店の多くは、ランチ営業とディナー営業の間の時間があるじゃないですか。うちはその営業時間外の時間で、こういう料理ができませんかとお願いしているんです。そうすることで、その飲食店もうちもWIN-WINの関係になりますよね」

飲食店は、料理に関してはエキスパート。効率よく大量の料理をつくることができ、時間外収入が発生する。puellaにしても、予約を受けてゼロから料理をつくる労力を省くことができる。まさに、WIN-WINの関係だ。

「最初からそのモデルを考えてやろうとは思っていませんでした。試行錯誤していくうちにたまたま見つけた一つの答えでした」

そう小西さんは言う。しかし、そのようなビジネスセンスがあることは確かなようだ。どうしたらそのようなセンスが培われるのだろう。

「自分ではビジネスセンスがあるとは思ってないですけどね。ただ、いろいろな飲食店には行きます。仕事以外でも飲み会とかに行って、流行ってる理由を分析したり、オーナーさんと話したりもします」

現在は、東京での仕事も増えているという。もしかしたら、東京支社をつくらなくてはならない日も近いのかもしれない。

おいしく楽しく記憶に残るパーティをつくっていきたい

小西さんは、これからpuellaの事業をどうしようと考えているのだろうか。

「飲食店の空き時間の有効活用は需要があると思っています。店舗の空いている時間を貸し出すサービスなどもありますよね。うちでは、会場探しのお手伝いをする関係もあって関西圏のリストが集まってきています」

現在は、企業の社内懇親会などの需要が多く、規模も拡大しているため、会社の会議室以外にも、社外のおしゃれな飲食店の空き時間などをレンタルしてパーティを行うことも増えているそうだ。

もはや、ケータリングというサービスの枠を超えて、イベンターとしての色合いが強い。今後も、料理を含めたパーティの総合プロデュースという方面に力を入れていきたいという。

「ケータリングにもいろいろな種類があります。300人規模の料理を提供できるのを強みとしているところもありますし、装飾が凝っているところもあります。私たちは、おいしくてかつ楽しく、お客様の記憶に残るようなものを提供できるということに重きを置いていきたいですね」

小西さんは、飲食業というジャンルは出会いが多いという。

「“食”は誰にでも共通するもの。飲食はクライアントがさまざまで、そこでいろいろな世界が垣間見えたり、さまざまな人の話が聞けたりします。起業してから、人に出会う質と密度が濃いと感じています」

ただ料理を運んで出すだけではない。ケータリングを超えたパーティの総合プロデュース。小西さんが日々目指しているのは“おいしくて楽しい”パーティの場をつくることなのだ。

料理2

puella

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小西 真由

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